生き物
三題噺もどき―はっぴゃくよんじゅうきゅう。
テレビでは、なぜかカピバラが温泉に浸かっている映像が流れている。
白い湯気がもくもくと立っている中に、しっとりと濡れたカピバラ。
眼を細めているように見えるから、気持ちよく入っているように見える。
これが大きな鼠だっていうんだから、人間の動物の分け方はよくわからない。
「……」
私は、本物の鼠を見たことがないので、分からないのだけど、母は見たことがあるらしく、それ以来鼠という生き物が嫌いなにだと言う。モルモットとか、ハムスターも動物系の動画や番組で見るのを嫌がる。ハムスターは可愛いと思うんだけどな。
そういえば、カピバラは聞いたことがなかった……。
「……」
家の中は少し暗い。視界に困ることはないが、どんよりとしている。
外は昨日の夜から雨が続いており、今日もぱたぱたと音がする。
リビングに居るが、電気をつけていないので、テレビの明かりだけが頼りだ。
つけてもいいのだけど、この部屋の明かりは少々眩しいので……。
「……」
まだ、片づけられることはないであろう、炬燵を入れて、テレビを見ていた。
何かの特集かと思ったが、冬から春になったと言う話の、冬の部分で、カピバラが流れただけらしい。
すぐに、桜の開く光景にうつり変わり、すっかり春だなぁと思い知らされる。
「……」
ひらひらと蝶々が舞い、桜の下に咲いている花々に止まっている。
今の時期には何が咲くのだろう……この時期はやはり桜が目立つから、それ以外に目が行くことがないが。季節の中で、春が一番色とりどりであることは、言い過ぎという事もないだろう。
「……」
黄色の花がいたり、紫や赤があったり……一番目を引くのは、チューリップとかだろうか。
保育園の頃に、園の花壇に植えたことがある。詳しい記憶は覚えていないが、あの頃はまだやんちゃというか、男の子みたいなところもあったので、植える事よりも虫を取ることが好きだったように思える。ダンゴムシをよく捕まえていた。
そういえば、あの頃は夏になれば、カブトムシも捕まえたりしていたな。
「……」
今は無理だけど。
蝶々や蛾は平気だし、蜘蛛なんかも平気なんだけど。
いつからか、芋虫とかミミズとか、ああいう、うねうねしたものが嫌いになった。蝶になる前の物だと言うことは分かるが、見るとぞわぞわとする。
母はそのあたり、別に気にせずいるらしいが……私からしたら意味が分からない。鼠が嫌いで芋虫が平気とは。母からしたら逆もしかりだが。
「……」
母はでも、過去に色々動物を飼っていたらしい。
虫はどうか分からないが、猫や犬から始まり、ハトとかヤギとかウシとか。ウサギも飼っていたと聞いた記憶があるが、どうだっただろう。金魚やメダカもいたと言っていた。あとは、鶏。
「……」
そういえば、爬虫類に分類されるようなものは飼っていなかったんだろうか。
まぁ、昔はそう簡単に飼えるような環境でもないだろうし、今ほど設備を整えることができなかったんだろう。カエルは嫌いと言っていたし。
「……」
しかし、いつだが、母方の叔父になんちゃらトカゲを売っている所を知らないかと聞かれたことがある。
なんというのだったか忘れたが、叔父の息子、私のいとこにあたる男の子が、飼いたいと言い出したらしい。結局買ったのかどうかは知らないが。
「……」
しかし、いいよなぁ。
私も猫を飼ってみたい。
犬は昔のトラウマがあるので、飼うとしたら猫がいい。
「……」
だが、命を預かると言うのも、同時に考えると、今は難しい。
簡単に飼っていいようなものでもないから、慎重になるものだろう、誰でも。
まぁ、それに、今は、この辺りに野良猫がいたりするから、それを遠くから眺めるくらいで満足している。
「……」
そういえば、あの子は昔、犬を飼っていたことがあると言っていた。
もうかなり幼い頃の話で、中学くらいの頃に亡くしたらしい。
それ以降、飼うことをやめたのだと言っていた。
「……」
まぁ、そういう別れてというモノは、自分が思っている以上に、自分に深く刻まれる。
私だって、こんなに残るものだとは思っていなかった。まぁ……。
「……ふぁ」
眠くなってきた。
炬燵で温まっていると、そういうこともあるだろう。
得にすることもないし、休みだと思っていた母は今日仕事に行ってしまったし、寝てしまおうかな。
お題:蝶々・カピバラ・猫




