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第41話 フェリトアの町を歩いて 1

時系列考えた結果、フィリアsideのお話よりも先にディラルトsideの話を投稿すべきと考えました

「この時間のお外ってこんなに眩しかったんですねー。太陽の日差しがまだ目に沁みますよ〜」


 右手で目元を日の光から守るように覆いながらカティアが呟く。

 それに倣うように俺も手で影を作りながら口を開いた。


「日が落ちてもっと暗くなってからの方が良かったかもねぇ……。このまま日の光を浴びてたら体が灰になってなくなっちゃうよ」


「いつから室長はアンデッドの類になったんですか……。暗くなってからだとマリーナにはお店の手伝いがあるんですし、日の光くらい2人とも我慢してください」


 故障してしまった食器洗いの魔道具を修理したあと、俺達3人はマリーナが着替え終わるのをお店の外で待っていた。


 魔道具の修理代の代わりとしてこの町を案内して貰えないかとマリーナに頼んでみたら、早速町を案内してもらうことになったのだ。

 なんでもあの魔道具が暴走した時に割れてしまったお皿の代わりを新しく買いに行こうと思っていたらしい。


「それじゃあ新しいお皿を買ってくるのと、お兄さん達の案内に行ってくるねー!」


「おう、くれぐれも兄ちゃん達に迷惑は掛けるんじゃねえぞ。あと遅くても昼過ぎくらいには帰って来いよ」


「はいはい分かってますよーだ! それじゃ私が帰るまでにお昼の仕込みの方は色々と任せたよー!」


 そんなやり取りが店内から聞こえてくると共に扉が開いて、お店の給仕服から着替えてきたマリーナが姿を見せた。


「おっまたせ〜、お兄さん達。それじゃあ行こっか!」


「「……」」


 現れたマリーナの姿を見て、俺は思わず言葉を失ってしまった。

 隣にいるカティアとリサラの2人も俺と同じように言葉を失っている様子だった。


「あれ、どうしたのお兄さん達。そんな目を丸くしちゃって。……も、もしかしてこの服似合ってなかったかな?」


 固まってしまった俺たちの様子を見て、当のマリーナは慌てて自分の服装を確かめ始めた。


「あぁ、いや、そういう訳じゃなくてね……」


 むしろ全くの逆だった。

 俺もカティアもリサラもマリーナの私服姿が似合いすぎてて言葉を失っていたのである。


 つい先程までマリーナが着ていたあの丈の短いスカートに胸元を強調するような給仕服姿と違って、ベージュ色のロングスカートに白のブラウスという清楚で落ち着いた雰囲気の服装で、金色の髪をひとまとめにしているのも相まって、全くの別人が現れたのかと思ってしまった。

 それこそ、何処かの貴族の御令嬢と言われても納得してしまうだろう。それくらいに似合っていた。


「わは〜、マリーナかっわいいー!」


「わぷっ!?」


 固まってしまった理由をマリーナに説明するよりも先に、カティアがマリーナを可愛がるように勢いよく抱きしめた。


「センパイセンパイ! 私昔から妹が欲しかったんですけど、マリーナのことを妹として貰っちゃっていいですかね?」


「んーっ! んんーっ!?」


 そして、そのままマリーナを自身の大きな胸に埋めるように抱きしめながら、高揚した様子のカティアが俺に聞いてくる。


「ダメに決まってるでしょうに。俺になんか聞かないで親父さんに聞きなさい。それよりも、マリーナが苦しそうにしてるから早く放してあげなよ」


「……あっ、ごめんねマリーナ。大丈夫~?」


 俺に指摘されて漸くバタバタともがいていたマリーナに気付いたカティアがマリーナを抱きしめるのをやめた。


「ぷはっ! はぁ、はぁ……あ、危なかった~……。危うくあのまま柔らかい天国に包まれちゃうところだった……」


 解放されたマリーナは膝に手をついて大きく荒い息を吐き出し、何処か名残惜しそうにしながら、恐ろしいものを見るような目でカティアの胸を見つめていた。

 俺もそれに釣られるように視線をカティアの胸に向けそうになったが、ここは鋼鉄の心でなんとか我慢した。


「全く、カティアは何をやってるんですか……。うちのカティアが申し訳ありません。気分などは大丈夫ですか、マリーナ?」


 すると、今のやり取りを見ていたリサラが呆れた様子で小さなため息を吐いて、心配するようにマリーナに声を掛けた。


「う、うん。私は全然大丈夫だよ! それじゃあ気を取り直して町を案内するね!」


 そういって前を歩き始めたマリーナの後を追いながら俺達も歩き始めた。

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