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異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
2章 2人の世界~禁忌な2人は力を得る~
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57話 無職はボスへ挑む⑤ー消耗

なかなか金巨人戦終わらない。


 

 「……いくぞ」


 そう言って、玲夜は地面を足で強く蹴りだし駆け出す。

 玲夜自身体験したことのない速さに、制御しきれず直線的に突っ込んでしまう。

 そしてこんな高レベルの相手にそれはまさしく愚策。

 そんな素人のような動きを見逃す金巨人ではない。


 「……まずいっ?!」


 玲夜が一秒先にいるだろう進路上に金巨人が剣を思いきり振りかぶっている。

 当たれば身体は真っ二つ。


 「……こなくそっ!!」


 玲夜もギリギリで金巨人の横降りの一閃を、直剣でこすり上げ、力の方向性を変える事によって上へと回避する。

 だがそこに手斧と雷の魔法が空中の玲夜目掛けて向かってくる。

 無理やり体制をひねることで避ける。

 だがここまでで金巨人が使った腕の数は3本。まだ3本も残っている。

 横目で金巨人を流し見れば、残り3本の腕を総動員して魔法を創り上げている。

 一目で不味いとわかるほどのマナが水の球へと込められている。


 (どこかで見たことあるなこれ)


 僅かな疑問を抱きながらも考えている時間はない。

 魔法はすぐに出来上がりこちらへと向かって放り投げてくる。


 対して玲夜は無理に体制をひねったせいで状態は崩れたまま。まだ地面までは距離がある。


 「{風弾}」


 苦肉の策として風魔法をぶつけてみるが水の球はびくともしない。


 「やっぱこんなんじゃだめか」


 もうすでに玲夜まで攻撃は迫ってきている。

 魔法で防御壁を張ってもすぐに破られるのは目に見えている。

 となると玲夜が取れる行動はただ一つ。


 もう一度同じ魔法を発動させる、今度は自分に向けて。


 「{風弾}…………ぐふっ?!」


 もちろん少量のダメージは受けるが、水の球から回避することには成功……してないっ?!


「ホーミングかよっ?!」


 となるとだ。


 「{風弾}」


 強制的に方向別方向に逃げるしかない。

 がいくら方向転換したところで、結局ホーミングしてついてくるから逃げられる訳じゃない。

 つまりこのままいけばジリ貧。

 俺に徐々にダメージが蓄積していってる……だろう。

 正直その辺の痛みはもう分からん、既に痛みとか麻痺していってる。


 ただ気になるのは金巨人が攻撃してこない点。

 いやほんとにしてこないのか? 出来ないんじゃなくて。

 ぱっと見では金巨人はこちらを注視してるだけのように見える。


 (なら試してみるか)


 風弾により急転換し、金巨人に直線で向かっていく。

 スピードを上げるために威力を増やしたためか、身体へかかる負担もなかなかのものだ。

 しかしリスクを背負った甲斐もあった。

 金巨人は予期せぬ攻撃だったのか一瞬だけひるむ。


 俺はそのまま肉薄し攻撃…………なんてできるわけもなく、金巨人の真上を華麗に通過していく。


 いや無理無理、そのまま斬りつける芸当こんな吹き飛ばされた状態でなんてできません。

 だけど金巨人の後ろを取る事には成功した、ついでに地面へと着地することも。


 玲夜は地面に降り立つと同時、反転し一気に金巨人へと迫る。


 その動きは先ほどまでの強化される前の玲夜の動きとは比べ物にならない。

 だがしかしそれでも金巨人にはギリギリ反応される。

 玲夜の水平斬りに対し手斧をもってして防ぐ。

 無理に剣を押し込むことはせず、魔法を発動。


 並列思考で既にマナはほぼほぼ練ってある。

 

 「{獄炎}」


 燃えるのか、それとも魔法で防ぐのか。

 予想通りと言うべきか金巨人は顔面を守るように3本の腕で交差するようにガードしている。


 (やっぱりか)


 視線を俺からそらした瞬間に側面へと回り込み連撃を加える。

 身体強化を重複させたおかげで金巨人が動き始める前に腕を3本断ち切ることに成功。

 そのまま顔面に向けて剣を突き刺そうとした瞬間―――。

 金巨人と眼があった。


 あ、やばっ……


 剣を突き刺そうとした体を無理やりひねり、視線から回避するその瞬間。

 さっきと同様に光速のビームが射出される。

 その莫大なマナで俺も吹き飛ばされるが、腕を吹き飛ばされるような大きなダメージはない。少なくとも金巨人の攻撃では。


 「…………がふっ」


 バックステップを取って金巨人から距離を置いたところでむせ返るようなものを感じ思いきり吐血する。

 それを皮切りに全身に引き裂かれるような痛みも感じる。


 「…………いてぇっ」


 アドレナリン?それとも狂人化?の作用が切れて痛みがぶり返してきた。


 「お前もきつそうだけどな」


 金巨人の漆黒の鎧も所々剥げてきており、この格好の機会にこちらへと攻め込んでこない。

 しかも今の一連の流れで色々と分かってきた。


 まず奴は魔法と近接の併用は出来ない。

 魔法は使ったとしてもこれまで俺が相対してきたものにどこか似ている。なぜかは分からないがこの100層の間に出会った敵が使ってきた魔法しかこいつは使わない。故に何とか反応は出来る。

 次にあのビームは連発もできないし、視線をちゃんと意識していれば当たることは無い。

 あとあの漆黒の鎧は多分装備してると莫大なマナを消費するらしく長くはもたない、まぁその前に奴が勝負を決めに来るだろうが。


 とまぁ色々と有益な情報は手に入ったが俺もまぁまやばい。

 身体はガタガタで血はドバドバ出てるし左腕もない。

 それに並列思考もさっきの魔法以降出来なくなっている。

 正に満身創痍。


 玲夜と金巨人の戦いは最終局面へと移行しつつあった。



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