第70話 パーティ勧誘
「えーっと、一体どちら様で?」
一歩前に出ながら、俺は声を掛けてきた3人組のリーダーらしき金髪の男に尋ねる。
「俺達はここのギルドの冒険者さ。あんたら今まで見たことない顔だけど、そこの依頼書を見てたって事は、冒険者になりたくてギルドに来たんだろ?」
「でも残念だったな。今は冒険者登録するのにかなりの時間がかかるから、お前らが冒険者として活動出来るようになるのは、早くても3日後ぐらいからになると思うぜ」
俺の質問に金髪の男とその後ろにいた大柄の男が答えた。
冒険者登録にかなりの時間がかかる……?
そういえば、ギルドマスターを呼びに行った受付嬢も夜中まで残業とかそんな台詞を言っていたような気がする。
……とすると、冒険者登録に使用する魔道具が壊れてしまった感じだろうか。それなら受付嬢のあの反応も納得である。
「へぇ、それは教えてくれてどうも」
質問に答えてくれた礼を冒険者達に伝える。
しかし、冒険者達は俺の事をサラリと無視してフィリア達に話しかけた。
「それよりそっちの綺麗な君達さ。そんな頼りなさそうな男よりも、俺達と一緒のパーティを組まないか?」
「……は?」
金髪の冒険者の口から出てきた言葉に思わず驚きの声が出た。
フィリア達も冒険者パーティに勧誘されると思っていなかったのか、キョトンと目を丸くしていた。
「確かにそうだ。俺達3人と女子3人を合わせれば丁度良くパーティの人数上限の6人になるし、そこまで悪くない話なんじゃないか?」
「良いじゃん良いじゃん、その提案。俺達3人は前衛担当だし、君達3人はたぶん後衛担当だろ? 前衛後衛のバランスも取れてるし」
金髪の提案に、取り巻きの2人が賛成の声を上げる。
……もう俺の事は完全に除け者扱いですか。そうですか。
まぁ、パーティに勧誘されないのは別に構わないけど。冒険者なんか絶対になるつもりはないし。
「勧誘してるとこ悪いけど、俺達は冒険者になりに来たわけじゃ……」
勝手に盛り上がって話を進めようとする冒険者達に、そろそろ断りを入れようとした所で、カティアが一歩前に出てきて口を開いた。
「んー、もし仮に冒険者パーティを組むにしたとしても、私は自分より弱い人とは一緒になりたくないかな〜。だから、パーティに勧誘するなら他の人を当たってよ」
「な、なっ……!」
それを聞いた金髪の男は驚いた様子で言葉を失い、金髪の男の取り巻きらしき大柄な男と細身の男が顔を真っ赤にして声を荒げ始めた。
「これでも俺達は全員Cランクの冒険者なんだぞ! バカにしてんのか!」
「そうだ! まだ冒険者登録もしていない女の癖に、俺達を弱いとか勝手に舐めてんじゃねえぞ!」
静かだったギルド内に怒声が響き、他の冒険者達が何事なのかと視線をこちらに向ける。
慌てて冒険者とカティアの間に入ろうとしたが、それに気付いたカティアに手で制された。
「大丈夫ですよ、センパイ。ここは私にドーンと任せちゃってください」
そして、カティアは再び目の前にいる冒険者達に視線を戻しながら口を開いた。
「それじゃあ、私とどっちが強いのかちょっと試してみる? 冒険者ギルドだし、模擬戦が出来るような場所ってあるよね?」




