もう一人のパーティーメンバー
「疲れた〜〜~~!!」
勢いよく体の赴くままベッドにダイブする。行儀などというものは今はどうでもいい(ダイブとかはよるしてるけど)。
何が疲れたってそりゃもう精神的にいろいろと。お風呂に入ってる時にこの後死んで異世界に行って命が2回も危険にさらされるなんて普通思う?思わないよね!?
「はぁ~〜」
本当に疲れた。もう寝ちゃいたい。けどその前に…
「ナビー、私の能力と平均の能力を映して」
私の能力がどの程度のものなのか、知っておきたいからね。
「え~っと、私と平均の差は…」
私は画面を見てなんともいえない気持ちになった。HPとアジリティは平均以下。これは私の運動能力がそのまま反映されているからいいとして。MPが常人の1000倍あり、通常魔法属性は1,2個のところを私は全属性持っている。
強いのは助かるし心強い。心強いのだが…
「これ、バレると絶対目立つし面倒くさいことになるな。隠蔽能力もらっといてよかった」
でも、私の行動でバレる可能性は大いにある。できるだけ気をつけないと。
そうだ、能力といえば…
「ナビー、私が物を出すのって場所を指定したりできるの?」
「半径100m以内なら可能ですが、それより遠い場所には物を出すことすら出来ません」
私の疑問にナビーが音声付きで答えてくれる。
半径100mもあるなら十分もしもの時の護身用として銃を出すなどして使えそう。今度一応練習し とか ない と…
「うぅ~ん」
ふかふかのふとんが心地良い。このままもう一眠り…
「って学校!遅刻する!…あ、学校なかった」
学校があると思って飛び起き、ここが異世界だということを思い出す。
「まだ寝ていたいけど迷惑かけるかもだよな〜」
二度寝したい気持ちを抑えてベッドから起き上がって着替える。(服は女性の)
よし、着替えも終わったし。
「ナビー、リビングってどこだっけ?」
名前を覚えない私が部屋の位置を一発で覚えるわけがなく、ナビーにリビングがどこか聞く。(ナビーの名前はナビーの下中央に書いている)
「おはようございます」
「おはよう。よく眠れた?」
「はい。おかげさまでぐっすり」
「なら良かったわ」
女性がふわっと笑みを浮かべる。ちょろい男ならこれで落とせそうだな。
「お腹空いてるわよね。はい、朝食よ」
女性が出してくれたのは目玉焼きにソーセージ、サラダ、焼いたパンの朝食定番セット。定番といっても普段はそんなの作る時間は無いが。
まずソーセージを口にいれると、皮がパリッとしてる上に肉汁が溢れてきた。
「とっても美味しいです。料理上手なんですね」
「ありがとう、と言いたいところだけどこれを作ったのはルーフェスなのよ」
「そうなんですか」
てっきり女性が作ったものだと。
「そういえば、これ、なんで作ってすぐみたいにおいしいんですか?」
温かいし、時間を置いたとは思えないが、すぐに出してたから今作ったってわけじゃないもんな。
「ああ、アイテムボックスに入れておいたのよ」
「なるほど。その手がありましたか」
漫画や小説では時間が進まないものが多いしな。ていうかこの世界にもあったんだ。
「そうだ、これからマリス様が帰ってくるから早く食べたほうがいいわよ」
マリス様?
「いつですか?」
誰かよくわからないがとりあえずそこはおいとこう。
「あと…三十分後ね」
「早っ!」
やばい!急いでご飯食べて身支度整えないと!(っていうかそもそも身支度は部屋を出る前に整えなきゃだめだったわ…)
やって来たなんとか様は髪と目が赤い顔の整った女性だった。
「マリスだ。よろしく」
自己紹介短っ!もっと詳しく説明してよ。
「マリス様は例のパーティーメンバーだ。周りに怪しまれないように外ではかしこまらないように」
つまり中ではかしこまれと?補足説明はありがたいけど、この人がなんとか様至上主義だと分かってちょっと残念。
「…アリアです。これからよろしくお願いします」
今名前忘れかけてたよ。危ない危ない。
「だいたいの事情は聞いた。パーティーに入りたいんだよな?」
「はい」
目立ちそうだから嫌な気もしてきたが。
「うちは高ランクパーティーだからパーティーに入るからにはある程度の実力が必要だが、得意なことは?」
ありません。っていうかあるわけない。
「戦闘はやったことないのでわからないです」
「話にならんな」
私もそう思う。
「ただの冒険者としてなら良いでしょうか?」
「それならば私に止める権利は無いからな」
普通に いい と言えばいいのに。
「冒険者になるにしても、安全のためにある程度の実力はつけておいた方が良い。アリア、君のジョブは?」
メヒィアさんのくれた情報によると、ジョブとは、適性のある職業のことで、上から順に3つある。適性のある職業ほどスキルが取りやすく、レベルが上がりやすい。適性がある人とない人では同じくらい努力したとして、天と地ほどの差が出るらしい。
「分かりません」
「わからない?」
私の答えに全員が理解できないという顔をする。
「私の世界にはジョブがないんです」
「ジョブがないなら、どのように職業を決めるんだ?それで魔物を倒せるのか?」
「どのようにも何も、その人が得意だったり好きだったりするものですよ。魔物も魔法も存在しないので困ることは何もありません」
得意でも好きでもない仕事をしてる人だって大勢いるけど。
「本当の事を言っているのだと分かるから、余計に混乱するわね」
確かに、ジョブやスキル,魔物,魔法があたりまえのこの人たちには想像もできない話だろうな。
とりあえず、ジョブは『ステータスオープン』と言えば確認できるみたいだから…
「とりあえず、この世界に来て私にもジョブが出来てるかもしれないし、確認してみますね。ステータスオープン」
私が呪文(?)を唱えると、目の前に画面が現れた。画面には私の能力値とジョブが書かれている。スキルの欄もあるけど今は何もないな。
「出ました。え~っと、私のジョブは…上から順に聖女,賢者,鑑定士です」
「聖女に賢者,鑑定士!?」
あれ、なんか皆めちゃくちゃ驚いてる?このジョブは希少だったのだろうか。目立たず過ごすのは、無理そうだな…
申し訳ありません。これからしばらく書けなくなりました。書けるようになったら即アップしますので、見放さずに読んでいただけると嬉しいです。m(_ _)m