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不思議詩集7  作者: 仲仁へび
おまけ
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おまけ01 拍手する 解読小説



 たくさんの人たちがいる。


 劇場の中で、見世物を見て楽しんでいる。


 皆同じ反応で、誰もつまらなさそうな顔をしている人はいない。


 劇が終わったら拍手をする。


 そのぱちぱちという音は、合わせたかのように同じタイミング。


 まるで不気味なその光景は、個というものが消え去ったかのように見えた。


 それも当然だろう。


 彼等、彼女達は個の消失を受け入れた者達なのだから。




 かつて、一つの国に様々な人たちがいた。


 彼らはそれぞれにたくさんの違いがあって、そのために分かり合い、理解するために苦心した。


 けれど、やがて疲れてしまった。


 人が人である限り、それらは永遠に終わらないと悟ったのだ。


 だから、違いを違いと感じなくすればいいと、個を消滅させた。


 統一された一つの意思をみんなで共有する事にしたのだ。


 その結果、違いからくる争いはなくなった。


 皆平和になり、同じ思いを共有し、同じ事を考える日々がやってきた。


 劇場で過ごす彼らは、おそらく幸せなのだろう。


 ダンス、音楽、ストーリー。


 何を見て、聞いても。


 まったく同じ顔で楽しそうにするのだろう。





 彼等こそが出来の悪い見世物だ。


 旅人の自分が、そう言っていくら哀れだと思っても、彼等、彼女等は皆同じような顔で否定するに違いない。



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