第4話:「あふれ出す涙と過去」
俺たち4人は頭痛が収まらない。
「わっ……私達以前こっくりさんを……」
真理はそう言い、体中を振るわせながら溢れる涙を手で拭っていた。俺たちもガクガク震えている。俺は以前こっくりさんだった季黎を冷たい目で見つめた。季黎は許したけれど、まだゲームが終わってないことに苛立ちを感じ、俺は壁を拳で何度も殴った。
「いや、いや……あんな思い、もうしたくない」
明奈は今でも消えそうな声で、俺に助けを求めるように見てくる。
「俺だってあんなっ……終わったんじゃねぇのかよ」
悔しそうに泣く光を俺はただ見ているだけしかできなかった。それより季黎だ……季黎にちゃんと話をしないと。
「おい、季黎、2年の時を越え、またゲームが始まったわけだけど……俺たち終わらせたはずだよな?」
「ちょっと! 翔何言ってるの? 季黎は関係ないじゃん」
明奈は俺に怒鳴りつける。きっと、関係無い季黎を責めている俺を見て悲しくなったんだろう。皆季黎がこっくりさんだなんて知らない。あの時、携帯の着信が鳴って俺だけ呼び出されたのだから。
「関係あるんだよ」
俺達の仲がこっくりさんを巡り、割れていくような気がして焦っているのも、俺だけではない。皆がこっくりさんの恐怖と仲間割れを恐れている。
季黎の胸元の服を強引に引っ張り、自分の元に引き寄せて、痛々しく睨む俺に季黎もさすがにビビっている。
「ふざけんなよ、テメェ。終わりっていったじゃねぇか……全て終わりにしてくれたハズなのに、何でこんな事になってんのかちゃんと説明しろよ!」
「ちょっと、翔! どういう事よ?」
真理は季黎をかばうように、俺の手を無理やり季黎から離させた。俺は悔しさと、悲しさに少しこらえていた涙があふれ出す。
「ッ………」
俺は覚悟を決め、季黎を睨み皆に口を開こうとした瞬間、季黎は俺の腕を強引に掴んできた。
「だ……だめ、お願い」
言われたくないかのように、悲しい目で俺を見てくる。
何今更弱い事言ってんだよ、こっちの身にもなれ。
図書室に一時の沈黙が流れる。そんな中俺は、ゆっくりと口を開いた。
「竜崎季黎が前のこっくりさんだったんだ」