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異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
2章 2人の世界~禁忌な2人は力を得る~
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25話 無職はきっかけをつかむ



 傷をつけた印が1000を超えた。

 そして魔法に関しては未だなんの進展もない。

 ステータスは、幾つかの職業を新たに得たがもう本当に散々な結果だった。


 「なんだよ、新しい職業が[(きこり)]と[耐え忍ぶもの]って」


 樵は当然物攻に成長促進だった。

 説明もすごい簡素で、『樹を切り、生計を立てられるように一人前になったもの。 物攻に成長促進(100)』


 ただこれは取りやすい職業なのか、+の値が低かった。

 それよりも説明は最悪だったが、値がよかったのは[耐忍]だ。

 耐性が10000も上がったからな、説明が魔法使い同様、ひどかっただけで。


 『あらゆる暴力に耐え、孤独にも耐え続けたものが得られる職業。 そなたはあらゆる苦難を耐えられるだろう。 耐性を成長促進』

 

 

 「……こう、なんでステータスの値が高い職業は基本的に俺をディスってくるのか」


 てか何だよ、あらゆる暴力って!

 あれか、地球でのパワハラのこと言ってんのか? それとも蒼の騎士にボコられ続けたことを言ってるのか!?

 どっちなんだよぉぉぉぉ、あ、たぶんどっちもだ、これうん。

 孤独ってのも多分ここに来たからだろうなぁ、体感で1000日超えてるし。

 1000日ってよく考えたら3年近いわけじゃん……。

 そりゃ孤独を耐え忍ぶものとか出てくるわそりゃ。


 「でも不思議と辛くないんだけど、というかどちらかと言えば、落ち着きさえしちゃってるんだが、なんでだ?」


 よくよく今までの人生を思い出してみる。

 これまでの人生で友達と呼べる人はそんなにいなかった。 どちらかと言えば俺を害そうとしてくる人しかいなかった。 親も学校のやつらも職場も、そしてこの異世界においても。

 そうじゃなかった奴らも俺のことを見て見ぬふりをしていただけだった。

 だから俺は常に一人、独りぼっちだった。


 「元々、一人だったんだから今更物理的に孤立したところでってことか……」


 てか、すごい今更の事なんだが俺って人間嫌いじゃね?

 犬とか動物とかには自然な笑顔を向けること出来たけど誰相手でも作り笑いしかできなかったし。


 「うん、俺人間嫌いなんだな、そうはいってもここからは出たい」


 人間が嫌いでもやはり代り映えのしないこの世界では飽きてしまう。

 

 「今の俺がこの異世界を見たらどう感じるのか興味が出るな」


 これでも好奇心は旺盛なんだ。


 「あー、なんかすっきりした」

 「物事をはっきりさせるって大事だ、うん」


 今なら新しいアイデアも出てくる気がする。

 さてと、ステータスステータスっと。


 「ステータス」


NAME: 月城玲夜

LV: 1

SEX: M

JOB:無職ー魔法使い 逃亡者 掘削士 樵 耐忍



HP: 200

MP: 100010(+100000)

物攻: 610(+500)(+100) 

魔攻: 100010(+100000)

物防: 10

魔防: 100010(+100000)

耐性: 10010(+10000)

敏捷: 210(+200)

運勢: 10


スキル

多言語理解



 結局ここを脱出できるようなステータスにはなってない、レベルも1のままだし。

 やっぱ気分一つでこの状況を打破できるような名案が出てくる訳もないかぁ。


 「でもたぶんカギは魔法使いの職業だよな」


 他の職業は力が増えたりしたことを実感できるがこれだけは違う。


 「それこそ何かしらでもきっかけでもあれば……」


 何とはなしにこの空間の端と言える膜の方を見る。


 普通に見ればすぐにやぶれそうなんだけどなぁ、実際そうじゃないんだよなぁ。

 これもゼニスの魔法だってのは分かるんだけどな。


 

 「……あ」


 閃いた。


 これはゼニスの()()じゃん。

 魔導じゃない!


 「灯台下暗しだな、本当に」


 今まであの膜に触れても死ぬようなことは無かった。

 吹っ飛ばされただけだった。

 ただそれだけ。


 「てことはあれに殺傷力はないわけだ」


 なら後は俺に吹っ飛ばされ続ける気合があればいい。


 「たまには新しいことに挑戦しなきゃだよな、俺は耐忍の職業もあるわけだしやらない理由はない」


 「うぉぉぉぉぉっ!」


 そのまま思いっきり膜に突っ込む。

 そして案の定膜によって弾き飛ばされる。


 「……いや、こんな勢いつけてもしょうがない、もっとそーっとだ」


 そーっと、そーっと……チョン。


 「うわぁぁぁっ」


 はぁはぁ、またか吹き飛ばされた。


 「……いってぇ……でもなんか掴めそうな気がしてきた。」



 何回も何回も何回も、膜へと触れてみて、ようやく俺はこの日魔法を使うためのきっかけをつかむことに成功した。


 


 



 これ誰かが見たら俺のことをドМと勘違いするかもしれないな。

 ふとそんなことを思った。

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