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この犬小屋空いてます  作者: 沢山そらい
2/5

1話 犬と人間 と ※語り(ジーノ)

「何回目だよここ」


 俺は捨てられた。

しかも同じ場所に。


 いい加減、笑えてしまう。

っていうか笑うしかない。


 辺りは真っ暗。

街灯の光も、犬の俺にはあんまり意味がない。

視力が悪いんだ。


「まあいいや、暗いほうがよく眠れるし」

別に開き直ったわけじゃない。

喉が渇いて動けないんだ。


だから仕方なく、寝ることにする。


(なんか疲れた)

俺は目を瞑る。


―――――――――


「・・うぶ?」

何か聞こえる。


「ね・・だいじょぶ??」


(なんだよ、眠いんだ)

何かの声が続いている。どこかで聞いた、あの声。


「ねえ?大丈夫!?」


「うるせーな」

さすがに俺も、その声に目を覚ます。


(誰だよ、ったく)

 匂いで感じようとするけど、わからない。

具合悪いからかな?

鼻が鈍ってるみたいだ。


 仕方なく顔を上げて、ぼやけた目で見ると、

そこにはやっぱり、


人が居た。


――――――――――――

 あれは最初のご主人だったかな。

両親と男の子、質素で平凡だけど幸せそうな家庭、広い庭とマイホーム。


そんな場所に、俺は飼われた。


「可愛いー!」

と言いながら何度も撫でられた。


あの時は、幸せ、だったのかな。


今じゃその記憶もあいまいだけど。


そんな事を思い出していると。


「大丈夫??」

目の前の人間が言う。


この声、女の子か。

正直、女とか男とか人間には色々いるけど

今の俺にとってはどうでも良かった。


ただ

(またか)

という感情が湧き上がってくる。


また拾われて、そして・・。


「今度はなんだよ・・」

と人間を見て、小さく言う。


何かが伝わったのか女の子は


「わんちゃん?大丈夫?」

と心配そうな声で問いかける。


「・・・」

と、俺は喉が渇いていて答えられないし、

疲れてて、なんか眠かった。


「具合悪いの?しっかりして」

女の子は何かを差し出す。


「飲んで、水だよ」

水筒を取り出して目の前に水を用意してくれた。


俺は綺麗な水を、しばらく飲んでなかった。

身体が勝手に動いて水に飛びつく。


(美味しい!)

差し出された水は適度に温かい。

俺はごくごくと夢中に飲む。


(ああ、生き返る!)

水がこんなにありがたいなんて。


女の子は、おかわりをくれた。

更に差し出した水をいっぱい飲む。


ああ、美味しい。

お陰でしっかりと立てた。


「良かった、少し元気になったみたい」

女の子は嬉しがってる。

ほんとに美味かった。


でも、なんでこんな深夜に女の子が?

少しそう思ったけど、とにかく助かった。


「はじめまして、私は紫鳳のぞか」


女の子は自己紹介した。

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