第22話 到着、港町フェリトア 2
ちょっと短いですが2章部分終了です
「それにしても、いきなりブラインドを掛けられた時はビックリしたよ」
「す、すみませんでした……」
フェリトアに向かって魔動車をのんびりと走らせながら欠伸混じりに呟くと、助手席に座っているリサラが恥ずかしそうに俯きながら謝罪の言葉を口にした。
リサラが唱えたブラインドによって俺の視界が完全に奪われてから、何故かリサラだけでなくカティアが身嗜みを整え終わるまでの間、ずっと俺の視界は真っ暗なままだった。
迂闊に動けば色んな場所にぶつかる恐れがあったので、お陰で思ってた以上の時間をその場で立ち尽くす羽目になってしまっていた。
そして、リサラに魔法を解いてもらってから俺達はフェリトアを目指して出発したのだった。
「攻撃魔法じゃなくてブラインドで済んで良かったですね。セ・ン・パ・イ〜」
運転する俺の真後ろの席に座っていたカティアが身を前に乗り出し、俺はそんなカティアに若干呆れながら言葉を返す。
「いや、声掛けただけで攻撃魔法が飛んでくるとか流石に洒落になってないんだけど……」
ひょっとして俺はリサラに嫌われていたりするのだろうかと少し不安にもなってしまう。
かなり無理して付いてきてくれたのだろうかとか、やっぱりリサラの事は誘わない方が良かったのだろうかと色々と考えてしまう。
すると、隣で大人しくしていたリサラがカティアに対して反論の声をあげた。
「い、いくらなんでも攻撃魔法は放ちませんよ! あれはその……! だいたいカティアは私を何だと思っているんですか……!」
「えー、それはアレだよー。ね~、センパイ」
「そこで俺にまた話を振られても、ただただ返答に困るだけなんだけど……」
なんとも答え辛い話題をいきなり俺に振らないで欲しい。火のついた爆弾を渡された気分である。
というか、本人がいる前で答えられる訳がなかった。
そんな他愛ない会話などを3人で繰り広げたりしていると、前方に遂にフェリトアの町が見えてきた。
「ほー、あれがフェリトアの町ですか〜。思ってたよりもかなり早く着いちゃいましたね、センパイ。もっと時間が掛かると思ってましたよ。流石は魔動車ですねー」
「フェリトアに向かう途中で魔物や野盗とかに遭遇する事も特になかったから、足止めされる事もなくてとても順調だったねー。お陰で半日かからないくらいで到着出来そうだし」
ハンドルから片手を離して、仰け反るように体をぐーっと伸ばしながら俺はカティアに言葉を返す。
隣に座っているリサラが物凄い何か言いたげな表情を浮かべながらこちらに視線を向けていたが、俺は見ない事にした。
「こほん。それじゃあもう少し町の近くまで行ったら一旦魔動車から降りるからね」
一度咳ばらいをしてから2人にそう告げて、俺は魔動車を少しずつ加速させていった。
新たな登場人物はいないので2章の人物紹介はありません
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