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第五話 第一採掘場防衛戦①

 セーマがビーサムに戻った後、艦内に部屋が与えられた。艦長に「新しい環境に慣れた方がいいだろう」と言われたセーマは、艦内を見て回ったりすることで顔見知りの数を増やしていった。そんな中、艦長から呼び出される。


「セーマ、そろそろ俺たちの一員として動いてもらう」


 セーマはそろそろ何か言われるかなと予想していたので、了承の意を示した。その後、セーマはこの艦の先輩であるアレスという人物の案内に従う。


「もう分ってるかもしれないが、ここがカークスの格納デッキだ」


「改めて見ると、すごい光景ですね」


「俺たちにとっちゃ、見慣れないお前の機体が一番すごい光景だよ」


 そうしてセーマたちがアストレアの元へ向かっていると、突然女の人から声を掛けられる。


「貴方があの機体のパイロットのセーマ君ね?」


「えっと…?」


 突然出てきた作業服姿の女性にセーマは困惑する。


「ああ言いそびれたわね。私がこの艦の整備長、トート・シュリ。いまはあなたの機体を担当しているわ」


「よろしくお願いします?」


 少し早口気味で言われ、いまいちピンとこなかったセーマにアレスが語り掛ける。


「セーマ、整備士とは仲良くしておけよ。嫌われたら地面に着地するのすら覚束なくなるぞ」


 その言葉にトート・シュリと名乗った人物が言い返す。


「人聞き悪いわね。公私混同はしないわ。ただ、あなたの操縦はひどいそうじゃない。整備士に嫌われてないといいわね?」


「おっと後で差し入れでも持っていくか…」


 冷や汗をかきながらアレスは目をそらす。その様子をジト目で見ていた見たシュリはセーマたちに声を掛けた目的を思い出したのか、セーマの方を向く。


「そんなことより、あなたの機体は何なの?」


「えっと、トート・シュリさん。何なのと言われましても…」


「ああ、シュリでいいわよ。そうね。一部だけ言うならあの機体、誰が乗っても操作ができないのよ。もしかして|生体認証でも登録した《貴方しか操作できないようにした》?」


「生体認証と言われてもよくわからないんですけど…」


「まああの機体はほかにもいろいろ分からないところがあるけど…生体認証っていうのは、このパイロットしか受け付けませんって感じに設定することなんだけど、知らない?」


「そんな設定はした記憶がないです。ただ、起動したときにマスターって表示された気が…」


「マスター?もしかして、あの機体AIでも積んでるの?なかなか珍しいわね…あと、貴方の機体の武器はどこ?戦闘に使っただろうし、その整備もしておきたいんだけど…」


「無いですよ?」


「「は?」」


 シュリとアレスの声が重なる。


「あの機体の装備はあのシールドだけです。それ以外は表示されませんでした」


「えっと…貴方三機と戦闘したのよね?」


「おいおいマジかよセーマ。お前シールドだけで敵を倒したのか?」


 困ったような表情になるシュリと疑うような表情になるアレス。


「はい…でも途中からは敵から武器を奪って戦いましたよ?」


「なかなかいかれてやがるぜ…」


「自殺願望でも持ってるのかしら…」


 ドン引きした表情のシュリとアレス。


 結局そのあと、パイロットスーツの場所やこの部隊で使用している武器のことなども教えてもらい、アレスと一緒に整備士に差し入れをしに行くセーマだった。


 なんで?


 ─────

 ───

 ─


 数日たったある日、


『これから本部の命により、第一採掘場に向かう。基本は見張りだが、敵との戦いも想定されるためカークス部隊は油断せず準備をしておくように』


 セーマがビーサムでカークスに乗るパイロットの男4人ぐらいとトランプをしていた時、艦長からの放送によって、この艦にいる人たち全員が作戦を伝えられた。セーマは来るかもしれない戦いを前に緊張していた。


「あんま緊張すんなよ、セーマ」


 アレスは放送の後一時的に止めていたトランプをする手を再び動かしながら、セーマに語り掛けた。


「アレスさん…」


「この星に降り立つのは宇宙での警戒網や戦いを潜り抜けてくる奴らだ。絶対ないとは言えないが、あくまで俺たちはもしもの時のための戦力だから、もうちょっと気楽に構えておけ」


「わかりました。緊張しすぎないようにします」


 ちなみにトランプはイカサマをしていたアレスが勝った。


 ─────

 ───

 ─


 また数日たったある日、母艦〈ビーサム〉は第一採掘場上空へと来ていた。

 母艦内で、セーマはカークスの格納デッキに来ていた。


「あっちにあるのは〈モープ〉だし、こっちにあるのは〈モート〉で、アストレアは僕の機体だからわかる。でもあの機体は何だ?」


 疑問に思うセーマの背後から人影が迫る。


「私の機体をじっと見て、どうしたんですか?」


「オピスさん!?」


「驚かせてしまったようですね。ごめんなさい。」


「いや…僕が勝手に驚いただけだから…その、あの機体ってオピスさんのものなの?」


「はい。バルホール帝国で造られた、私の専用機“ハルモディア”です。」


「そうなんだ…見たことない機体だから、つい見すぎちゃったよ」


 その機体はアストレアより太いが、重装甲の機体と比べると細い。太く頑丈そうなケーブルが背中の上半分にある箱のようなパーツから延び、その先は機体と同じぐらいあるのではないかというぐらいの巨大な装置につながっていた。


「あれはなんですか?」


 セーマは特徴的な装置を指さしながらオピスに問いかける。


「あれはビームキャノンです。地上では少し威力が弱くなりますが、あれを使うことでカークス単体でのビームによる長距離砲撃が可能です」


「そんなにすごい装置だったんだ…」


 少し誇らしげなオピスと驚きが隠せないセーマ。そんな二人に声が届く。


『第一採掘場周辺に巨大な熱源反応を確認した!カークス部隊、戦闘態勢!準備ができたやつから出撃しろ!オピスとその部下は母艦の防衛に当たれ!』


 セーマとオピスは和やかな雰囲気を消し去り、自分の機体へと向かった。

※アレスはセーマと一緒にビーサムに着陸した人です。


機体紹介


ハルモディア


バルホール帝国で製造された機体。背中にケーブルのような物でつながった大きなビーム砲があるのが特徴。ビームキャノンだけ空に滞空させることが可能であり、狙撃が可能。ハルモディア本体は近距離にも対応するためその装甲は厚くない。珍しいAI搭載機であり、AIにビーム砲の制御を任せることもできる(精度は落ちる)


〈武装〉


有線式巨大ビーム・キャノン、小型ビームマシンガン(ビームキャノンに収納)、ビームソード(ビームキャノンに内蔵)、小型シールド、三連装腰部ミサイル

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