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異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
1章 追放〜翻弄され続けた男は自由を渇望する〜
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2話 無職は異世界言葉が分からない

異世界言語出てきますが10話程度辛抱していただけたら解決しますので少々お待ちください、


「う……ん?」


 なんかやけに床が固い。 うちのベッドも決して柔らかくはないが、ここまでの固さではなかったはずだけど……。

 まあいっか眠いし、もう一回寝よっと。


 「こ、ここどこだろ?」


 誰か女性の声が聞こえてきた、

 はぁ、気にしてられん。 最近はずっと残業続きで1週間に3時間程度しか寝れてなかったから今とてつもなく寝不足なんだ。 だからもうちょい寝させてもらう。


 「さあどこだろうね。 でもとりあえず俺たちが普段通っていた教室でないということは確かだよね」


 どうやら複数の人物がいるらしい、今度は男の声だった。

 そこでふと眠いながらにも疑問が生じる。


 あれ? ここ俺の部屋だよな? なんで複数の人間がいるんだ? 

 俺の部屋は四畳半の狭い部屋。

 所狭しとものを置いているから他の人間が入る余地なんてなかったはずなんだが……。


 まいいか、気にするな俺、気にしたら負けだ、うん。

 それが社会でやってきた俺なりの一つのコツ。


 「何がどうしてこうなったんだよ。 俺らは教室にいたはずだろ!? なんでこんな石室みたいなところにいるんだよ! 地面には変な幾何学模様も書いてあるしよぉ」


 おっと、乱暴そうな男の声まで聞こえてくる。 3人目か。 俺含めて四人。

 うーん? 俺の家は狭い、狭いが4人ならなんとか入れるよな、4人なら……。

 てことはまだ俺の家だと否定する根拠にはならないんだようん。


 だから気にしないで寝る。



 「とりあえずだけどさ、外に出て見ない? そこに扉みたいなのもあるし」


 はい! 寝れませーん、てかもうダメだ。 気にしないわけにはいかなくなった。 ここはどうやら俺の家ではないらしい、もう否定できん。 だってマイハウスは他人が3人、俺も合わせたら4人しか入るスペースはないからな。 それに俺の家は彼らが言っていたような石室でもないし。 

 いくらブラック企業に勤めていたからって家ぐらい、一般的な木造建築だわ!


 というかどうしよう。 この4人知り合いみたいなんだが。 だが生憎と俺の見知った声ではない。 ちょっと聞き覚えあるだけだ。 しかもごく最近。


 「うん。 わ、私もそれでいいと思うよ。ただ……」


 最初に話していた子だな、この声は。

 で? ただなんだ、続きはないのか!?


 「ただなぁ……。 俺にもお前が言いたいことはわかるぞ」


 俺はわからないんだが!? 詳しくお願いしたい。


 「放っておけばいいんじゃない?」


 だから何を!?


 よーし君達、一旦主語を省いて会話するのをやめようか。 日本人の悪いくせだと思うんだよそれ。 上司が主語を省いて内容が伝わらずに何回取引先に怒られたと思う? 数えらんないよ! あのハゲはそれぐらい分かれよって言って頑なに謝らなくて大変だったし。 ほんとにもう!!


 って違う違う、この人たちの会話に集中しないと。


 「さすがに放っておくのは気が引けるね。 ていうかなぜ彼だけ起きないのだろう? 起こしてみようか」


 彼だけってことは他のメンバーは全員起きているってことだよな。


 「あの〜、すみません。 起きてくださーい」


 肩をトントンと叩かれる。

 やっぱ俺のことだったか、どうやら高校生諸君に気を遣わせてしまったらしい。



 「う……うーん」



 それっぽい演技をしながらゆっくりと瞼を開ける。


 俺を起こすためにしゃがんでいた人物は、俺を職員室へと案内してくれると言った茶髪の青年。 その周りには俺を覗き込むかのように黒髪短髪の男の子と茶髪で猫目の女の子、それと黒髪たれ目の子がいる。

 つまりさっき教室にいたグループの子たちだ。


 「えーと……」


 なんて言おうか。 ここはどこ?とか言うべきか、でもさっきこの子たちが話している内容を聞いちゃってるしなぁ。 どうしよ。


 そんな風に俺は考えていたんだが、その様子がきっと彼らには困惑しているように見えたのだろう。 茶髪の爽やかイケメン君が先に話を切り出して状況を教えてくれる。


 「ここがどこかは俺たちには聞かないでね。 俺たちも分からないんだ、それでこれからここから出てみようという話になったんだけど、君が倒れたまんまでさ。 君一人をおいて行くわけにはいかないと思ってね。 ということで一緒に行こう、えーと、立てるかい?」


 爽やかな笑顔とともに手を差し伸べてくる。

 なんていい子なんだろう、この子は。

 その手を借りて立ち上がる。


 「よっこいせっと。 ありがとうな」

 「いやいや、これぐらい普通だよ。そうだ、自己紹介をしておくね。俺の名前は天道 柊(てんどう しゅう)だよ。そして彼が」


 柊が短髪の男の子の方に目線をあてる。


 「秋人、成宮 秋人(なりみや あきと)だ」


 「私は宝生 夏希(ほうしょう なつき)


 気の強い子がぶっきらぼうに言い放つ。

 うーん。ちょっと怖い。


 「わ、私は星宮 桜(ほしみや さくら)です。」




 て、あ、よく考えてみると全員の名前に季節が入ってるのか、なんというか……ちょうどいい組み合わせだなぁ。


 「俺の名前は月城玲夜。 よろしくね」


 会社で鍛え上げた全力の営業スマイルを浮かべる。


 「玲夜君か、それで君はどこの高校に行ってたの?見慣れない制服だけど。」

 「…………へ?」


 予想外の質問すぎて唖然とした顔になってしまう。


 え? どこの高校って? 出身高校のことか? え? 俺に? 29歳を迎えた俺に高校って? え? もう10年以上前のことなんだけど。


 とりあえず答えるけどさ……。


 「……えーと、□□高校だけど?」


 「うーん。ちょっと知らないな〜、規則性とかあると思ったんだけど」


 東京に住んでいる人が長野の高校知ってたら逆に怖いよ。 しかしそこについては柊は特に何も思わなかったらしくすぐに次の質問をしてくる。


 「君も魔法陣みたい幾何学模様のやつに巻き込まれたのかい?」

 「あ〜と、うん」


 一体何を言ってるんだ? 俺も君たちと一緒に居たじゃん?


 うーん。 あ、ああ、分かったぞ。 閃いた、俺が中々起きなかったから記憶とかに不備がないかを調べてくれてるのか、短期記憶と長期記憶の両面から。 やるじゃないか、えーと名前は……柊だ。 この子頭いいな、そんなことを咄嗟に思いつくなんて。 もう、おじさん感激だ。馴れ馴れしいのは気になるけど、そこがどうでも良くなるくらいに感激している。


 「ねえ柊。 いつまで話しているの? さっさと行きましょ」


 茶髪の女の子、夏希が急かしてくる。 横を見れば秋人も同感なのかウンウンと頷いている。 確かに呑気に話している場合でもなかったなmここが安全かどうかも分からないし。


 「それもまあそうだね。 ここを出て安全な場所に着いたら話せばいいよね、この話はまた今度しよう」


 柊はそう結論づけると、夏希たちのいる扉の前へと向かう。 ただその扉には取手のようなものはなく、どこから開けたらいいのかはさっぱり分からない。


 「うーん。これ開けても大丈夫なのかな? でも出口みたいなのはそこしかないんだよねぇ」


 柊は扉の前で腕組みをしながら考え始める。


 少しの間、柊が何かを言うのをを待つが彼が思考の旅から戻ってくる気配はない。

 それを見ていた秋人がすぐに焦れる。 短気な性格なんだろう。


 「とりあえず押してみようぜ。 案外開くかもしれないしよ」

 「ちょまっ……」

 

 柊の制止も聞かずに扉へと手をかける。


 秋人が扉へと触れた瞬間、光が輝きだす。 それは魔方陣の輝きと同質のもので、それはつまり……。


 「え? また?」


 どこかに飛ばされるのか……と石室にいる全員が感じ、目を瞑った。 瞑ったのだが、一向に意識が遠のくような感覚はやってこない。 



 ん?



 恐る恐る目を開いた先にあったのは先程と変わらぬ景色。

 やられた……。 誰にかは分からないが。

 全員が少し気恥ずかしそうにする。

 いや、一箇所だけ違うか。

 

 「扉が開いている……」


 桜の声が石室へと響き渡る。


 扉が開いた先には長く続く廊下が続いており、その床にはどこかの国際的な映画祭かと思うほどの赤いレッドカーペットが引かれている。


 レッドカーペットの横には兵士たちが槍を持って控えており、誰も動くこともなく整然としている。


 その光景を見て誰も何も言うことができない。 あの勝気な夏希や秋人も何も言葉を発さない。 桜に至っては言わずもがなだろう。


 圧倒されているのだ。 この光景に、雰囲気に。 現代日本ではまずお目にかかれるような光景ではない。 かくいう俺もあまりの驚きで何も言えない。


 そんな時にいち早く反応できるやつ。 この場にはそんなやつ一人しかいない。 一人しか考えられない。



 ほーら、動き出した。



 「……みんな、先へ進もう。 多分これは銅像だよ、精巧なね。 とても立派なものだけどね……」



 え、そうなの? 確かに動かないけど全く。



 柊は冷静にそう分析すると、恐る恐るだが扉の先へと一歩足を踏み出す。 踏み出した先には大量の兵士が先程と同様の位置に鎮座している。 しかしここでも一つだけ部屋から見えたのとは異なる点が。


 柊が完璧に部屋の外へ出たのを見て、秋人、その次に夏希、最後に桜が部屋の外へと出ていく。


「……」


 部屋を出た瞬間、全員がそのまま部屋の前で止まってしまう、止まってしまったのである。 そうなると問題はひとつ。 扉の先は五人が出れる余地はない、四人がぴったし。 その四人が立ち止まるということは……




 で、出れね〜。 けど無理に出て行って邪険にされんのも嫌だしなー。



 さっきまで俺の話題で話していたんだから俺のこと忘れるのはひどいよね、うん。 いつも4人でいるのがデフォルトだからなのかもしれない、てかそうだと信じたい……。


 俺の存在がもともと眼中になかったのか、それともそんなこと忘れるくらいの衝撃を与える何かが扉の外にある……かだな。



 考えても考えてもどうすればいいかがわからない。


 悩んでいると一番端にいた柊が前へと出て行く。



 きた、チャンス!



 俺はすかさず扉の外へと出て行き、空いた隙間へと身体を滑り込ませる。

 柊は俺たちの前にいた。その柊の前には1人の白銀の騎士の姿。

 白銀の騎士と柊は何かを話している感じだ。 何を話しているかはこっちまでは聞こえてこないが、顔つきは真剣なものだ。



 「フゥ」



 柊は話が終わったのか、苦笑を浮かべながら俺たちの方へと戻ってくる。



 「何の話をしていたんだ?」

 「いや、話という話はできてないよ。 何を聞いても、会ってほしい方がいるの一点張りさ。 もうとりあえず会ってみるしかないだろうと思ってね」



 秋人の質問に柊はやれやれと手をあげる。

 しかし俺としては安心できたこともあった。


 どうやら言葉は通じるらしい、よかったぁぁ。


 こういうパターンで困るのは言葉が通じないことだよな。 海外でも言葉の壁は大きいってよく聞く。 まぁ行ったことはないけど。 


 白銀の騎士が手招きをして歩き出す。 その後に続いて柊と他のメンバーがついて行く。 俺はもちのろんで最後尾。


 そのまま室内を数分歩いて行く。 ずーっと室内だ、しかも一回も曲がったりもしない。


 何が言いたいかっていうとだな、つまりめちゃくちゃ広いってことだ。 もうどこかの城かと疑うレベルで広い、ほんとにもう広い、やばい。



 そしてようやく曲がり角が出てきたのでそこを曲がるとすぐに大きな扉が現れる。 扉は細部にまで意匠を凝らした創りになっていて格式高い感じになっている……ような気がする。 ぶっちゃけよくわからない。



 扉の横に待機していた2人の兵士が片方ずつの扉に手をかけて開けて行く。 それは石室のように目を開けたら開いているという訳ではなく、ギギギという重厚な音を響かせゆっくりと開いていく。


 その時間が俺らをより緊張させる。


 中は大きな広間があり、何百人も収容できそうだ。

 一番奥の段差を上がったところには玉座が作られておりそこに1人の人物が腰掛けその横には何人かが控えている。


 「これは凄いね……」

 「……」


 柊がボソッと呟く。 柊以外は雰囲気に呑まれて何も言えなくなっている。


 内心では同意してるよ、柊君! 言葉が出てこないだけなんだ。 だから場がまわるようにもっと喋ってくれ。



 白銀の騎士が中央を先導するように歩いていき、俺達もそのあとを着いていく。

 玉座の前の段差の所で跪き、手振りで俺たちにも跪けみたいな合図をしている。



 なんで俺達がそんなことを。



 なんてことは言わない。 郷に入っては郷に従えと言うしな。 率先して跪く、社会人になって学んだことが役立った。

 俺が跪いたのをみて他の4人も渋々と、本当に渋々と同じようにする。

 それを見て、玉座の男がゆっくりと立ち上がった。


 何かを言うつもりなんだろう。


 さて、何を言うのか……。


 玉座の男が威厳のあるような声で宣言した。



 「*#!☆」\_♪?→←!*☆☆」


 「…………ふぇ?」


 したようには聞こえた。

 だけど何言ってるかはわからなかった。

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