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異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
2章 2人の世界~禁忌な2人は力を得る~
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51話 魔女と守護者

 

 後方からたたきつけられる強烈な殺気。

 振り向かなくても分かる、金巨人だ。

 十中八九一撃必殺の攻撃が来るだろう、だけど私は振り向かない、いえ振り向けない。


 目の前に対峙しているのはこれまたダンジョン最後の砦である、守護者(ガーディアン)

 一瞬でも隙を晒せば待っているのは死の未来。


 (とはいっても金巨人にはしっかり背中を晒してしまっているけど……)


 すぐに金巨人と守護者の攻撃が同時にこちらへと押し寄せる。

 隣を流し見て見れば玲夜がありったけの防御魔法を展開するのが見える。


 なら私が対処すべきは前方の守護者。

 氷結柱を前方と側面に展開。

 ギリギリ発動が間に合い、土塊を防ぐことには成功する。


 玲夜の魔法は粉々に砕かれ、壊れかけの長剣を使って何とか迎撃している。

 よく今の攻撃をその薄弱な装備で受け止め切ったわね、そのせいで長剣は粉々になってしまったけれどここからどうするのかしら。


 ……なんて悠長に考えてる場合じゃないわね。


 「玲夜そっちはお願いできるかしら? こっちは私が受け持つから」

 「……ん? ああ……ってうわあぶな、なんだよその攻撃はぁぁ。 ああ、了解……だっ……ゼニスぅぅぅっ!?」



 ……本当に大丈夫かしら、金巨人の攻撃で派手に吹き飛ばされていったのだけれど。


 「こっちが終わったら助けに行くから」

 「…………あ、ああ―――しかし倒してしまっても問題はないのだろう?」

 「……ええ」


 なにか口調が変だけどまあいいわ。

 私も私の敵に集中しましょう。


 「氷礫」


 数千を超える氷礫を守護者の正面へと打ち放つ。

 案の定というべきか守護者の強靭なタフさの前にすべてを弾かれてしまう。


 (やはりこの程度の攻撃では効かない、でも……)


 「目くらましにはなった」


 空へと飛び上がり体内でマナを練り上げる。

 しかし稼げた時間は数秒、すぐに守護者は私の姿を補足し土系の魔法を放ってくる。


 「数秒もあれば十分、アブソリュートゼロ」


 私へと向かってきていた魔法すべてを凍らせそのまま下の守護者をも巻き込む。

 アブソリュートゼロは守護者の巨体を丸ごと包み込み、そのまま守護者の周囲をも白一色へと染め上げていく。

 この魔法は触れたもの全ての命を奪う、()()()()


 「そうね、これだけで倒せるはずないわよね」


 この魔法の中でも、わずかに守護者の腕が動いているのが見える。


 「でもこれで終わりじゃないわよ、超氷斧」


 10メートルを超す長大な斧を金巨人の腕の関節部分へと降らす。


 「そこの部分はどうしても他の部位より弱くなってしまうのよね、とはいっても――――」


 斧がめり込んだのは間接の3分の1程度、完全に腕を切断するには至らない。

 あともう一押しね。


「氷槌」


 氷斧を更に押し込む。

 数秒後重量のある右腕が落ち、そのはずみで持っていた剣がぼとりと落ちる。


 「まずは一本」


 とは言っても言葉ほど余裕があるわけじゃない。

 マナを4分の1も使ってようやく守護者の腕一本。


「さてどうしたものかしら――――――――なんて悠長に考えている時間はなさそうね」


 守護者を凍らせていた氷が爆散し一気に私に向かって飛び上がってくる。


 速いっ……。


 「アイシクルランス」


 数百の氷矢を作り出し守護者へとぶつけるは守護者はそれを左手の大楯ですべてを弾き、その勢いのまま突進してくる。

 ぶつかれば圧死……とまではいかなくてもダメージは受けるだろう。

 余裕をもって、右へと回避するが……


 「かはっ」


 風圧を予測しての回避だったにも関わらず思いきり吹き飛ばされる。

 なんとか空中で立て直し、上空を向くがそこには魔法を発動する守護者の姿。

 発動される魔法を予測して、自身もマナを練り上げる。


「氷門」


 空中に極厚の門を創り上げ、1撃目の雷撃を受け止め切る。

 そして目の前に守護者の姿はない。


 どこ……?

 魔法発動の予兆――――


「上っ!?」


 私の更に上を見上げれば守護者が数百の光の矢を創り上げるのが見える、さすがに氷門を創るほどの時間の余裕はない。


 「氷盾」


 二重に創り上げるが即座に1個目が破壊され、そのすぐ後に2つ目も破壊される。

 しかし全てを防ぐことは流石にできず、幾つかが身体をかすめる。


 「…………くっ、嫌な魔法使うじゃない」


 かすっただけにもかかわらず左手が若干しびれている。

 だからといってその場に停滞しているのはあまりにも悪手。

 飛びながら守護者の攻撃を避けていくが、どうしてもこちらの攻撃が後手後手に回ってしまう。

 ならやり方を変えるしかない。


 自身の周囲に氷結柱を展開し、一時的に攻撃を遮断し、魔法の発動に意識を注ぐ。


 「{身体強化}{威力最大化}{魔法最大化}{貫通最大化}」


 自身の身体が熱を帯び、充足感が私の中を満たしていく。

 しかしこの状態は一時的なもので長くは保たない。


 私を守る氷結柱は守護者の大楯に突進にされひびが入っている。


 「氷長弓」


 最後に威力を前面に押し出した、俗に言うロングボウを間一髪のタイミングで創り上げる。

 弦に氷の矢を番えると同時に私を守っていた氷結柱が完璧に破壊される。

 しかしそこにもう私はいない。


 「仕切り直しと行きましょうか、ただ――――」


 今回の戦いは短期決戦だけど。


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