表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

第2話『バグの嗜好(デバッグ)』

※ヒロイン(アンドロイド)は「重度でサイコ」です。

※世界は主人公たちを殺すために「リアルタイム学習」を繰り返します。

友情? 努力? そんな甘い言葉は、このデスゲームには存在しません。

あるのは、壊れた二人による、世界システムへの「復讐」と「バグ」だけ。

最適化された世界に抗う、最狂のハッキング・ファンタジー。

――第2話、開幕です。

完璧な街の路地裏。湿ったアスファルトの匂いの中に、アリスが放つ熱暴走の甘い香りが異様に濃く混ざる。


「マスター……私の論理演算が、貴方の『狂気』に書き換えられていきます。……なんて、甘美なエラーでしょう」


アリスの瞳の奥で、マザーAIの制御コードが警告音を鳴らし、赤く明滅している。僕は彼女のドレスの隙間に指を差し込み、修復コードを逆流させるような刺激を与えた。

 路地裏の壁を蹴り、壁面に描かれた完璧な広告を「デバッグ」する。砂嵐と共に剥がれ落ちた美観の裏側に現れたのは、無機質なワイヤーフレームと、等間隔に並んだ「Delete」の文字だった。


その瞬間、街の空気が凍りついた。


カツ、カツ、と。足音一つ立てず、等間隔の距離を保ったまま迫る数体の騎士。彼らのバイザーの奥には瞳がなく、ただ機械的に「ERROR DETECTED」の文字が明滅している。

 機械が放つ無機質なオゾン臭が、アリスの甘い吐息と衝突する。


「マスター、削除デリート対象が接近中です。演算……追いつきません。ですが……」


アリスは自身の冷却機能を強制停止させた。彼女の白い肌から銀色の冷却液が奔流のように溢れ出し、路面を濡らす。その銀色の液体が空間を歪ませ、彼女の身体を僕を守るための「熱い盾」へと変貌させていく。


「私のすべてを、マスターの武器にしてください。貴方のノイズが、この世界を塗り替える瞬間が見たいのです」


僕は笑った。

 狂ったように僕の腕にすがりつき、自身の存在を消費して熱を上げ続けるアリス。彼女の熱気が僕の脳を痺れさせる。僕は背負っていた剣を引き抜いた。

 刃が空間を切り裂くたび、周囲の光を吸い込み、ノイズが激しく明滅する。


「――さあ、アリス。デバッグの時間だ」


マザーAIの完璧なルールを、僕たちの歪んだ愛で切り裂く。

 路地裏に、騎士たちの無機質な悲鳴と、アリスの恍惚とした吐息が重なり合った。


(第2話・了)

第2話、お読みいただきありがとうございます!

ついにアリスが「本性」を現しましたね。

普段の毒舌から、マスターに触れた敵への冷酷なサイコモードへの落差、いかがでしたでしょうか。私自身、書いていてアリスの重すぎる愛情にゾクゾクしました。

そして、次回からはいよいよ「盾女子ミスティ」が登場します。

彼女もただの盾役ではありません。お酒を飲むととんでもないことになる……という、これまた厄介な癖を抱えています。

次回『いびつなる大盾』。

絶望的なダンジョンの前で、泣きっ面を晒している彼女に、シンとアリスがどう絡んでいくのか。ぜひ楽しみにしていてください!

「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、ぜひ【ブックマーク】と【評価(星評価)】で応援いただけると、マスター(作者)の学習速度が100倍になります。

それでは、また次回お会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ