第13話:〜花見をしよう♪〜
「花見ぃ〜〜?」
「そうだ。春っていったら、花見だろ」
学校での昼休み。
俺と彰は会話をしていた。
そしたら、彰がいきなり花見をしたいと言うので声が裏返った。
今は四月下旬。
桜が咲いてる訳がない。
「バカか? もう咲いてる訳ないじゃねぇか」
「いやいや、それが咲いてる所があるんですよ」
「そんなとこ、あんのかよ」
「おう、オレの穴場」
だとしてもなぁ〜〜。
「なんの話ですか?」
「なんの話してるのぉ〜?」
寿さんとレナが話しに入ってくる。
「お! レナちゃんに香苗ちゃん。二人も今度花見に行かない?」
「花見ですか?! 行きたいです!」
寿さんは目を爛々と輝かせながら彰の問いに応える。
ていうか、承諾すんの?!
でも、レナは? レナが行かないなら、なんとか彰に理由をこじつけてキャンセルできるかも……。
「ボクも花見行く〜〜」
はい、見事に期待を裏切られました♪。俺には神はいないのか? あ、そうだ。俺は神を挑発したんだ、いなくて当たり前だぁーー!!
「よっしゃ決まりだな」
「まて、俺がまだ……」
「花見、駄目ですか?」
「駄目? ヒカル?」
レナと寿さんが上目使いで見てくる。そして、泣いちゃうよオーラを出してくる。
反則だろ、それ。
「ったく、しょうがねぇなぁ〜〜」
『やったぁ〜♪』
こいつら、可愛い顔した悪魔だ。いや、未成年だから小悪魔か? もう、どっちでもいいや♪俺が花見行く事は決定事項ですから♪
「じゃあ今度の日曜日に〇〇駅に集合な」
「はいよ〜」
「はい♪」
「うん」
こうして俺達は花見に行く約束をした。
当日。
レナと一緒に〇〇駅へ行った。
〇〇駅には寿さんと彰が居た。
二人がこちらに気付く。
「お〜い。二人共、早く〜〜」
「そんなせかすなって!」
〇〇駅に着く。
「ったく、お前ら早いぞ? 何時からきてた?」
「オレは、待ち合わせ時間の十分前にきた」
「私はワクワクしてて、二十分前にきてました♪」
彰はともかく、寿さんは語尾に♪が付く程楽しみにしていたようだ。
寿さん花見好きなんだ……うん、妥当だな。
俺が一人で納得してると、皆はもう電車に乗っていた。
「ヒカル〜〜早く〜〜」
「おう」
ピシャり。
「へ?」
俺が乗車しようとしたら、ドアが閉められた。
『え〜発車します』
そのまま、線路の彼方へ電車は行ってしまった……
「オ〜〜マイゴッド……」
俺は、キノコを食ってパワーアップするパワフルおじさん並の発音で呟いてしまった。
佇む俺。
風が虚しくふく……。
だけど、俺も馬鹿ではない。
次の電車を待てばいいだけだ。
そう思い、側にあったベンチに座る。
かくして、十分ぐらいたっただろうか? 電車が来た。
それに乗る。
待っててくれてるかなぁ〜。
俺は不安になりながらも、向かった。
「あっ! ヒカル!」
どうやら皆は駅で待ってて、くれたみたいだ。
「ありがとう、待っててくれて」
「気にすんなって! それに、ツッコミがいないとボケが成り立たないだろ?」
いい雰囲気ぶち壊し。
もうちょっと、雰囲気考えようぜ? 彰。『お前を置いてなんていられるかぁーー』とか気の利く友情の言葉を言えないかな〜〜?
「行こう、ヒカル」
「あ、ああ」
皆で彰の穴場に向かう。
駅からしばらく歩いて、二十分ぐらい。
彰は路地裏に行き、どんどん奥へ奥へと向かった。
それを見ていた俺達は不安げだったが、ある場所に着いた時に考えは変わった。
着いた場所は路地裏にある空き地。
空き地と言っても周りをマンションやアパートで囲まれた小さい空き地だ。
その真ん中に一本の桜。満開だ。
「うわ、スゲー」
「綺麗です」
「桜がいっぱい……」
「ハッハッハ、スゲーだろう?」
その桜は輝いていた。
別段、ピカピカ光ってる訳でもない。むしろ、周りが住宅で暗い。
だけど、俺にはこの桜が輝いている気がした。
「ヒカル〜〜こっちこっち!」
ずっと桜を見ていたのだろうか? 俺以外、皆はもう桜の木の下に移動していた。
俺も桜の木の下に移動する。
「ヒカル、どうしたの?」
レナが心配そうに聞いてくる。
「ははっ、どうもしてないよ。心配すんな」
「そう?」
「ああ」
「ふ〜ん」
レナは寝転がる。
今、気付いたが俺達以外、誰もいない。
「彰。なんで俺達以外、誰もいないんだ?」
「だって、外から桜が見えないから知らない人が多いんだよ」
「ああ、そういう事か」
確かに来る時は気付かなかった。
俺も、レナみたいに寝転がる。
ていうか、皆寝転がっていた。
自然と皆で笑いが込み上げる。
「ははっ、なんか心が安らぐな」
「そうですね」
「うん」
「そうだな」
そうして、時間がたった。
もう帰る時間。
俺達は駅に居た。
「じゃあまた明日」
「おう、じゃあな」
「じゃ、また明日ですね」
俺達は別れの挨拶をして我が家に帰っていった。
俺はこの後、家に帰ってすぐに寝た。
レナも疲れたらしく、帰って来てすぐ自室にこもった。
あ〜〜疲れた。
でも、楽しかった……な。
俺は眠りについた。
第13話:〜花見をしよう♪〜を読んで頂きありがとうございます。これからも居候はヴァンパイア!をよろしくお願いします。