表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
2章 2人の世界~禁忌な2人は力を得る~
22/123

19話 無職は出会う

本日1話目です。

2話目は19時に。


 「うわ、すげー……」


 目の前の光景が圧巻すぎてあほみたいな言葉しか発することが出来ない。

 

 大地には多種多様な色とりどりの花が咲き乱れており、空は雲ひとつない晴天で透き通っている。

 それは誰しもが憧れる、行ってみたいと1度は夢想するような場所。 ある人はそこを天国だと表現するだろう、またある人はそこを始祖たちが暮らしたと言われるエデンの園であるともいうかもしれない。

 そんなような印象を抱かせる場所。


 「こういう場所のことを理想郷っていうのか……」


 目の前の光景を美しいと思った…………。

 ()()()()()()()

 しばしその光景を眺めているとふと目の前の景色に変化が生じる。


 誰かがこちらに向かって歩いてきている。

 その歩き方は見るものに気品を感じさせ、視線がなぜか外せない。

 いやどちらかといえば自然と目線が吸い寄せられるという感じか。


 そして徐々にその姿が見えるようになってくる。

 歩いてきたのは女性だった。 

 とても綺麗な女性。

 俺の目の前まで来て、立ち止まるとよりそのことが顕著にわかる。

 

 しかし何故か彼女を見れない。 綺麗なのは分かるが、評細は分からない、モザイクがかかっているみたいなそんな感じ。 

 まるで何かが()()()()()()()()()()()()()

 何か壁があると感じというか……ゲームなどをしている時に出てくる半透明の虹色の壁みたいな感じと言えばいいだろうか。

 だから俺は好奇心で半透明の壁に触れようと、洞窟の出口から理想郷へと手を伸ばした。

 その瞬間、目の前の美女の口辺りがを動くのが見えた。


 「ーーーーーーーーーー」


 何かを言っていることは分かる。

 だが何を言っているのか分からない、聞こえない。


 ただ何か切迫した様子を感じさせる。


 どうしたんだ?


 そう考えた時、何かぬるんとした嫌な感覚に襲われた。

 それはまるで粘性のスライムに全身に纏わりつかれた時のようなそんな感じ。

 それに抗う間も無く俺の身体を引き込まれる、この異世界に召喚された時と同様に。


 「うわぁっ」


 身体を思いっきり投げだされる。

 受け身も取れず身体を強打する。


 「痛っ」


 背中をさすりながら目を開ける。

 視界に飛び込んできたのは、全てを見透かすようなサファイアの瞳。

 しかしその瞳にはどこか冷徹さを感じさせられる。

 その瞳はまるで己の非を攻められているようで……。



 「何をしているの?」

 

 そこで俺は改めて彼女の容姿をちゃんと視認する。

 風に靡く銀髪はまるで絹のようで、こちらを見つめる青い瞳はサファイアのように透き通り全てを見抜いていると思わせる。 顔のパーツのどれ1つをとってもこれ以上ないと思わせるもので、美しいのは顔に留まらずその肢体もそうだ。

 豊満な身体は見るもの全てを魅了させ扇情的な気分にさせるのだろう。

 なぜだか俺にはそんな気分は湧かないが。




 端的に述べられた彼女の言葉の中になぜか怒気を感じるのは気のせいだろうか、いや気のせいだなうん。

 だって初対面の相手に怒られるようなことした覚えないし。

 とりあえず下手に出ておこう。


 「……何をしているのかと言われましても……。 自分も何がなんだかわかっていない状況でして〜……はい」

 「的を得ないから質問を変えるわ。 少年はどこから来たの?」

 「どこからと言われればイシュバルからですね……。  あと、その少年って誰のことを言っているんですか? もし俺のことなら少年ってほどの歳でもないと思うんですが……」

 「誰のことって……貴方以外この場にはいないと思うのだけど?」

 「ええ、俺もそう思いますけど。 ならやはり俺を少年と言うのは無理があるんじゃないですか?」

 「無理? なぜ?」

 心底不思議そうに首を傾げる。


 え? こっちじゃアラサーでも少年とかそう言う感じなのか?

 あ、この人長寿とかそういうことなのか? 80の人から見れば30も少年である的なこと……か?


 俺が困惑していると、美女はさらに続ける。


 「貴方ぐらいの髭もまだあまり生えていない年齢の頃はそう言わないの? 私がいた頃とそういう価値観も変わったのかしら?」

 「いえ、だから髭もこんなに……ってあまり生えていないな、うん?」


 手で摩ってみれば確かに地球にいた時よりも無精髭の量は減っている……というかほぼなくなっている。


 「あれ?」


 よくよく自分の顔面をペタペタと触ってみるとなんか肌にも張りがあってモチモチしている気がする。

 なんか俺がここ数年慣れ親しんできた顔との違和感があるぞ?


 「すいません。 鏡とかってあったりしますか?」

 「今。鏡は手元にはないけど……。 それぐらいなら魔法で出来るわ」


 そう彼女は言うと、いつの間にか水が発現、それがふわふわと浮き上がって鏡のような形状になり、自分の顔を確認できるようにしてくれる。


「……え? 今どうやって……? と、とりあえずありがとうございま……………は?」


 思わず絶句してしまう。

 口を大きく開けてるから傍から見たらアホな人みたいになってるだろう。

 だが今はそんなことどうでもいい。


 「……どうかしたの? まるで自分の顔が別人になっていたみたいな反応しているけど?」


 彼女の言葉は聞こえている。

 聞こえてはいる。

 だが返事をすることは出来ない。 

 いやこの状況なら誰だって返事する余裕があるはずがない。

 だって俺のこの状況は……


 「わ………………」

 「わ?」

 「若返ってるぅぅぅぅぅぅ!?」


 俺の叫びが理想郷に木霊した。

 いきなり叫び声をあげた俺への彼女の反応はただ一言。


 「は?」


 その冷たい一言のみだった。



面白いと思っていただけたら評価の方もしてもらえると嬉しいです。

していただけると作者のモチベに繋がります!!

下のボタンをぽちっと……。

誤字脱字あったらお知らせください。

感想などもお待ちしてますよ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ