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異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
3章 外遊~禁忌な二人は自重しない
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69話 無職と魔女は国を選ぶ

な、なんとか間に合った……。

 

 この大陸には5つの国がある。

 俺らがいたイシュバル。

 他種族国家ノーラ。

 女神セレスを絶対神と崇める宗教国家ディオラ、ここはゼニスを裏切ったミリャを聖女として崇めている場所でもある。

 魔導国家サリンシャ。

 大陸随一の国土、戦力を持つウェース帝国、これはゼニスの元いたパーティーのリーダー、タクトが所属していた国だ。


 人口はウェース帝国が最も多くついでサリンシャ、ノーラ、ディオラ、イシュバルと続く。

 魔神が現れるまではこの5国は戦争をしており今は一時的な休戦状態で協力体制を築いている。そしてそれは今も変わらずゼニスの時代から変わらないらしい。


 この中で俺らがどこの国に行くか、まずイシュバルにいるのはまず有り得ない。なんなら早く出て潰したい。

 ゼニスを裏切ったヤツらがいた宗教国家ディオラとウェース帝国も考えにくいい。

 宗教にそもそもいいイメージがあまりないし、神に縋るという考えがそもそも俺に合わない。帝国もちょっと情報を集めただけでも人間優位の国であることが分かった。一応獣人、亜人もいるみたいだがなかなかにひどい扱いを受けているらしい。

 となると必然的にサリンシャかノーラしか残っていない訳だが、実際これはもう一択みたいなもんだ。 

 だって俺ら基本的に魔導は使わないし。 


「向かうのはノーラでいいか?ゼニス」


「逆にそこ以外行けるところないでしょう、人間がほぼ居ないのはそこしかないのだし」


 そうこれが理由の一つ、人間と関わりたくないこと。

 サランの冒険者ギルドでは俺もゼニスも虫唾が走ったし、今後も人間の街いるとこういうことは有り得る、というかこれが日常になりうると考えたほうがいい。

 その度にイライラしてたのでは話にならないだろう、だからここは1回インターバルをとって休む必要があるって考え。

 しかしもうひとつ俺らが行きたい理由がある。


 まぁこれはいたって単純な理由、


「獣人めっちゃ気になる!!」


「それはあなただけだけね」


 うさ耳猫耳犬耳、もふもふそんなワンダーランドらしい。

 他にも多種多様な種族がいるってゼニスは言ってた。


 これぞ異世界って感じにやっとなってきた!


 だからこそ俺らがフードとかかぶってても目立たないはず。

 そう思ってきたんだが。


「……なんか目立ってないか?」


「今更?」


 なんでそんな呆れた目で俺を見てくるゼニス


「……もうこの街に来て三日よ、気づくの今更過ぎない?」


「いやちょっとは思ってたけどさ、でも信じられないじゃん?こんなに多種多様な種族がいるのに」


「種族の問題じゃないわ、普通に考えてどこの国に行っても素顔を晒さないようにフードを常にかぶっているのは目立つわよ」


「……そんなもんか、ならもうやってしまったものはしゃあない。 気にしないでいこう」


「でもまだ人間どもに見られるよりはましだけどね、悪意とかがないもの、ただ奇妙がっているだけだから」


 確かに。

 多くの獣人たちは一目見てすぐに興味を失いそのままいつも通りの日常へと戻っていく。

 イシュバルだとこうはいかない。


(それでもまぁ日本に比べたらまだましだけど……)


 日本の同調圧力みたいなのがどうにも俺にはなじめなかった。

 もともとボッチだったしなぁ。


 だからそれに比べたらここは居心地がいい。


「ここで冒険者になっていいと思うんだけどいいか? まだ他の国は見てないけど……」


「ええ、私は異存ないわよ。 でもいいの?有事の際に人間のために戦いたくないからイシュバルで入らなかったのに」


「いいんだよ、ここにも人間はいるが少数だ。 ある程度の妥協はしなきゃいけない。 ただ名目上でも人間のために戦うのは嫌だったんだよなぁ、しかも有事が起きるのは確定してるし」


「男の変なプライドってやつかしら? でも同感よ、自分達が有事を起こして自分たちでそれに対処する、とんだ自作自演ですもの」


 皮肉気にゼニスは笑う。


「冒険者の高ランクになって情報が閲覧できるようにしていくか、それに金もだんだんと必要になってくるだろうし」


「ダンジョンで得たものを売るのは市場の様子をもう少し見てからにしたほうが良さそうだものね、まだこの時代が昔と比べて強さがどう違うかとか分からないし、それに玲夜が金貨を巻き上げてきたから幸い当面は困らないし」


「おい言い方が悪いぞ、あれは本来俺が受け取るべきだった金だ。 まぁついでにあいつの私物ももらったがあいつもレイヤ・ツキシロって名乗ってたし俺のもので間違いもないからな、つまり何も起きてない。 月城玲夜がレイヤ・ツキシロの金を使っただけ、アンダースタン?って氷を出すな出すな一応ここ街中だから!!」


 こいつ俺が止めなかったら絶対そのまま放ってきてただろ、しかも時がたつにつれて威力が上がってきたんだよなぁ、常に俺がギリギリ対処できるか出来ないかのラインで放ってきやがる。


「最後は何言ってるか分からなかったけどとりあえずなんかイラっとしたからつい……」


「ついでやるなついで。なんだその暴力系ヒロインみたいな言い草は」


「なにそれ?まるで私とは正反対じゃない」


「……お前今までの自分の行動思い返してみ?」


 ゼニスは一瞬考えるそぶりをみせ、ついで


「しつけだからしょうがないわ」


「いやペットか俺は!!」


「ふふ冗談に決まってるじゃない、ほらさっさと登録に行きましょ?今度は問題起こさないでね?」


「前回も問題は起こしてないけどな」


 そうして俺たちは冒険者ギルドののれんをくぐる。

 この「ノーラ」の、冒険者ギルドから俺たちの復讐の第一歩を始めると考えながら。

 高揚と期待と共に俺たちはギルドの敷地へと足を踏み入れた。

 そして……


「おいおい、ここはガキみたいなやつが来るところじゃないんだぜ?痛い目みないうちに回れ右してさっさと帰んな!!」


 俺たちはまた絡まれた。



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