⭐︎・砦(11 三の長)
案内役をつとめるアダンの後から、司たちが入ってきた。
ビューは、先頭のいかめしい顔の司が気になった。彼も緊張している。三の長のように。
則の司。
ああ。
この気配だ。あの鳥の意識に乗って則の館を見たとき、あそこにいたのは、あれは、この司のものだった。でも、それならどうして……。
ビューの心に、さっと理解の光が射した。
そうなのか。ふたりが同じものを持っているわけは……。
(大丈夫?)
二の長が、気づかうようにビューを見る。ビューはうなずく。
三の長は気づいただろうか。知っていただろうか。則の司が自分の息子だということを。
……知らないに違いない。
ならば、伝えるべきだろうか。
それは、いつ起きたことだったのだろう。三の長が休眠から覚めて砦につめる番に当たっていたとき。テレポーテーションのできる長は、都に出かけていくこともたやすかっただろう。
長い休眠とわずかな目覚めを繰り返してきた三の長と、その息子は同じくらいの年に見える。
まだだ。このことを三の長に伝えるとしても、今じゃない。伝えたら、三の長は動揺する。それがいいことにつながるはずはない。
司たちが、卓に向き合うように並べられた椅子に座った。後ろの列の椅子に梧桐がいるのを見て、ビューは驚くと同時に嬉しくなった。
「わざわざ来ていただいて、申し訳ありませんでした」
二の長が、丁重に言った。
「私たちがこの地を去る前に、お話をしておかなくてはならないと思ったのです」
司たちの間に、さざなみのように小さなどよめきが走った。




