表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/85

第19話 魔動車を飛ばして 2

 魔法(ブリザード)による吹雪がおさまり、俺は静かに右手を下ろす。

 俺達の前には、吹雪に包まれて一瞬で氷漬けになったハイウルフ達が地面に転がっていた。


「ふぅ。2人とも怪我はない?」


 小さく息を吐いて、俺はすぐ後ろにいるカティアとリサラに声を掛ける。


「センパイが守ってくれたおかげで大丈夫ですよ〜。今のブリザードのせいでちょっと肌寒いですけど」


「私も大丈夫です。それにしても、本来なら森の中心付近などで縄張りを作るハイウルフの群れがこんな外側にいるなんて珍しいですね。この森で何かあったのでしょうか?」


 氷漬けになったハイウルフの前でしゃがみ、森の奥に視線を向けながらリサラが呟く。

 俺はそんなリサラの隣に立って、周囲に視線を向けながら言葉を返す。


「どうだろうね。単純に餌を探していたのかもしれないし、別の理由かもしれない。気にはなるけど、その辺りは冒険者達に任せておけばいいんじゃない? 冒険者でもない俺達がそれを調べる必要はないでしょ」


「それもそうですね。今の私達はそんな事を気に掛けている場合でもないですもんね……」


「センパーイ、リサラー。そんな真面目な話はいいから早く魔物除けの結界を張っちゃいましょうよ〜」


 リサラとそんな会話をしていると、魔動車の側にいたカティアが催促の言葉と共にやってきた。


「あぁ、はいはい。分かった分かったよ。それじゃあ、今度こそ魔物除けの結界を張っちゃおう」


 だる絡みするように抱き着いてきたカティアをリサラの方に押し付けながら、俺は2人に声を掛ける。

 そうして3人で手分けをして、魔動車を中心とした魔物除けの結界を張り、野営の準備を始めた。


「魔動車を中心に結界を張りましたけど、何処にテントを張るつもりなんですか? 結界の範囲を広げないとテントを張るスペースがないと思うのですが……」


「いや、そもそもテントなんか張るつもりないよ? ストレージの中にテントなんてないし」


 尋ねてきたリサラにそう告げると、リサラだけでなく隣にいたカティアまでもが驚きの声を上げた。


「えっ、じゃあ私達は何処で寝るつもりなんですか!?」


「そうですよセンパイ! もしかして、地面にそのまま寝るとか言うつもりなんです?」


「流石にそんな事は言わないよ。俺だって地面で横になるなんて嫌だもの。まぁ、2人はちょっとそこで待っててよ。ささっと寝る場所を作っちゃうから」


 2人にそう告げてから俺は魔動車のバックドアを開けて車内に乗り込み、後ろの座席をパタパタと倒していき、平らな面にしていく。


「まずはストレージを展開して……。えーっと、あのマットレスは……あ、あったあった」


 そして、そこから更にストレージを展開し、その中から特注の大きな立派なマットレスを取り出した。


「よいしょっと、これをこうしてこうすれば完成っと……!」


 それを平らにした後ろの座席の上にポンと載せれば、あっという間にふかふかなベッドの完成である。

 余程寝相が悪くない限り、2人なら余裕で寝れる広さはあるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ