表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
2章 2人の世界~禁忌な2人は力を得る~
30/123

27話 無職は勘違いを思い知る


 視界が暗転し、気づけばあの穴に落とされた時と同じ場所にいた。

 そして視線の先には俺を穴へと落とした、張本人の姿。


 「よぉ、久しぶりだな」


 俺の体感でゼニスと会ったのは30年以上前だ。


 「……ええ、お帰りなさい。 よく戻ってこれたわね」

 

 ゼニスは青白い顔で笑みを浮かべる。


 「どうした? 体調でも悪いのか?」

 「そういうあなたは変わりなさそう……いえ、口調は少し変わったわね」

 「変わってねぇよ、元々こっちが素だ」

 「あら素をみせてくれるの?」

 「別に取り繕ってもしょうがないと思ってるからな。 というかお前はこの30年で変わったな、美人なのは変わってないが前よりは口数が多くなったし、それに不健康そうだ」

 「……それは心配してくれてるのかしら?」


 ほのかに笑みを見せるゼニス。

 だが美人だからってもう前回のようにはいかない。

 いつでも魔法を放てるように準備しておく。


 「そう、警戒しないでいいわ、私はあなたを害するつもりはないから。 ああでも私を襲おうとしたりしたら問答無用だけど」

 「ぬかせ。 俺は愛のあるいちゃらぶでしかやりたくねぇんだよ」

 「それじゃああなたには一生無理じゃない。 あなた自身が他者を拒絶しているのだから」

 「……うるせぇ、そんなことどうでもいいだろ」

 「それもそうね、あとあなた一つ間違ってるわよ」

 「…………何をだ?」

 「あなたがここから私の空間に落ちてから5日しか経ってないわよ」

 「は?」


 5日?

 そんなわけがない。 寝て起きたりを1000回以上繰り返したんだぞ?

 それが5日?

 もしそれが本当なら俺、一回の睡眠、数分とかになるぞ?

 さすがにそれはありえないだろ。


 自慢じゃないが、俺の一回の睡眠は長いほうだ。 それこそ自制しなければ1日中でも寝続けられる。

 それが数分? 

 ありえない。

 故にこれは……


 「ダウト、嘘だな」

 「嘘じゃないわよ、()()()()()()では5日しか経ってないわよ?」

 「こっちの世界では?」

 「そう、こっちの世界で5日よ」

 「……つまり俺のいた場所では違うって言いたいのか?」


 そんなことありえるのか?

 いやありうる……か、あんな空間まで作れるんだから。


 「ええ、大体こっちでの1日はあなたがいた空間では大体100年に相当するわ」


 そう何気なくゼニスから語られた事実。

 それを聞いた俺はというと…。


 ……

 …………

 ………………。


 フリーズした。


 は? 1日で100年?

 じゃ、じゃあ俺はあそこに500年もいたことになるのか?


 「さ、流石にそれはないだろ」

 

 あ、安心安全の時計俺つけてたじゃん

 それ見れば一発じゃん。





 「…………」






 ほ、本当に500年経ってるよ。

 良く壊れなかったなこの時計!


 「……どうやら分かってくれたみたい……ね」

 「ああ、信じられないが」


 だがこんなしょうもない嘘をついてもこいつには何のメリットない。

 

 「それでお前はお前の事情を説明してくれる約束だったな」

 「……え、ええ。 そういう約束だったものね」

 「あと俺の願いを聞いてくれるってのもな」

 「分かっているわ、でどっちを先にするの?」


 願いか事情かってことか

 さて、俺の願いは既に大体決まっている訳だが……


 「先にお前の事情だな」

 「あら我慢できるの? てっきり私はすぐに襲われると思っていたのだけれど」

 「だからそれはさっき否定しただろ」

 「……ええ、でもあれは……ただの照れ隠しでしょ?」

 「いや本音だが?」

 「……じゃあ私を襲わないの?」

 「当たり前だろ!」

 「さすが精神異常者、考えてることが読めないわ」


 な、なぜこいつがその不名誉な職業を知っているっ!?


 「私魔法使えるって言ったでしょ? あなた結構強くなったわね、レベル1の割には。 それに……魔法も使えるようになってる、すごい……はぁ……大雑把にだけど」

 「お、おい大丈夫か? はぁはぁしてるけど」


 まさか、あれか。 


 「興奮してるのか?」

 「……してるわけないでしょ」


 ジト目でにらまれた。

 その顔は最初にみた時よりさらに青白くなってる。


 「冗談は置いといて……本当に大丈夫か?」

 「……だい…じょうぶに……決まってるでしょ」


 ゼニスはそういって部屋を出ていく。


 「……絶対大丈夫じゃないよなぁ……おーい」


 ゼニスの跡を追って部屋を出る。

 彼女は部屋の奥のベッドによりかかっていた。


 「おい」


 返事はない。

 そーっとゼニスの顔を覗き込んでみれば彼女の眦は既に閉じられている、


 「おーい」

 「……すぅ」

 「はぁ、起こしてもいいがまたこうなってもらっても困るしな」


 俺はゼニスをベッドへとお姫様抱っこして寝かしてやりそのまま部屋を出る。


 「……柔らかかったな」


 そういえば初めて女性の身体に触れたかもしれない。

 部屋を出る直前で考える。

 考えてしまった。 それが言葉に出てしまった。


 「変態……」


 何で起きてんだよ!



 

 

 

 

  

 


 

 

 

  


面白いと思っていただけたら評価の方、してもらえると嬉しいです。

していただけると作者のモチベに繋がります!!

感想もお待ちしてます!


誤字脱字あったらお知らせください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ