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異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
3章 外遊~禁忌な二人は自重しない
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82話 無職の実力

 

「じゃ試験開始(楽しもう)かの?」


 そう言い放った刹那、パオリーの姿が消えた。


「さすが元冒険者、引退したとは言えまだまだ現役だ!!」


 観客の言葉に内心でパオリーは苦笑する。


(昔はこんなもんじゃなかったんじゃがなぁ、まだまだなまっておるのぅ。 最近戦争の為に鍛えなおし始めたとはいえ……やっぱりのぅ)


 確かにCランクぐらいの冒険者には動きが見えないかもしれない。

 だがBランク以上の冒険者は何食わぬ顔をして動きを追っている。


 玲夜に至ってはいえば……


(……こんなもんか)


 確かにイシュバルのやつらよりは全然強い。

 鈍っているとは言っているが、それでもなかなかの実力者。


 あのダンジョンでも上層の40階のモンスターなら1体1なら生き残れそうなぐらい、か。

 集団戦となると話は変わるが。

 全盛期のチカラは知らんが、力を取り戻したならもっと行けるだろう。


「余裕そうな顔じゃな」


 斬りかかり様、声をかけてくる。


「まあね」


「若い才能とは怖いものよのぅ」


 パオリーとしてはただただ喜びに打ち震えているだけなんだろうが、控え目に言って不気味。

 ただでさえ凶悪な体つき、風貌をしているくせにそれが嗤うんだからもうね極悪。

 凶悪な殺人鬼って感じ。

 絶対あれだ、獣人の赤ちゃんとかと触れあっても全然全勝で泣かせるタイプだ!!


「ははっそんな俺は若くねぇよ」


「おぬしたちは仮面してるから分からんのじゃからしょうがあるまい」


「……まぁもういい年齢とだけ言っておくよ」


 自分でも何歳か正直分からんし。


「そろそろちゃんとやろうかの」


 にやけ面が一転、獲物を殺すような顔つきになってくる。(得物=武器とか)


「……今までのがウォーミングアップだったというのかっ!!! 信じられんっ!!」

「なんだよこの2人、さっきの女の方も意味わからんかったけどこっちはこっちでどうなってんだ本当に」

「これ本当にBランクの昇格試験かよっ!!」

「Sランク同士の戦いの間違いじゃねぇかっ!!」


 観客も盛り上がっているらしい。


 果敢に斬りかかっていくパオリー。

 が一向に当たらない。


「……そちらからは来ないのかのぅ?」


「んじゃ行くぞ?」


 玲夜の姿が消えた。


 一般の冒険者の眼からだけでなく、パオリーの眼からも消えた。

 その動きを追えたのはゼニスただ一人。


「……ッ!!!!」


 真上の死角からのたたきつけるような剣戟。

 完全な不意打ち。


 にもかかわらずパオリーが玲夜の攻撃に耐えられたのは長年の勘からか。


「お?マジか」


 1撃目は防いだ。

 だがそれで終わりな訳がない。


「……くっ」


 パオリーが何とか防ぐ。

 さっきまでの攻勢一点、防ぐのが精一杯。


「嵐のような剣戟だな……」

「ああ、全く見えねぇこの俺が」

「……お前そもそも目悪いから見えるわけないだろ」


『ねぇ』


 頭の中に届く念話。


『どうした? 俺試験中だぞ?』


 これって所謂カンニングなんでは?


『何わけわからないこと言ってるのよ、いいから早く終わらせない、長引かせすぎ』


『この後ナニカあるのか?』


『今日の依頼まだしてないでしょ? お金は稼がなきゃ、1週間サボってたしね』


 おぉ、堅実なご意見。俺一人ならだったら今日はもう休んでた。

 そう言えば修行も毎日なんだかんだしてたし、ゼニスは結構ストイックよな。

 でもある意味家庭とかで考えるならいいのかもしれない。

 家庭……か。

 ゼニスが家庭。

 ん-なんかやだな。


『……はぁ余計なこと考えない、私たちは邪神を倒し復讐を果たさなきゃいけない。 そんなこと考えてる余裕はないわ』 

『……もしかして考え伝わってた?』

『これ念話よ、伝わるに決まってるでしょ、それに……』


 あなた以外となんて……


 だがゼニスはそんな思いは念話には載せない。


『ん?続きは?』

『……いいから早く終わらせなさい』

『あいあい』


「……そろそろ終わらせるか」


 さっきより1段階、いや2段階スピードを上げる。


 後ろへの回り込み。

 パオリーは反応できていない。


 これはただの試験。

 だから首にとん、と剣を当てるその寸前。

 超人的な反応でパオリーは剣を回避する。


「……まじか」


 決めるつもりだったのにな。

 心なしかパオリーの眼が赤く染まっている気がする。


 パオリーはゆっくりと眼を閉じ、そして……


「……ここらで止めにしておくかのぅ」


 お互いに肩の力を抜く。


「おぬしわしの予想よりはるかに強いのぅ、まだまだ本気出してないじゃろ?」

「まぁ」


 俺の答に周りがざわつく。


「……あ、ありえねぇ、あれでまだ」

「お、俺にはすべて見える、あいつのやばさが、あいつの底知れなさが、分かる!!」

「お前さっき何も見えてなかったじゃねぇか。それで何が分かるんだよ!!」


 愉快な奴らがいるな、さっきから思ってたけど。


「でもあんたもまだ本気じゃないだろ?」


「まぁの、でもこれはあくまで試験じゃから、最後は年甲斐もなく熱くなってしもうたが」


 確かに最後は俺も危険を感じた久々に。


「……それで試験は?」

「合格じゃ、わしにほぼ勝っておるんじゃ、逆に不合格な訳がないじゃろ」

「……そりゃそうか」

「おぬしもうちょい謙虚になってもいい気がするぞい? ワシ久々に負けて落ち込んでおるんじゃが」

「おっさんの落ち込みなんて需要ないから、でもういいのか?」

「焦るな焦るな、ギルドカードの更新もあるから」

「分かったわかった」


 ふぅとりあえず一件落着か。


『……うん、かなりたるんでるわね、修行きつくしましょう』


 意気揚々としたゼニスの悪魔のような決定が念話越しに聞こえてきた。





依頼もしっかりとこなしたその日の夜。



「なぁゼニス」


「……ん?」


「俺ちょっとイシュバルに行ってくるわ」


「は? 何しに?」


「人を攫いに」



更新した……ぞっ?(-_-;)



いつもお読みいただきありがとうございます!!

そのままブクマ、感想など頂けると嬉しいです!!

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誤字脱字報告いつもありがとうございます、めちゃくちゃ助かってます!!


ツイッターやってます。更新情報等乗せますので皆さんしゃべりかけて来てもらえたら嬉しいです

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