54話 無職はボスへと挑む②―対抗
明日も同じぐらいの時間に投稿します。
美味しいところだけもらい風の魔法で守護者を倒す。
だがこれはあくまでものの次いでだしゼニスも動けなそうだったし怒らないだろ多分うん。
俺が本当に欲しかったものは守護者の奥にあった巨大な直剣。
ゼニスが最初に不意打ちで切り落とし右腕が持っていた武器。それゆえこの剣はミスリルやオリハルコンで出来ている……はずだ。これなら停滞した状況を覆せる可能性もある。
ぶっちゃければ停滞とも言えない、ただのジリ貧。
「{錬成}」
拾っては見たがこのままだとさすがに大きすぎて扱いづらい。
直剣の裏に隠れ金巨人の攻撃をやり過ごしながら魔法を発動し直剣を変成させる、ただ剣自体は何本も作ってきたのでそこまで変形させるのは難しくない。
じゃあなんで今一本も剣を持てないかって?
全部折られたんだよ、畜生!
最初に粉砕した奴が1番出来のいいやつだったんだ!
……俺が創った訳じゃなくてゼニスが創ったというのが情けないところなんだが……。
と、とにかくその後俺が創った剣は、あら不思議、数号も打ち合うと壊れてしまう。
それでしょうがなく俺はこの短い戦いの間で剣を何個も作ることになった、ただまぁ即興で造っているから強度は何とも言えなかったが。
どうすっかとか考えてたらこの武器をちょうど見付けたんだ、そしたら今度はゼニスたちの戦いが激しくて気軽に取りに行くこともできねぇ。
それで終わりかけのタイミングで乱入したという訳。
まぁ必然なわけだ。
直剣を錬成し、ちらっと倒れこんでいるゼニスの様子を窺いみる。
かなりぼろぼろな姿。普段は鉄壁のガードを決め込んでいるゼニスの白い柔肌が所々から見えてしまっている、まぁ大事な部分はしっかりと隠れているが。
ただこの分だとすぐに戦闘に参加するのはきついか、マナもかなり使ったみたいだし。
せめてもの救いは自分で回復の魔法をかけているからか命の心配はしなくていいということ。
まぁつまりこの金巨人は完全に俺一人で戦わなくちゃいけないことが決定した、ただまぁゼニスも守護者をほぼ一人で倒し切ったわけだし俺もやらなくちゃ男が廃るよな……泣。
だから死にかけのゼニスにちょっくらかっこいいところ見せてやる!
「ちょっと休んでろ、いいか? ちょっとだぞ! 長く休んだら俺がっ!死ぬからな!」
(ここは俺に任せて寝てろ、起きたらすべてを終わらしてやるからさ!)
ふっ、どうだ。盛大に決めてやったぞ?
…………ん?ちょっと待て、なんかまちがえたくさい。
ゼニスもなんか微妙な顔をしているし。
「はいはい、じゃあちょっとお願いして休もう…………かし………ら」
そう言ってゼニスは意識を失う。
というかどうやらこの金巨人を任せられるぐらいにはゼニスに信用されているらしい、まぁ本人に言ったら速攻で否定されるだろうが。
「さてと、じゃあ男を見せるとするかって…………うおっ?!」
金巨人による全六本の腕による総攻撃。
その一本一本が独自の意識を持ったかの如く予測不能の超高速の攻撃をけしかけてくる。
「はは、自分との闘いをほっぽり出されて怒り心頭って訳か?」
右左、上下と空間をうまく利用しながら玲夜は攻撃を避け、新しくできた長剣で弾き捌いていく。
「うわ、重っ?!」
この剣、使ってみればわかるけど気を抜けば体の重心が崩れて致命的な隙を晒すほどピーキーさがある。
しかしその代わりにミスリル製のこの剣は金巨人の攻撃をくらってもびくともしない。
ただいつまでも耐えているわけにもいかない。
「{ウインドエッジ}{獄炎}」
風の刃に追随するように白き炎が金巨人を襲う。
金巨人はウインドエッジを飛んで避け、獄炎は水の魔法でかき消す。
玲夜はその間に金巨人の裏へと回り込み、空を飛ぶ金巨人に上から斬りつける。
完璧な死角からの1撃……なはずだった。
しかし金巨人はギリギリで腕2本を出して防げる態勢。
さっきまでなら確実に弾かれていた1撃。
だが今はさっきまでとは違う。
肉に喰い込む感触。
さっきまでの木で鉄を打ち付けていたかんかくとはまるで違う。
金巨人の1本目の腕を切り裂き、2本目の中程で剣が止まる。
「ガァァァっ?!」
ダメージを与えられたことが予想外だったのか、奇怪な悲鳴が聞こえてくる。
自然と玲夜の口元に笑みが漏れる。
「このまま二本目ももらう」
魔法で剣に獄炎を付与、二本目を強引に焼き切る。
が、金巨人もやられてばかりではない。 身体ごと玲夜の方を振り向き身体を掴もうと腕を伸ばす。
玲夜は金巨人の身体を蹴り付け、その反動で後ろへと退避。
そのまま地面へと降り立つ。
ふぅ、ようやくダメージらしいダメージを与えることが出来た。
そして本当の絶望が始まる。
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