第3話:「よみがえる記憶」
ガタガタと震えている季黎を、俺たちは皆で支えた。
「大丈夫か? 何があったんだ?」
「こ―――こっくりさんには嫌な思い出が……」
そう言ったきりいくら俺たちが質問しても答えようとしない。
「大丈夫よ、落ち着いて? こっくりさんで何か深い想い出があったのは分かったから……」
真理は精一杯季黎に安心できる言葉をかけてあげた。
季黎はどうにか泣きやみ、床に落ちていた鉛筆を恐る恐る見ると、何かの記憶がよみがえったように……また頭を抱えて悲鳴をあげだした。
「いやあぁぁあぁぁ」
季黎はあきらかに可笑しくなっていた。俺たちは季黎を保健室に連れて行こうと思い、図書室からでようと季黎の体を引きずりながらドアを開けた。
―――あれ?
俺たちは夢を見ているかのようだった。光は自分の頭を思いっきり殴っている。殴りたくのも分かる。夢だって思いたくなる気持ちも分かる。
ドアを開けたら底や先が見えない真っ暗闇なのだから……。
ここに入ったら俺たちは明らかに可笑しくなる。今の状況を把握するんだ。
「な……何で先が見えないの? 床が見えないよ? 教室はどこ? 私たちの頭がどうかしてるのかな?」
明奈は涙目で見えない先をずっと眺めていた。
大丈夫だ……明奈!これは夢なんだ……夢だ!現実に先が見えないなんてこと有るわけないんだから。
いきなり大きな狐の顏が、俺たちの目の前に現れた。
え……?
狐は俺たちを見て……。そして、特に季黎を見て、何かを企んでそうな不気味な笑い声を響かせる。
『役2年間の時を越え……お前達に、あの苦しみ以上な苦しみを与えてやる。前みたいにこっくりさんに用いる紙は限定としない。私が本当の”こっくりさん”だからだ。私が良いというまで、こっくりさんを毎回続けなさい。お前達に以前の記憶を授ける……』
そう言って狐は消えてしまった。
俺たちは訳も分からずその場に立ち尽くしていた。
こっくりさん……?記憶……?良いと言うまで?何が何だか俺たちは訳が分からなかった。
次の瞬間、原爆が落ちた時みたいに、目の前が真っ白に光り風圧が俺たちに襲いかかってきた。
俺たちはその場に気絶してしまった。数分後、俺たちは目を開けて”やっぱり夢だったのか”と思う事ができた瞬間……。季黎を除いて、俺たち4人にいきなりの頭痛が襲いかかった。
「ぐあぁぁあぁあぁあ!」
皆の目からは涙が出ていた。そして俺の目からも―――俺たち全員以前の恐怖な記憶がよみがえってしまっていた。