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Wrist  作者: 洋巳 明
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風穴

六話 風穴


 異能対策局には様々な部署がある。『異能者』による犯罪、就職、教育。主にこの3つの分野を一手に引き受けている、『異能者』のための組織。働いている人間はみんな『異能者』であり、地方にも支部局がある。

 早岐は軽い足取りで、犯罪を犯した『異能者』が収容されている施設の中を歩いていた。彼は昨夜、上司から回された仕事の関係で男を取り調べた後であった。

(今回も楽な仕事だったなぁ。)

 北、といったか。入ってきたのが男だとか何とかで、ダンマリを決め込もうとしていたが、早岐にそれは通用しない。彼と向き合った以上、わかるのはやっているか、やっていないかである。

 結論だけ言えば、北はやっていた。やりまくっていた。ほんの少しつついただけでも、ぼろぼろ罪が露呈してきた。正直、この後の報告書が面倒臭い。

 早岐は自分のメモを確認しながら、『捜査課』に回す分、『情報課』に洗ってもらう分、『総務課』に処理してもらう分などと、情報の整理を行う。

(主任が今欲しいのはこの辺の情報だろうな。)

 くるくるとメモ帳に丸をつけながら歩く彼は、前を見ておらず、横の通路から出てきた人にぶつかった。

「っと!すみませ…あれ、よいっちゃん!?」

 お互い驚いて固まる。横の通路を出てきたのは、同僚の宵人だった。今日は非番のはずである。

 宵人はチッと舌打ちをした。彼は私服姿で、スーツの人々が出入りしているこの場では、少し場違いだ。

「一巳。」

 宵人の動きは素早かった。早岐は腕で壁に押さえつけられる。宵人は必死だった。

「ここで俺を見たことは誰にも言うな。特にナオ兄。次にお前。その次に榊さん。その次に…。」

 早岐は、もう俺にはバレてるでしょ、と呆れつつ、あえて突っ込まなかった。彼は肩をすくめ、横目で宵人が来た方向を確認する。そっちには。

 ああ。なるほど。早岐は頷いて軽く笑う。

「ほんと、優しいよねぇ。」

 ニヤつく早岐を、宵人は睨みつけた。そちらにあるのは、『少年犯罪対策課』の部署。何をしに行ったのかは大方予想がつく。

「ミカちゃん。元気だった?」

 数週間前の空き家で起こった事件の加害者である少女、ミカ。宵人は彼女に会いに行っていたのだろう。

 宵人は顔を顰めて、ため息をついた。

「…最近、よく笑うようになったよ。少なくとも、痛いは辛いということをわかってくれたらしい。」

 諦めたように告げる彼の目は優しかった。永坂に頼まれて、ミカをここに連れてきたのは他ならぬ宵人で、彼は彼女のことを気にかけていたらしい。

「にしても、非番のときに出るほど入れ込むなんて。何?光源氏でも目指してんの?」

 早岐の軽口に、だから嫌だったんだよ、と宵人はぶつくさ言う。

「連れてくる道中であの子に、遊んでやるから機嫌を直せって言っちまったんだよ。…約束は守らねぇと。」

 宵人は肩をすくめた。この同僚がたまに、擦り傷をつくって出勤してきていた謎が解けて、早岐はまたニヤついた。

「あとな、これ普段はナオ兄がやってることなんだからな!俺はそれを真似しただけ。その顔やめろ、張り飛ばしたくなる。」

 お人好しな上司の元では、お人好しな部下が育つらしい。早岐はくすくす笑いながら、宵人の肩を叩く。

「その“ナオ兄”が動けないから、自分が動く時点でやっさしいんだよなぁ。いやいや、特務課の未来も安泰ですわ。」

 ついに宵人の手が出た。脇腹を蹴られた早岐は咽せる。ため息をついて宵人は、早岐から腕を外し、もう一度他言無用だと睨みつけると、出口へ向かって歩き始めた。

 早岐は息を整えてその隣に並ぶと、少し真面目な顔で宵人に話を振る。

「ミカちゃんの話のついでだけどさ、彼女の持ってた凶器、あれってどうなったか知ってる?」

 旭の脇腹を刺したナイフの話である。脇腹の傷だけ治りが悪かったという話から、ミカのではない『力』が篭っていたのだろうと、永坂の報告書にあったのだ。宵人は、ああ、それなら、と先程いた方向を指差す。

「少年課の方が預かっていたはずだが。そのうち捜査課か、情報課に回されると思う。」

 早岐は眉を寄せた。

「あれさ、よいっちゃんは視たんだよね。何かわかった?」

 宵人はその目の性質から、捜査課などと連携することも多い。確か凶器を押収したついでに、ナイフの所見報告を出していたはずだ。

「そうだな、有益な情報かどうかはわからないが、あれはまだ、『使われていない』ものだと思う。」

 宵人は所見を思い出しながら話した。

「確かに『力』を纏わせれば、対『異能者』戦において、殺傷能力や攻撃力を上げることができる。銀なんかは『力』に対する感受性が高いから、よく使われる。でも、あれは普通のステンレスの果物ナイフだった。殺すには刃渡りが短いし、それに『力』の纏わせ方が中途半端だった。」

 ミカに持たせるにはちょうどいいかもしれない、そう語る宵人の眉間に皺が寄る。早岐は苦笑しつつ、続きを促した。

「だから、あれは結果的に『力』が篭ってしまったもので、真価はこれから発揮されるんじゃないかと思う。そういうふうに報告したな。」

 早岐が眉を吊り上げる。その反応に宵人は、怪訝な顔を彼に向けた。

「…ふーん。使われるのはこれから、か。」

 何か思うところがあるらしい。早岐はくるりと身を翻した。

「どうした?」

 どうせ答えないだろうと思いつつ、宵人は一応訊いてみる。振り返った早岐は、何か企んでいる顔をしていた。

「まぁ、たまにはお人好しな2人に流されてみるのも悪くないかなぁって?」



 11月28日。旭と永坂は異能対策局に来ていた。

(ここがナオさんの職場かぁ。)

 警察署のような見た目で、わりと大きい。好奇心満々で、目の前の建物をしげしげと見つめる旭の隣で、永坂はどこか憂鬱そうな顔をしていた。

「どうしたんですか?目が死んでますよ。」

 旭が覗き込むと、ため息をつかれてしまう。これは重症そうだ。

「いや…。お前は気にしなくていい。」

 珍しく歯切れが悪い。この先に何が待っているというのだろうか。旭は緊張を紛らわせるために、今回の件について振り返ってみた。

 11月28日。ずっと姿を消していた杉崎が姿を現した日。5年前、彼が現れた場所というのが、この異能対策局に隣接している、犯罪を犯した『異能者』を収容しておく施設、いわば『異能者』の刑務所だった。

 つまり、今日はここで何かしら起こる可能性が高い。そう睨んだ永坂が、久しぶりに出勤したのだ。

 2人は車を降りて、受付に向かった。

「おはようございま…!?永坂さん!お久しぶりです。」

 受付に座っていた女性2人は、永坂を見て目を丸くする。ついでに旭にも視線が向けられて、なんとなく彼女はこそばゆい気持ちになった。

「お久しぶりです。」

 永坂は会釈して、受付の女性に尋ねた。

「岸さんはもう出勤されてますか?」

 女性はついさっき、と答えて左手の通路を指した。永坂は頭を下げると、旭を連れてそちらへ歩き出す。


「永坂!」


 その瞬間、後ろから声をかけられて、永坂と旭は振り向いた。そこには、中年の、人の良さそうな顔をした男性が立っていて、彼を見た永坂は深々と頭を下げる。

「おはようございます、岸さん。」

 それは先程受付に確認をとっていた名前。旭は近づいてくる岸と永坂を交互に見た。

「おう、おはよう。…お前なぁ、面倒な案件に関わっちまったからって、出勤しなくなるのやめろよな。心配したんだぞ?」

 岸は親しげに永坂に絡む。永坂も別に嫌そうではなかったが、少しだけ呆れたように言う。

「彼女を連れて、ここをうろつくわけにもいかないでしょう。というか、俺は連絡しましたよ。上から許可も降りてます。」

 岸はきょとんとして、ポケットを探る。そこから画面の割れた携帯を取り出して確認すると、あっと声を上げた。

「悪い、見てなかった。」

 わっはっは、と豪快に笑って、彼は永坂の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。されるがままの永坂は、いつも通りの無表情。

「で、アンタが…。」

 永坂の髪をボサボサにして満足したのか、岸は旭に目を向ける。ボーッと二人のやりとりを見ていた旭は、ハッとして、慌ててお辞儀をした。

「旭兎美です。」

 彼女が名乗ると、岸は目を細めて頷く。

「俺は、総務課課長兼、特務課課長代理、きし 裕二郎ゆうじろうだ。よろしくな、旭さん。」

 人懐っこい笑みを浮かべて紹介してくれる岸に、旭はもう一度頭を下げた。彼はそんな彼女を見て、嬉しそうに言い放つ。

「まさかお前がこんな別嬪さんを捕まえてくるとはなぁ。」

 は。旭は顔を上げて、永坂の方を見る。彼は非常に迷惑そうな顔をしていた。

「冗談はやめてください。」

 きっぱりとそう言うと、永坂はため息をついた。それを聞いた岸は、悪戯っぽく目を光らせる。

「あん?なんだ?一緒に生活してるってのに、何もないのかい?」

 岸の目が永坂と旭、交互に向けられる。永坂は眉間に皺を寄せ、旭は慌てて首を横に振った。

「「何もないです。」」

 二人の声が重なる。息ぴったりじゃねえか、と岸がけらけら笑った。

 この一連の流れから、旭は永坂の目が死んでいた理由を察する。彼は、岸に会えばこういう話題を振られるとわかっていたのだ。確かに永坂の苦手そうな流れである。旭は苦笑した。

「悪い悪い、お前はなかなかいい話を持って来ないのに、厄介な案件にはよく巻き込まれるからな。黒川や予見の家に操立ててんじゃねえかって、俺は心配になるよ。」

 岸の目に心配の色が溶け込む。本気で永坂のそういう事情を案じているらしい。彼の恋愛遍歴はよく知らない旭が永坂の様子を窺うと、彼は仏頂面で、岸の方を見つめていた。

「ま、冗談はさておき。俺に何の用だ、永坂。」

 岸が笑みを浮かべつつ、真剣な口調で言った。

「最終確認みたいなものです。避難状況と、警備体制を聞いておきたくて。」

 以前から、岸に話を通していたらしい。大半の非戦闘要員は自宅待機、動けるものは警備や控えに入ってもらっている。永坂と岸は人員の配置場所や、襲撃の予測位置などを話し始めた。

「まぁ、大体これで大丈夫だとは思うが。収容している囚人たちの配置は変えているし。」

 岸がきちんと、上に話をして、指示を出してくれたらしい。彼に永坂は頭を下げる。

「最善を尽くしますが、相手がどういう出方をしてくるか次第です。『視界操作の異能』にはよく注意するように総員に伝えておいてください。」

 岸はわかったと答えて、永坂を見上げた。

「お前も十分に注意しろよ。もう俺に可愛い部下を失わせないでくれ。」

 口調は軽いが、それに込められた意味合いは重たい。永坂はしっかり頷いて、薄く笑った。

「大丈夫です。優秀なボディガードがついているので。」

 頭を下げると、彼は岸に背を向ける。旭も岸にぺこりとお辞儀をして、彼の後を追った。

 その様子を眺めていた岸は目を丸くして、でもすぐに嬉しそうに笑んだ。


 岸と別れた2人は、収容施設の方へ向かった。

 そこは歩いて10分足らずのところにあり、今は人の気配が少なく、がらんとしている。その正面玄関に、長い髪をポニーテールでまとめた、凛とした雰囲気の女性が立っていた。彼女は永坂を見て、頭を下げた。

「おはようございます、主任。」

 その声もパリッとしていて、旭は真面目な印象を受けた。彼女は永坂の部下の1人、特務課の紅一点である。

「おはよう、池田。」

 永坂も挨拶を返した。つられて旭もおはようございます、と頭を下げる。池田は、そんな旭に鋭い目を向け、堅い口調で言った。

池田いけだ 杷子わこです。よろしくお願いします。」

 その視線に、なんとなく敵意に似たものを感じて、旭は内心首を捻りながら自己紹介を返す。

「旭兎美です。よろしく、お願い、します…?」

 気のせいではない。やはり、視線が突き刺さる。じっと旭を見定めるような顔。彼女の目は、最終的に旭の左手にたどり着く。

 少し考えて、旭は気づいた。ああ、これは。旭はちょんちょん、と池田の腕をつついて永坂から引き離し、ギリギリまで離れたところで、彼女に耳打ちした。

「あの、確かにこんな状況で誤解されやすいんですが、永坂さんとは本当に、何も、ないんで。本当に、何もないです。」

 ずいっと旭は池田に顔を近づけ、念を押すように言い含めると、その必死さが伝わったのか、その勢いに押されたのか、池田はこくこくと頷く。よし、と旭が永坂の方に戻ろうとすると、服の裾を池田に掴まれた。

「ええと、なんで…?」

 彼女の顔はいつの間にか真っ赤である。凛とした印象が一転、恋する乙女は実に可愛らしい。旭は生暖かい目で彼女に笑いかけると、怪訝な顔をしている永坂の方へ戻った。

「もういいのか?」

 そう言うと、永坂は、自分の顔を絶対見ないようにしている池田を、心配そうに見つめる。

 旭はそんな彼の肩を叩いて先を促した。彼女の視線の生暖かさに、永坂は冷たい目を向ける。何の話をしていたのかは察せなかったが、旭からの邪念は感じ取ったらしい。

「池田、ここは頼んだ。危ないと思ったらすぐに退避して連絡しろ。」

 永坂はまだ少し赤い池田にそう言うと、旭とともに建物の中に入っていこうと彼女に背を向ける。そのときだった。

 ドーン、とくぐもった轟音が響いて、振動が3人に伝わる。爆発でも起きたような音と揺れに、旭の目が建物の奥の方で、紅く輝く『力』が迸るのを捉えた。

 旭は永坂の方を窺う。彼は旭と目が合うと、頷いた。

「…始まったか。急ぐぞ。」

 そして、永坂は走り出す直前に池田の方を振り返って、指示を飛ばす。

「予定変更だ。池田、一緒に来てくれ。ここは他に任せる。」

 池田は彼の背中に返事をすると、2人とともに奥へ向かった。


 永坂たちが収容施設を訪れる30分前。

「おい、どこ行くつもりだ、一巳。」

 宵人は持ち場を離れようとする早岐を呼び止めた。彼らの今回の役割は、後方支援。早岐の向かおうとしている方向は、持ち場と正反対の階段の方であった。

 早岐はおっと、と悪びれもせずに微笑む。

「やー、よいっちゃん。ちょっと緊張しちゃってさ、作戦前にトイレに行っておきたくて。…なんて、誤魔化されてくれないよね。」

 宵人の鋭い目に射すくめられて、早岐は降参とでも言うように両手を上げた。

「主任には話を通してあるよ。行かせてくれない?」

 早岐の目は窺うようで、探るようで。宵人は少しムッとしたように口を真一文字に引き絞ると、目を伏せた。

「…お前はいつもそうだろ。」

 早岐は飄々としていて掴みどころがない。ふざけているように見えるが、よく周りを見ていて、自分の役回りをきちんと押さえている。永坂と別の意味で、ソツのない男だ。

 彼とよく組む宵人にとって、実はそれが少し不満だった。早岐は汚い部分を独りで処理してしまう。宵人が受けるのはいつも事後報告。

「ミカのことなら、俺も気づいてるよ。一緒に行かせろ。」

 それを聞いても早岐は微笑んだまま、表情を崩さない。だが、宵人は彼が少したじろいだことに気づいた。

 ミカを拘束してから約1ヶ月、宵人は彼女の元を、週に1〜2回訪れていた。だから、彼女がまだ敵から役割を負わされているであろうことも、最近少し様子がおかしいこともわかっていた。

「今回の一件、彼女を使って、相手はここの警備に穴を開けるつもり、一巳と忠直さんはそう睨んでいるんだよな。…だから俺に相談しなかった。いや、そう手を回したのはお前だよな、一巳。」

 早岐は肩をすくめてため息をついた。

「あーあ、慣れないお節介なんてするもんじゃないよね。そんな目で見るなよ。よいっちゃんは本当に、俺のこと大好きだよね。」

 宵人は目を見開いてはぁ!?と叫んだ。

「どっからそんな話になったんだよ!」

 うるさいなぁ、と早岐は耳を塞いで歩き始める。宵人が後からついてくるが、それを拒否することもなく話し始めた。

「そうだよ。ひと月前の事件、ミカちゃんはデモンストレーションを起こしていない。だからあれは、下準備だったんじゃないかって、主任は睨んでた。ただ、俺は彼女から何も聞き出せてない。子どもには俺の『異能』、効きづらいんだ。でもそこに、よいっちゃんの情報が加わった。」

 ミカから押収したナイフ、あれは『使用前』である、と宵人は見立てた。そのことから、早岐は使われるのは今日ではないかと思ったのである。

「こいつは、ほいっ、と。」

 早岐は階段を登って、3階のしばらく歩いたところにあった部屋に、懐から出したナイフに巻かれていた『異能封じ』の縄を解いて投げ込んだ。中でカランカラン、と乾いた音が響いた。

「お前、それ持ち出して大丈夫なのか!?」

 驚く宵人に手招きして、早岐はさらに進む。

「まあね。めんどくさいことは主任に投げるってことで。」

 ははっと悪びれもせずに笑う早岐を、宵人は呆れたように見た。

 早岐は、階段を登り、4階のどんどん人の少ない方へ向かっていく。そして、少し視線を迷わせ、ため息をついた。

「…はい、よいっちゃん。ここだよ。」

 彼はとある会議室の前で止まった。そして宵人に視るように、目で促す。怪訝な顔をしつつも、宵人は中に意識を集中させた。そして、驚いた顔で固まる。

 宵人の目に、ミカの『力』が見えた。彼女はここにいる。しかも、『異能』を行使した後らしい。早岐の方を見ると、彼は申し訳なさそうに笑った。

「だから、連れてきたくなかったのに。」

 恐る恐る、宵人はドアを開けた。昼なのに、窓に厚いカーテンがかかっていて、薄暗い。

「…ミカ。」

 中には、ミカだけでなく、数発食らった形跡のある職員もいた。彼を脅して少女はここにたどり着いたらしい。

 宵人に呼ばれて、ミカはびくりと体を震わせた。しかし、職員の喉元に突きつけたガラスの破片は手放さない。その目は怯えているというより、何か覚悟を決めているようであった。

「ミカ、その人を解放してくれないか。」

 宵人はしゃがんで、少女と視線を合わせる。彼の瞳には悲しみが滲んでいて、ミカも何かを感じたように堪えるような表情を見せるが、首を横に振った。

「…いや。」

 グッと切先が職員の首に押し付けられ、血が伝う。

「そうしてほしいなら、『しゅうようじょ』の場所を教えて。このひと、ミカに嘘ついたの。」

 ミカは怒っているような口調でそう言った。宵人の後ろで早岐が眉を顰める。

(相手の目的は、収容されている囚人たちか。味方でも増やすつもりか?)

 早岐が余計な手出しはしないように見守る体勢を決め込んだとき、3階の方から、ドーンと轟音が響いた。

「!」

 それを聞いたミカは反応して、音の方向に目を向け、職員から気が逸れる。その隙に宵人はミカの手から彼を回収して、距離をとった。

「あっ!!ダメ!」

 少女は慌てた様子で宵人に向かって、隆起させた壁を襲い掛からせる。抱えた人間の重さで動けない彼を庇うように、早岐がミカの攻撃を蹴り破った。立て続けに飛んでくる隆起を、早岐は軽々いなしていく。

「いや!返してよ!」

 焦りのせいか、攻撃は速いが動きが読みやすく、簡単に早岐の接近を許してしまった。最後の一撃も呆気なく蹴破られ、ミカは拘束される。

 職員を安全な位置に移動させ、逃げるように指示した後、宵人はミカの方に戻ってきた。少女はじたばたと暴れていたが、宵人に気づくと泣き始める。

「…ひっく、お兄ちゃんのばか、なんで、ミカのじゃまするの?」

 しゃくりあげる彼女を見て、宵人は悲しそうな顔をした。

「ミカ、どうしてこんなことをしたんだ?」

 逃した職員は、ミカの監視をしていた人間であった。たぶん、ミカはなんらかの方法で手錠を外させて、彼を脅して『収容所』の場所を吐かせようとしたのだろう。それはきっと、彼女を利用しようとした大人のさせたこと。

 ミカのために押し殺してはいたが、宵人は怒りが込み上げてくるのを感じていた。

「…お、おねえちゃんが、ひっく、おとうさんと、おかあさんに、ひっく、あわせて、くれるって。」

 宵人だけでなく、早岐もぎゅっと唇を噛んだ。

「それで、ミカはこんなことをしたのか?」

 彼女の近くにはガラスの破片が転がっている。彼女なりに必死であったのだろう。両親に会うために。

「ね、ミカ、おとうさんと、おかあさんにあえるかな?おにいちゃん、ミカ、がんばったよ?」

 それを聞いた彼は、たまらずミカを抱きしめた。

「…ごめんな、もう誰も、お前に、お父さんとお母さんを会わせてはやれないんだ。」

 それを聞いたミカは、理解できずに一瞬固まるが、唸って、宵人の手から逃れようともがく。

「おにいちゃんの、うそつきぃ!!だって、おねぇちゃんは、おねえちゃんは、あわせてくれるっていったもん!おねえちゃんは、うそつかないもん!」

 ミカが喚くと同時に、背後の壁が粉砕された。ドゴーン、と遅れて轟音と揺れが早岐と宵人を襲う。早岐はすぐに身構えた。


「そうよ、私、嘘なんてついてないわ。」


 女が、いた。

 ミカに注目していた宵人は、その接近に気づかなかった。

 女は宵人からミカを奪い取ると、その頰にキスした。宵人だけでなく、早岐の目にも迸る紅い『力』の色が届く。

「やめろ!!!」

 思わず宵人は、女に飛びついた。しかし、取り返すことはできない。

 パンッ。風船が弾けるような小さな爆発。女の手元から、力の抜けた小さな体が溢れる。

 宵人は、言葉にならなくて唸った。早岐が、また飛びかかっていこうとする彼の後ろ首を掴んで、それが見えないように彼の目を塞ぐ。

「…外道が。」

 早岐の呟きにも、女は笑顔を崩さない。

「いずれ『異能者』全員がこうなるの。…ミカは両親に早く会いたがっていたわ。」

 幸せになれますように。女は足元の少女に祈りを捧げるように、目を瞑った。

「でも、残念ね。こんなところに誘き出されてしまったわ。…仕組んだのは貴方?」

 女が早岐に目を向ける。彼は何も答えずに、周囲の状況を把握しようと努めた。

 職員たちが、最初の轟音が聞こえた、早岐がナイフを投げ込んだ3階部屋の方に集まっているのがわかって、彼は狙い通りだ、と心の中で安堵する。

 女はそんな早岐を冷たい目で眺めて、微笑んだ。

「私はクイーン。初めまして。噂通り小賢しいわね、『早岐家』。」

 その言葉を耳にした早岐は、目の前のクイーンと名乗った女を睨みつける。

「本当は、あのナイフの爆発で、もう少し殺せたはずだったの。そちらに気が向いているうちに、ミカに道案内させるつもりだったのに、あれでは誰も殺せなかったみたい。貴方のせいよね?」

 クイーンの目が暗く淀む。その目で見られた早岐は背筋を震わせた。

 綺麗な女だった。長い髪に、赤い口紅。見た目だけだと、道ゆく人の気を引いてしまうような美人。しかし、『異能者』の目には、その『力』の色が、非常に攻撃的に映る。何もかもを爆発し尽くしたいような、そんな。

「気に入らないわ。貴方たちは、計画に大人しく従っていればいいのよ。ご丁寧に『デモンストレーション』してあげているでしょう?」

 クイーンは懐から取り出した何かにキスをすると、早岐に向かって投げた。彼が避けたそれは、カツカツ、と音を立てて壁に当たる。

(ダーツの矢、か?)

 早岐が様子を窺う間もなく、それは弾け飛んだ。壁に亀裂が走る。クイーンの『異能』は『爆破』。使う場所によっては、大勢が死ぬ。

「…やべえな。よいっちゃん、ぼーっとしないで。」

 早岐は宵人を解放して、割れた壁から彼を廊下に放った。

「逃げろ、そして中にいる職員全員逃がせ。最悪、ここが瓦解してもおかしくな」

 言う間もなく、矢が飛んできて、爆発が起きる。早岐は鼻先を掠めたそれを見て肝が冷えた。

 ミカを気にしていたらしい宵人も、さすがに事態のまずさに気づき、頷いて走って行こうとした。

「逃がしませんよ。」

 クイーンの声。宵人の頭目掛けて、矢が飛んできた。

「あぶ、ない!!」

 もう少しで、というところでそれは床に刺さった。宵人が飛び退いた瞬間に爆発が起きて、床に穴が空く。

 彼は見たことのある『力』の色に驚いて左に視線をやった。ここで、旭と永坂、少し遅れて池田が到着する。

「悪い、遅くなったようだな。」

 永坂は割れた壁と中の様子を見て、眉間に皺を寄せた。永坂を見てニッコリと微笑む女に、その付近で倒れているミカの体、早岐が1人、応戦している状況である。

 旭がすかさずクイーンに手を向けた。ずん、とクイーンに重い『力』が加わり、彼女は矢を投げ損じる。

「くっ。」

 早岐が接近して、クイーンに一撃与えようとするが、彼女が足元に放った矢が爆発した。早岐の体が転がる。

「早岐!」

 永坂が駆け寄ろうとするが、早岐はそれを手で押し留め、立ち上がった。何とか致命傷は避けたようだが、ふくらはぎを焼かれている。

「くそ。主任、狭くて立ち回れないです。外におびき出せませんかね。」

 広い場所を選んだとはいえ、室内ではどうしても動きづらい。そして、早岐はミカの体を避けるようにして戦っていた。

「…ここは4階か。」

 中庭であれば、広い場所が確保できるが、クイーンを叩き落とすまではいいとして、もしも正面に回られれば避難した職員たちがいる。しかし、4階から飛び降りるのは、無理がある。

 そう言っている間にも矢が飛んできて、廊下に面した壁が半分削れた。旭の『異能』で抑えておける時間にも、限りがあるのだ。

「私のこと、無視しないでくださる?」

 クイーンは不快そうに一気に大量のダーツの矢を取り出すと、広範囲に投げた。これは避けきれない。

 そう思った彼らの後ろから強い風が吹いた。ダーツの矢は中庭に面する壁に刺さり、クイーンの後ろ側を吹き飛ばす。クイーンは忌々しげに唇を噛んだ。

「主任、私ならできます。」

 池田が永坂を見つめていた。彼女の『異能』は風を起こすことができる。落ちるときに、風で衝撃を緩めることも可能であろう。

「ああ、任せた。」

 池田の力強い言葉に、永坂は頷いて、右手首を引っ張った。クイーンの相手をしていた旭はそれに伴って、彼女から飛び退いた。

 代わりに永坂が彼女に接近し、対峙する。彼は矢を避けると、クイーンに蹴りを食らわせた。避けては蹴る。その繰り返しで、端に追い詰められたクイーンは苦い表情を浮かべる。

「女に手を上げて恥ずかしくないんですか?」

 永坂は肩をすくめると、ミカの方を一瞥して、吐き捨てた。

「気にする余裕はない。」

 最後の一撃を避けたときにクイーンの体はぐらついた。それを狙って池田が強い風を起こす。耐えられなくなって、クイーンは落ちていった。下の方で爆発音。爆発によって落下の衝撃を緩めたらしい。

「行きます。」

 間髪入れずに池田が飛び降りた。永坂はそれを見送って、宵人と早岐の方に目をやった。

「御厨、早岐、お前らはあとは避難指示と、榊に連絡を頼む。ミカはまだ生きている。急げ。」

 その言葉にずっと半分放心していた宵人はハッとして、ミカに駆け寄る。ひどい火傷ではあるが、確かに息はあった。宵人がクイーンに飛びついたときに、狙いが逸れたらしい。

「俺たちは追うぞ。」

 永坂が階段の方に行こうとすると、旭はそれを引き止めて、にやりと笑った。

「こっちの方が早いです。」

 彼女は怪訝な顔をした永坂の腰を掴んで、抱きかかえるようにしながら、池田と同じところから飛び降りる。

「!?」

 永坂は突然の紐なしバンジーに声も出ず、悪戯っぽく笑う旭を、信じられないものを見る目で見た。

「掴まっててくださいよっ!」

 旭はすとん、と軽く着地すると、永坂をそっと降ろした。2人とも、無傷であった。

「…報連相ってわかるか?」 

 永坂は疲れ切った顔をしている。その声にもどこか覇気がない。

「言ってる場合じゃないでしょう。」

 対称的に、旭は少し楽しそうだ。永坂はやれやれと首を振ると、爆発音が響く方向に目をやった。

 そこには、荒れ狂っているクイーンがいた。池田が苦しい顔をしながら、なんとか応戦している。中庭に出たのは正解であった。こんな爆発を室内で起こされれば、とても避けることはできないだろう。

「確かに。」

 永坂は旭とともに、池田の援護に入る。そんな彼らの姿を見て、クイーンが顔を歪めた。

「服が汚れたわ。」

 爆発で衝撃を相殺したときのものなのか、彼女の服の裾は破れて焦げている。綺麗に伸びている長い髪も毛先が焼けていて、乱れていた。クイーンは明らかに不機嫌になっている。平静を欠いたせいか、行動も雑だ。

「それに、計画も台無しね。…13に怒られてしまうわ。本当に、不愉快だわ。」

 クイーンはキッと最も前線に立つ池田を睨みつけた。先ほどから、彼女の風のせいでダーツの矢はあちこちに飛ばされてしまう。

 爆風に紛れて、クイーンは転がっていた石に口づけした。少し大きめで重いそれは、風には飛ばされない。

 池田に向かって真っ直ぐ飛んでいった石に、彼女は反応できずに固まる。しめた、とクイーンはほくそ笑むが、池田に当たる直前で、旭が石を蹴り返した。辛くもクイーンが避けた石は、壁にめり込んで爆発する。

 池田は驚いた顔で、自分を庇った旭を見た。反応が早い上に、その膂力。彼女の丸い目は、固まっている池田に向いて、ニッと細まった。

「あ、ありがとうございます。」

 思わず礼を言うと、旭は微笑みを返し、さらに飛んできた石を地面にめり込ませて、クイーンの方に向かっていく。

 旭はだいぶ永坂との距離感と、『異能』の扱いに慣れ始めていた。もう『異能』を使っても、息は上がらない。それに、彼の『力』の気配にはより敏感になっていた。

 彼の気配が消えた。旭は無言のまま頷いて手を前に出し、クイーンを押さえつけた。がく、と揺れた彼女の鳩尾に、永坂の膝が入った。

「ッは、ぐっ。」

 クイーンは唾を吐いて地に伏した。ゴホッゴホッと咳をする。この隙に、と旭が彼女に駆け寄ろうとするが、クイーンは自分の近くに矢を刺して、爆風を起こした。煙幕がわりのそれが旭の目をくらまして、状況が読めなくなる。

 まずい、と旭は永坂の様子を窺った。彼も足を止めて、相手の出方を窺っているらしい。近づくべきか、一旦戻るべきか悩む旭の頰を、石のつぶてが掠めていった。クイーンの『力』を纏っている。

 それが、池田の方向に飛んでいったことだけはわかった。旭は左手首を強く引かれて、つんのめった。直後、爆発が起きる。なぜか、すごく嫌な予感がした。


「主任!!!」


 池田の叫びが聞こえたくらいで、やっと視界が晴れる。やっと捉えた永坂の背中。旭は息を飲んだ。

 池田を庇って、爆発を食らったらしい。焼け爛れた背中が非常に痛々しい。

 クイーンの追撃を逸らしながら、旭は永坂に駆け寄る。彼は辛うじて立ってはいたが、その顔は青い。

「…ッ。」

 旭はクイーンの方を窺った。彼女も満身創痍といった様子。さすがにそろそろ、『力』を使いすぎたのである。迸るような紅いそれも、だいぶ大人しくなっていた。

「池田、立て。」

 永坂の声は弱っていなかった。池田に背中は見せないようにしながら、力強く言う。

「俺は大丈夫だから、立ちなさい。旭、池田の援護を頼む。」

 旭が頷いて池田に手を差し出すと、怯えた顔をして尻をついていた彼女は、ハッとして顔を引き締める。旭の手を借りて立ち上がると、クイーンの方へ向かっていった。

「…まだ、立っていてくれますね?」

 走り出す前に、旭の真っ直ぐな目が永坂に向く。射抜かれた永坂は、フッと笑みを浮かべると頷いた。

 池田は爆発も厭わずにクイーンに接近していた。クイーンの爆破の威力はだいぶ弱まっている。射程範囲内に入ったクイーンの体を、池田の『異能』がかまいたちのように、引き裂いた。

 クイーンが痛みに顔を歪めたタイミングで、旭が彼女を押さえつけた。最後の爆発も避けて、池田はクイーンの懐に潜り込んだ。

「…許さない…。」

 池田の言葉に怒りが滲む。旭の援護のおかげもあって、池田の拳が彼女に届く。

 しかし、その直前でクイーンが笑った。

「1人ぐらい、減らしておかないと。」

 池田は腕を掴まれる。負けを悟ったクイーンは、池田にわざと近づかせたのだ。旭の『異能』で彼女はがくりと膝を折るが、執念で手は離さない。

 ゾッとした池田がなんとか振り解こうとするが、クイーンはすごい力で池田の腕を掴んでいて、そこに唇を近づける。恐怖で池田は目を瞑った。


 パァンッ

 

 腕に触れる寸前で、クイーンの頰に風穴が開き、彼女は悶えてその場に転がる。解放された池田は後ずさって、腕をさすった。

「すみません、遅くなりました。」

 撃ったのは宵人だった。彼の握った拳銃から、硝煙が立ち登る。宵人の目配せを受けた池田は、クイーンに『異能封じ』の手錠をかけた。紅い『力』がスゥッと落ち着いて、その場の全員が息を吐いた。

 永坂も安堵したように息をつくと、ふらりとよろめく。池田の援護に走る旭のために立っていたが、さすがに限界が来たのだ。その体を旭が支えた。

「あなたもなかなか馬鹿ですよね。」

「…悪い。」

 旭は永坂に肩を貸して、歩き始める。永坂は素直に、彼女に体重を預けた。自分の一回りは大きい彼を支える旭は、力強い。

 すぐに池田と宵人が駆け寄ってきて、心配そうに永坂を見つめる。それを見て、永坂は荒くなっていた息を整えた。

「2人は、クイーンの方を頼む。事後処理を押し付けることになるな、悪い。」

 彼は部下には毅然とした態度を取る。旭は苦笑した。カッコつけがすぎる。

「榊さんが到着しています。俺たちのことはいいんで、早く、行ってください。」

 永坂の背中を見た宵人が、少し泣きそうな顔でそう言った。頷いたのは旭で、なるべく早くと思いつつ、永坂に無理をさせないように歩く。

「…ほんと馬鹿です。カッコつけ、馬鹿。」

 旭の口から止まらない小言に、永坂は少し笑っただけで、ほぼ引きずられるように進んだ。

「ナオ!」

 正面玄関の付近にたどり着いたとき、泣きそうな顔をした榊が、飛びつかんばかりの勢いで駆け寄ってきた。

 旭は立ち止まって永坂をその場に座らせると、処置は榊に任せる。

「なんでここまで歩いてくるかな!?待っていれば良くない?」

 榊は怒っているようだった。背中の傷をはじめとする永坂の様子を観察して、彼は低く唸った。

 質問に対しては、もう喋る気力もない永坂に代わって、旭が答える。

「部下の前で弱ったところ、あんまり見せたくないんですよ、この人。」

 人にはすぐその場で手当てするくせに。旭は口を尖らせて、永坂を睨んだ。

「何それ。馬鹿なの?」

 テキパキと手当てをしながら、榊は傷の容態に顔を顰める。

「これ、1日じゃ無理。しばらくベッドに押し込んであげる。旭ちゃん、手を貸してくれる?」

 旭は包帯を巻かれた永坂に、彼の上着をかけてやると、また肩を貸す。逆の肩を榊に支えられて、永坂は申し訳なさそうに言った。

「悪いな、旭、榊。」

 2人は同時に首を横に振った。


 



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