表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/123

105話 勇者パーティーVS獣王の息子


ブランの後ろからホウが黒暗千針(サウザンナイトメア)を放つが、勇者パーティーの一人であろう女が光の魔導で防ぎ、その隙に総指揮官ブランがホウへと斬りかかる。

ホウは難なくその剣を受け流しブランの態勢を崩し、そのまま自身の爪で切り裂こうとしてーー。


「ーー私たちがいるのを忘れているのか?」


ホウの真横から猛スピードで斬りかかってくるのは白銀騎士団長ミリア。

更にその後ろからは白銀騎士団の団員が半分。

もう半分は勇者パーティーと共に。


「白銀騎士団の団長様とイシュバルの総指揮官、ですか。 なかなかに()()()()国としては豪華な方たちをお連れされましたね、しがない1従者の私なのに相当警戒されてしまったようですねぇ」


およよ、と泣き真似までして見せる。

ただそんな言葉とは裏腹にホウの表情は一切動じていない。


「これはなかなか骨が折れそうですねぇ」


状況を確認するために、上空へと上がりイシュバルの数としての戦力は多大。


「ここが一つの正念場と言う訳ですか」


「一瞬で終わらしてやるよ」


「終わらせられるものならばどうぞ?」


ホウの言葉を皮切りに一気に敵が囲い込む。

味方にはライガールの方の援護へ行かせる。

ライガールの元にも白銀騎士団やその他の部隊もそろっている。

彼がいくら強いとはいっても、一人で獣王様たちがくるまで耐え忍ぶ、あわよくば勝利にまで持っていくのは状況を見るにかなり厳しい。

ひとりでは。


「移動範囲を制限しろ!! 奴に飛ばれるのは非常に厄介だ!! 絶えず魔導で牽制!! 補助魔導を途切れさせないように気をつけろ!!」


一気呵成に剣で切り込み自身で前衛を張りながらも指示をだしていく。

対してホウは空をも利用したいわゆる立体的な動きで翻弄。


ブランに対して数を生かした戦いをしづらくする。

だがホウも1対多を相手にしている以上、大きな魔導などは使えない。


つまりーー膠着状態。


が、イシュバル側したらこれでも最善とはいかないまでも上々。

ホウを抑えれば後はライガールのみ。ライガールの力はまだ成長途上。

力がまだ成熟しきっていない。


1対1で戦えばブランでも負けるが、それでも多対1ならその限りではない。

だが今戦っているのは自分ではない、柊たち、それに白銀騎士団の面々。


「頼んだぞ、お前ら」




ライガールとの戦闘は熾烈を極めていた。


「……強いっ?!」



「我願い奉るは火と風の精霊あり、荒れ狂う暴風を地獄の滅火と共に我の敵を薙ぎははらい冥府へと誘え!! 冥火旋風!!!」


「うぉぉぉぁぁッ身体凶化、武装強化!!」


桜の火と風の複合魔導がライガールの周囲で発動、だがライガールに当たる寸前で超人的反応で距離を取りそのまま桜へと肉薄。

だが桜は新たな魔導を詠唱。

隙だらけのその身体に獣王の拳が吸い込まれそうになるが桜の前で真っ向から向かい合うは秋人。


「やらせねぇよっ!!」


盾で拳を受けとめようとしてあまりの重さに、判断を変え受け流す。

態勢を崩れたところを長剣で斬りかかるがライガール籠手に阻まれ吹き飛ばすにとどまる。


「なかなかやるじゃねぇか」


楽しそうに嗤うライガール。

まるで戦争を楽しんでいるみたいだ。


こちらはそんな余裕なんてないのに。

これじゃ考えていたのと逆だ。


獣王の息子程度であれば数の差でごり推せる、と柊もブランも思っていた。

夏希がいなくても、そう考えていた。

真の敵は相手の参謀である「ホウ」だと、だから夏希はホウの方へ向かった。


多分心のどこかで、少し楽観的に考えていた。


今は白銀騎士団のメンバーと俺たちシキが入れ替わりながら攻撃をして、なんとか有利を保っている状態。

だがこちらのほうが損害も大きい。

使わないで済むなら使いたくなかったが。


まずはここを押し切ってみんなを守る!!

ならば。


「みんなここからは援護を頼む、前線は俺一人でやる」


独善的と言えるかもしれない。

だが文句は言わせない。

有無を言わせない柊の口調。


「柊?」


桜の声はもう届いていない。

仲間を守るために、圧倒的殺意をその身にまとい柊は前に出る。


「いくぞ?」


そうつぶやくと柊は目もくらむようなスピードでライガールへと肉薄そのまま剣を無造作に振るう。


「スイッチでも入ったか。雰囲気がなんか変わったな」


だがライガールはその斬撃をも避け、殴り返す。

が既にそこに柊はいない。


数瞬後にはライガールの背後に回り込み切り込む。


変幻自在の攻撃。

超速戦闘。

盗賊共を皆殺しにしたときと同じ。


先ほどまでは味方に合わせての攻撃だが、今は己のみによってライガールへと立ち向かう。

ヒットアンドアウェイ。

自信の得意分野。

斬撃を続けたかと思えば、距離を取りその間に魔導を短縮詠唱し攻撃を放つ。


「ストーンエッジ」


何の変哲もない礫が全方向よりライガールを襲う。


「ふんっ!!」


がその魔導をマナの放出だけですべて爆ぜさせる。

だが次の瞬間にはまた柊が肉薄。


「斬撃強化 風斬」


剣の表面に数十センチにわたり風の膜を張り、それはまるでかまいたちのようにすべてを斬り裂く刃へと化す……通常ならば。


だが斬撃はライガールの身体を肉を切り裂くだけ、一刀両断とはいかない。

致命傷にもなりはしない。


(鋼を斬ってるみたいだ)


だがこの斬撃は大きな意味を持った。

始めて、ようやく傷らしい傷ライガールに与えられた。


「やった、やったぞっ」

「行ける行けるぞ!!」

「ボーっとするな!!勇者殿を援護するんだ!! 絶えず魔導を撃ち続けろ!! 絶対勇者殿にはあてるなよ!!」


白銀騎士団の面々は魔導を放ち時にはライガールへの援護を出来ないようにライガールの部下たちをけん制。

柊が刻む数多の斬撃をライガールは避け、時には避けきれずダメージを受けだが逆に応戦し、反撃する。

その傷は両者ともに加速度的に増えていく。


ライガールの傷が増えるごとにイシュバルの士気は上がっていく。

だからと言って、ノーラの兵たちも士気が落ちている訳ではない。必死に戦うさまを見て何とか勝とうと一丸となってイシュバルを押し返す。


ライガールが一人で数多の負担を強いられている現状を、何とか減らすために。

死ぬ気で戦っている。


勇者パーティー筆頭とする兵たちとライガールを筆頭とするノーラの兵たち。

その戦いはより熾烈になっていき混沌へと化していく。


お久しぶりです。

長い間お待たせしてしまい申し訳ない。

また仕事の関係で異動となりバタついております。

何とか隙を見ながらやってますが、いっぱいいっぱいの状態で……。

書けるときに出すので気長にお待ちください。


評価やブクマしていただきありがとうございます。

気づいたら1600pt超えてて驚きました。

これも皆様のおかげです。

今後ともよろしくお願いいたします


Twitterやってますのでよろしければ、、、


https://twitter.com/KakeruMinato_


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ