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異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
2章 2人の世界~禁忌な2人は力を得る~
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閑話⑤ 勇者たちの変化


 「はぁぁぁぁ!」


 柊が振る長剣が蛙型のモンスターであるスラッグの脳天を切り裂く。

 敵を倒すことによってできた一瞬の隙を狙って別のスラッグが柊に向かって粘液を飛ばす。


 「させないよ! 我、願い奉るは風の精霊なり、我らを悪意から遮りたまえ、ウインドバリア!」


 柊の周りを風がふわりと包み込みスラッグの粘液をはじき返す。


 「すまん、助かった」

 「ううん、それよりも今のでボスの取り巻きは終わったから、早く秋人と夏希を助けに行こうよ」

 「ああ、そうだな!」


 柊と夏希のもとに駆け付けてみればかなりギリギリの戦いを強いられている。


 「我、願い奉るは光の精霊なり。 光は癒しを与え、安らぎをも生む ヒール! 」


 夏希のヒールが敵の毒を受けながらもパラライズスラッグの攻撃に耐えていた秋人へと降りかかる。


 「…………くっ、きっちぃて思ったらお? 身体が軽くなった? ってことは夏希か! これならいける、おらぁぁぁぁっ!!」


 毒に侵されながらも拮抗していた力が、夏希のヒールを受けて一転。

 秋人が思いきり自身の剣に力を込めてパラライズスラッグを吹き飛ばす。

 すかさず夏希が光魔導のライトアローを飛ばし追撃。

 だがさすがにボスモンスターだけあって吹き飛ばされながらも毒の粘液を前方に展開し、ライトアローを防ぎ、次いで秋人と夏希から自身の姿が見えないように視線を遮ってくる。


 「なるほど上手いわね、さすがボスモンスターだけはある。けど……」


 夏希の言葉に続けて柊が入ってくる。


 「ああ、もう大丈夫だ。よく粘ってくれた、一気に倒すぞ」

 「お待たせ~」


 颯爽と登場する2人。

 まるでアニメか漫画のようなセリフ。

 普通はここでかっこいい台詞を返すのだろうけど、そこまで余裕があるわけでもない。

 必然的に返答も厳しいものになる。


 「おせぇぞ二人とも」

 「柊はかっこつけてないで早く戦闘に入ってきて」

 「……お、おう」


 秋人とスイッチするように柊が前線へと立つ。


 「秋人は俺のフォローをし、桜は魔導の準備を、夏希はバフとヒール管理を頼む」

 

 柊はそう言い切るとそのままパラライズスラッグへと突撃する。

 ただ突進するのではなく、ジグザグに動き敵に的を絞らせない。

 だがパラライズスラッグも何をしないわけではない。


 「ブシャァァァァ」


 直線ではダメと悟ったのか、範囲的に粘液で攻撃してくる。

 しかし柊はその攻撃を回避しない。


 「我、願い奉るは光の精霊なり。 聖なる籠を彼のものに与えたたまえ!」


 夏希の魔導が柊の前面に展開され、粘液を弾き飛ばす。


 「我、願い奉るは火の精霊なり。 劫火はすべてを焼き尽くし、この世に灰のみをもたらしめる くらえフレイムスラッシュ」 


 柊の斬撃は炎を纏い、パラライズスラッグの表面だけを焼き切る。


 「くっ、浅いか」

 「任せろ」


 秋人が柊を抜き去りパラライズスラッグへと追撃をかける。


 「さっきの借りは返すぜ! おらぁぁぁっ」


 秋人が先ほどまでの鬱憤を晴らすように連撃を加えていく……がそれでもやりきれない。


 「かってぇなぁ、おい。ここまでやってもだめかよっ!」


 さすがの秋人もこれには驚きを禁じ得ない。


 「いや大丈夫だ、下がるぞ秋人!」

 「……ああ、分かった!」


 前線の二人が下がった瞬間、この瞬間まで詠唱を続けていた桜の魔導がようやく完成する。


 「我、願い奉るは風と水の精霊なり、青は生を生み出し死を運ぶ、緑は豊穣を運び嵐にもなりうる。 青と緑合わさる時巻き起こるは死の嵐。 切り刻め 超嵐」


 パラライズスラッグを巻き込んで超大な嵐が巻き起こる。

 嵐の中は無数のウインドエッジが吹き荒れ、同時に超高圧の水流が巻き起こりその二つによってパラライズスラッグの体表が削り取られていく。

 超嵐が収まるころにはパラライズスラッグは原型を留めないほどにバラバラになり辺り一帯に血がまき散らされている。

 

 「……終わったな」

 「ええ、これで戻れる」

 「……つっかれたぁぁぁ」

 「……ふぅ、最後失敗しなくてよかったよぅ」


 4人各々が感情を吐露するが、共通してあるのは安堵の感情。


 「それじゃ取れる素材を取ったら帰るとするか、外でブランさんたちも待っているだろうし。城に戻ったらダンジョン攻略の軽い祝いでもしよう!」

 「いいな、それ!ここ最近ずっとちゃんとしたもの食べれなかったし!」

 「ダンジョンだからそれはしょうがないよぅ」

 「はいはい、それじゃ一刻も早くここを出ましょう」



 ダンジョンを攻略した高揚感からか4人の足取りは心なしか軽いものとなっていた。




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