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異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
3章 外遊~禁忌な二人は自重しない
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81話 魔女のランクアップ試験


「お、お主たち!!!やっと姿を見せおったか!!! 久しぶりじゃのぅ!!」


玲夜たちがギルドに到着すると、すぐにむさ苦しい顔が近づいてくる。

久しぶりと言っても精々1週間程度。


「やっとって、まだ昼過ぎだぞ?」


「もう!!っていうんじゃそれは!!」


「俺は、そういう風に言う時代は過ぎたんだよ」


思い出すは在りし日、地球での記憶。

朝5時には家を出、帰るのは早くて終電間際、遅ければ終電を過ぎていた。

しかも一部の人だけという謎。

仕事量の分配が明らかに偏っていた。

俺が効率的じゃないとかそういう話じゃないぞ?

物理的に量がおかしかった、なのになぜか薄給。


あ~、改めて思うとマジ意味わからんな。

はぁ……そもそも俺が決断しなかったのが悪かったんだけか。


「……こ奴、だ、大丈夫か? いきなり目の色が無くなったが……」


「たまにあるから気にしないで?」


「お、お主の相棒もなかなかに個性的じゃな」


「本当にね、それで何か用があったんじゃないの?」


玲夜が過去と向き合っているうちに、ゼニスとパオリーの間で話は進む。


「そうじゃったそうじゃった。 こないだおぬしたちに昇格の話をしようとしておったのに途中で帰ったじゃろ?」


「……ええ、場の空気を悪くしないように遠慮したわね」


「おぉ、どりゃ悪かったの気を使わせて。 どうもこの街のやつらは結束力が強くて困るわい……」


だが言葉に反してパオリーの顔は緩い。

ちょっとした照れ隠しみたいなものだろうか。



「昔から獣人は絆が強いものね」


「……知っておるのか? てっきり獣人と触れあうのは初めてかと思っておったが」


「昔ちょっとした縁でね、懐かしいわ」


「そうかそうか。まぁ種族として少し同族愛が強いのは認めよう」


それが獣人の特徴だものね。

あともう一つの特徴もあるけど……。



「かなり詳しいんじゃの。……じゃがまぁそんな話はあくまで余興、どろそろ本題に入るとするかのぅ」


「そうね、でも用事があるなら宿に来ればよかったのに、そしたらもう少し早く来て……いえ、なんでもないわ。」


「……教える気はないという解釈でええかの?」


「いえ、仕事とプライベートは分ける主義なのよ」


「緊急の時困るんじゃが?」


「なら緊急が来ないようにすればいいと思うわよ?」


「……」


「……」


「ひとまず考えておいてくれるかの」


「前向きに考慮するわ、それで本題に移りましょ?」




多分言わないけど。

休日に連絡来たら嫌だもの。


「絶対教えんつもりじゃの、まあ良い今はそれよりも用件じゃ。伸びてしまっていたBランクへのランクアップ試験を何時行うかの、わしらはいつでもええんじが」


「ランクアップ?」


やっと玲夜が復活した。



「ええそ、私は何時でもいいけど」


「俺も」


「……わしまだ内容言っとらんのじゃが」


「戦闘とかじゃないのか?」



逆に面倒くさそうならパスするのも視野に入れている。

コスパで選ぼう、うん。



「……端的に言ってしまえばそうじゃ」


「じゃあ誰かと戦えばいいのか?」


「そういう場合もあるし、モンスターの討伐、護衛の依頼クリアなど様々じゃ、あぁそう嫌そうな顔

をするでない、今回はただ戦うだけじゃから」


「誰と?」


「おぬしはワシ、お主はあっちの弓使い」


遠くで片手を上げている女、いかにも光栄と言った感じ。


割り振り的に俺が前衛でゼニスが後衛だと思われている感じか。

まぁ間違っていないっちゃいないが。


「じゃ頼む」



ギルドの訓練場へとパオリーは玲夜たちを案内していた。

その横にはBランク冒険者のコルシカ。


だがこれでもまだ足りんかもしれん。


視線を後ろに促せばあるいてくる二人の男女。

ローブと仮面で顔は見えない。

最近この街に来たよそもの。


だがかなり強い。

全盛期のワシ以上かもしれん。


だが同時に並々ならぬ事情があるのも察している。


(まぁ冒険者にもいろいろあるからの)


人には言えぬ過去を持ったものなども少なくない。

もちろん、ある程度の間引きをしてはおるが。


(なんて考えてもしょうがないのう)


闘技場についた。

冒険者たちがかなり押しかけてきていた。


(無理もないのぅ、この街の英雄じゃから)


その実力を一目でも見ておきたいという思いからか。

だがそれはワシも同じ。


「じゃぁまずはそちらから始めてくれるか」


「ええ」


コルシカとゼニスは互いに距離を取る。


「はじめ!!」


コルシカは合図とともに弓を構えるがゼニスは動かない。


「……ふっ」


あいさつ代わりとばかりに弓でゼニスを射るコルシカ。

矢が当たるその寸前。



パキン。



ナニカによって矢が阻まれる。


「……え?」


コルシカは一瞬動揺したが、さすがBランク冒険者。

すぐさま次の攻撃へと移る。


普通ならそれで充分。

隙と言えるほどのものでもない。


が。


それは一般論。


「……よもやここまでとはのぅ」


コルシカの攻撃に対して一切動揺してない。

脅威だと感じていない。


次々と繰り出される連撃。

そのことごとくがナニカによって阻まれている。

あらゆる角度から矢が放たれても当たらない。


「ちっ?! 我も求むるは火の精霊なり、汝の荒ぶりを我が牙に与えたまえ、フレイムエンチャント!!」


コルシカが放つ矢に炎が付与される。

矢は炎の推進力で勢いを増し、そのナニカとぶつかり合う。


ついで起こったのは視界を埋めるほどの、白煙。


「……これは……水蒸気? 氷の壁?」


「正解」


「……くッ」


後ろからのゼニスの声。

だがコルシカに驚いている余裕はない、振り向きざまに弓を連射。


「……これを避ける普通!?」


「……氷細剣」


ゼニスの手には氷で造られたレイピアが。

それをコルシカの喉元へと突きつける。


余りの手際の良さに他の冒険者共も沈黙。

それほどの力の差。


(これじゃどっちが試験してたのかわからないのぅ)


パオリーは苦笑する。

だがわしはあくまで試験官。


「……文句のつけようがない、ゼニスをBランクとする!!」


会場の誰からも不満は漏れない。

それほど圧倒的だった。

はっきり言ってBランクですら見劣りする。

最低でもA、多分S級ですらあり得る。

それほど。

だがまだランクアップ試験は残っている。


さてさてこ奴は何を見せてくれるのかの。


思えば自分はここ最近、事務作業しかしていなかった。

ギルド長から当然と言えばそうじゃが。

たまには昔のように何の気概もなく剣を打ち合わせたかった。

それが出来そうな相手。


「じゃ試験開始(楽しもう)かの?」


久方ぶりに味わうひりつくような、高揚感。

パオリーは今、すべての雑事を忘れこの戦いに没入した。




明日も更新したいッ(ちなみにストックは0)

みんな俺をせっついてくれぇぇぇ……草


面白いと思っていただけたら評価の方してもらえると嬉しいです。

評価いただいた方はありがとうございます!!

そのまま感想もらえると、作者はより心躍ります!!

誤字脱字報告ありがとうございます、今後もお願いします!!


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