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第12話:〜光の過去最終〜

今回で光の過去は終わりです。

 光が稟の家に居候してから二年の月日が流れた。

 今、光は組み手を稟としている。



 光はこの二年間で物凄い成長をみせた。稟の攻撃は手加減してるとはいえ、そこらへんの拳法取得者より数段強い。手加減しても、防御するのに常人なら半年はかかる。だが、光は一ヶ月で防御できるようになり、三ヶ月で避けれるようになった。

 半年には稟の技を防御し八ヶ月でさばけるようになった。

 そして一年で技をほぼ覚え、自分なりにアレンジ。

 これだけでは、つまんないので剣法も習う事にした。

 またもやこれも、一ヶ月で稟の攻撃を防御。基本取得。

 七ヶ月で稟と対等になった(元々、稟は剣法を基本としないで拳法を基本とする)ので、総合組み手に入った。



 そして、今にあたる。


 だけど勝つのは別だ。

 剣法は五分五分で勝てるが、拳法では勝てない。おそらく勝つのに早くて後、三年はかかるだろう。


「はっ! いや!」


 光からの左正拳突き。

 だが稟は右手で上へ払いのけ左掌底を突き出す。


 かかった! 


 光は笑った。

 左正拳突きは囮で稟が左掌底を繰り出すのを狙っていた。


「もらったぁーー!」


 光は稟の左腕を下へ祓いそのまま右腕を稟の胸の前へ突き出す。

 これは組み手であって別に変な意味でしてる訳ではない。


 だが……どちらにせよ決まらなかった。


「あまいよ、光!」


 稟は身体を横に反らし、胸の前へ突き出される腕をかわして、その勢いで回転蹴り。

 見事に回転蹴りを横腹にくらい光、吹っ飛び、撃沈。


「あはははは、お花畑が見える〜〜〜」

「ありゃ? 少しやり過ぎた?」

「あれ〜? 僕の天使さんだ〜。どこへ連れてってくれるのぉ〜?」

「駄目よ。そのまま進んじゃ」


 バシャ、バシャ


 稟がバケツを持ち、中に入ってた水を二度ぶちまける。

 光の顔面に水は当たり、こっちへ戻って来た。


「うわぁプ。なんだなんだ、お花畑からいきなり師匠の前に戻って来た」

「それでいいの」

「そうなん−−−−イデデデデ……」

「横腹、痛む?」

「少し……」

「じゃあ今日の修行は終わりね」

「よっしゃ!」


 光は少し痛む横腹を右手でさすりながら起き上がる。


「あっ!」


 いきなり、稟が大声をだす。


「なんだよ」


 光はもう二年の月日が流れて十五歳だし、稟とは親しみがある。

 だから、昔の遠慮じみた言葉はとっくに消え去っていた。


「今日、パンが無いんだった。買いに行かなくちゃ」

「そうなのか? じゃ俺も……」

「大丈夫? 無理してない?」

「ああ、大丈夫だ」

「本当に?」


 稟が光の顔を下から見上げてくる。

 二年前は見おらされる形だったが今は見おろしている。

 なので稟は上目使い。

 普通の男ならノックアウトだが、光は稟を師匠、姉として見ているので何にも感じない。


「本当に」

「ならいい」


 稟は自分の魅力に気付いてくれない光にムカつきながらも、買い物に付いて行く承諾をした。


「なんで怒ってるの?」


 光は稟の異変に気付いて、聞いた。


「怒ってない!」

「怒ってるじゃん」

「怒ってないったら、怒ってない!」

「あ〜そう」


 光はこのまま、聞いててもらちがあなかいと思い話しを打ち切った。

 みなさんお気づきだろうか? 稟は光を好きになってしまっていた。最初は弟みたいだな〜と思っていたが、段々異性として惹かれていた。

 なによ、この鈍感! 朴念仁! 甲斐性無し!

 稟は心に光の悪口を言いいながらズカズカと家へ入った。


「なんだ? リンの奴?」


 残された光は稟が怒りまくってるのは自分のせいだと自覚してなかった。





「いつ来ても人がいっばいいるな〜」

「コラ! キョロキョロしてないでこっちに来なさい。迷子になるわよ」

「うぃ〜〜す」


 稟の後を光は一生懸命にあるいて行く。

 と、ここでパン屋があり、食パンを三十個程買って帰る。


 その時、悲鳴が聞こえた。


「なんだなんだ? どうした?」

「わからない。なにかあったみたい。行ってみましょ」

「おい! 待てってば」


 光は稟を呼び止めたが全く無視なので後を追いかけた。


「ったく、俺に大人しくしろとか毎回言ってたくせに自分が大人しくないんじゃ訳ないし」


 光がたどりついたら、少女が男共に囲まれていた。


「やめてください!」

「姉ちゃん、少し遊ぼうよ〜〜」

「いやです。他をあたってください」


 おお〜あの娘、強きだな〜感心。

 光は一人で感心してる。


「と、ぼけ〜とみてる場合じゃないな。助けなきゃ」

「やめなさい。あなたたち、その娘が嫌がってるのがわからないの?」


 光より先に、稟が助けに行った。


「んだぁ、コラ! ん〜〜? よく見ると美人じゃねぇか。じゃあこの女も連れて行くか」

「連れて行けるかやってみなさいよ」

「なんだと? おら、みんなやっちまえ」


 稟に向かって男共が群がってくる。


「こんなの!」


 ドカッ、バシッ、ドスッ、ズシャ、グシャ、アギャ〜〜〜


 結果は一目瞭然だった。


 稟の一人勝ち。


「な〜んだ、弱いじゃない」

「ひっ! 鬼だぁ〜〜〜!」


 不良達が行ってたとおり、鬼の形相をするリン。


 こわ……


「あんた達ね……女の子をよってたかって虐めやがって! いい加減にしなさい!」


 残りの一人に回し蹴り。


「ゲフッッ!」


 見事に吹っ飛んでった。


「あの、ありがとうございます」

「いいよいいよ。あんなの倒すのぐらい朝飯前だからさ」

「はい! ありがとうございました」


 どうやら、稟はお礼を言われてるようだ。

 そこで光は稟を呼ぶ。


「おーい。俺達本当に朝飯前だからさ、そろそろ家帰らない」

「あっ、そうだね。じゃあ、気をつけて帰るのよ」

「わかりました」


 稟は光の方へ走り、二人で家へと帰った。





 そしてその晩。屋根の上で光は考えてた。

 二年前に出された問題を。


「『なんの為に拳を振る』……か」


 あれから考えっぱなしである。

 今日リンは何の為に拳を振るった。

 自分の為?

 否。

 むしゃくしゃしてたから。

 それも違う。

 誰かを守る為に拳を稟は振るってたのだ。


「あ、やっとわかった……」

「なにが?」

「うわッ!」


 いきなり後ろから話しかけられたのだ。光はびっくりした。


「『うわッ!』って何よ。『うわッ!』て」

「いや、びっくりしたから」

「ふ〜ん。ま、いいわ」

「それより、リン! 俺わかったよ」

「な、なにが?」


 稟はまさか自分の恋心に気付かれたのかもしれないと思い、焦った。


「二年前の答え」


 それから、稟は気付く。

 二年前に自分が出した問題を。


「へ〜〜。じゃあ答えは何?」


 稟はできれば解いてほしくなかった。そしたら、修行は終わり。光と、おさらば。この答えがわかる時は心身ともに清められてるから。


「俺の答えは……」

「『俺の答え』は?」

「自分と誰かを守る為に拳を降る。そう考えた。あってる?」

「悔しいけどあってるわよ。元々、答えを造りだすものだから」


 稟は解いてしまったと、ちょっと落ち込んだ。

 表面に出さないように。


「そうなの?」

「うん。だから、修行は終わり。明日、日本へ帰りなさい。光がここに居る意味が失くなったから」

「え? そんな………ヤだ、ヤだよ! 俺ここに居たい!」


 光か駄々をこねると、稟はあやすような口調で語った。


「駄目。いい? この問題を解いたって事は心身ともに清められたからなの。だから、光にはここは必要の無い場所」

「だけど………」


 光がなんかを喋ろうとした瞬間、頬になんかあたった。

 横目で見ると稟がキスをしていた。


「え、リン!?」

「これは私からの問題を解いたご褒美」

「えっと………」


 光が言葉を選んでると稟は背中を叩き


「大丈夫。また何処かで会えるわよ」


 元気に言った。


「本当か?」

「約束するよ」

「わかった。じゃあ約束だ」

「うん、約束……」


 二人を祝福するように星達がキラキラと輝いてた。それはもうキラキラと………。






 次の日、光は空港に居た。


「じゃあな、リン。この二年間楽しかったぜ」

「すっかり呼び捨てだね」

「リンがそうしろって言ったんだろ」

「そうだったね。あのね、私……」


《成田、着の方はお急ぎ下さい。後、十分で離陸します。繰り返します。成田………》


「俺、行かないと」

「うん、そうだね」


 稟は少し悲しい顔をする。光と別れるのが寂しいのだろう。

 それを悟った光は


「今度はリンが日本に来いよ。その時は俺が日本を案内するから」

「うん………わかった。覚悟してなさい」

「ああ、覚悟してる。じゃあいつか会える時を信じて」

「うん。じゃあね」


 そして、光は飛行機に乗った。

 稟は空港で泣いていた。

 言えなかった、好きって………。

 後悔と自分への怒りが込み上げてくる。

 その時、光の言葉が脳に過ぎった。

 『今度はリンが日本へ来いよ』


「本当に覚悟してなさい。いつか、日本に行ってやるんだから……」


 そして、その時こそ………。

 稟は決意を胸にしまった。






 光は久々の日本にワクワクしてた。

 これからは一人暮しをしなきゃいけない。

 普通は緊張しなきゃいけないんだけどリンの所で色々と勉強してたから、一人暮しなんて楽だろう。


「さて我が祖国、日本は今どうなってるのか……楽しみだ」


 そして、光は日本への期待を胸に一眠りした。






−−また二年後の今−−



「………てな訳だ」


 俺はレナと寿さんに中国に居た頃のいきさつを説明した。


「ヒカル、人間?」

「光さん、人間ですか?」


 二人揃ってお前らは……。


「人間だ。どっから見ても人間だ」

「だって……ね」

「だって……ですし」


 ったく、こいつら……。


「口を閉じろ。そうしないと昼ご飯抜きだ」

「…………」

「…………」


 よし、この手はききそうだ。

 さてと、じゃあ昼ご飯でもつくるか………。


第12話:〜光の過去最終〜を読んで頂きありがとうございます。まず、すいません。いきなり、二年後に飛んで……一応あれは、光がレナ達に過去を話してるっていう設定なので、省略させてもらいました。え〜前書きでも書いてあったとおり、今回で光の過去は終わりです。読んで下さった方ありがとうございます。あ!ちなみに、アクセス数が3000件突破しました。皆さんのおかげです、感激です。前にもこの文章書いたかも……。長々とすいません、これからも居候はヴァンパイア!をよろしくお願いします!それと次回の更新は明日です。4月21日 白黒

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