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異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
3章 外遊~禁忌な二人は自重しない
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96話 無職は戦争の報せを知る

 

 扉の修理自体は大して時間がかからなかった。

 が、直した当の本人は釈然としない。


「……なんで俺が治したんだ?」


 そもそもあの扉を粉砕してやってきたのはムキムキの名前も知らない男。

 まぁ居留守したし、ぶっ飛ばしたのは俺だが、それにしても直させてからにすれば良かった。


 にしても建築系の職業が久々に役に立ったな。 土を掘るところから初めて何とか木造の家を建築するまでに至ったあの修行の時。

 あの時は気づいたら大工の職業を得ていたんだよなぁ。


「さてと……どうせならこの家改造するか」


 なんか掘立て小屋に住むっての言うのもあれだし内装とかも。

 よし並列思考で結界の作成をしながら家をちゃんと作り直すか。

 うでがなるなぁ!!



 ※


 コンコンコン


「…………zzz」


 コンコンコン


「…………んぐぁ」


 コンコンコンコンコンコン


「あーはい」


 あまりのノックにイラついて思わず出てしまった、、


 なんだよこっちは連日連夜の自宅作成で寝てないんだよ!

 ったく!


 眠い眼を擦りながら、新築した扉を開ける。

 そして直ぐに後悔する。


「よう!」


 そこには筋骨隆々とした獅子の男がいた。

 この前も見た男。

 家を新築させなければいけないきっかけになったやつ。


 もしここにゼニスがいれば、玲夜の凝り性のせいで新築させたんでしょ、とでも突っ込んでいるだろうが生憎とここにはいない。


「…………」

「そう顰め面をするなぁ!それはそれとしてこの間はいきなり悪かった!」


 ガバッとでも大袈裟な効果音が出そうなほど豪快に頭を下げてくる。


「お、おう」

「いやーこの間は昂りすぎてなノックしても出てこないから力が入って扉を粉砕してしまった」


 ガははは、と豪快に笑う男。

 常にハイテンションな感じだな、、


「あーそうだ!俺の名前を言ってなかったな、おれはラーガイルだ!」

「獣王の息子、だよな?」

「ああそうだぜ!!」


 親子ってこんなにも似るもんか?

 ってぐらい似てるな、縦横をより天真爛漫にして腹芸ができなさそうな感じだな。

 だから一応護衛のものも着いているんだな、陰ながらではあるが、、


「それでどうしたんだ?要件があってきたんだろ?」


「ああ、俺と戦って欲しい!!」


「…………」


 この前あっさりと倒された上でそれを言うか。

 俺が口を開こうとしたそれよりも先にラーガイルが言葉を繋ぐ。


「ってのは冗談だ」


 ニカッとまた快活な笑み。


「こないだの一瞬で分かった。俺じゃあまだあんたと戦うには実力不足だ、勝負にすらならねぇ」


「…………おう」


「ああ!」


「…………え?」


 なんて返答すればいいの?

 わかった!がんばれよ!

 とか?


 え?彼は俺に何を求めているの?


 え?


 え?


 ラーガイル君の表情を見てもずっとニコニコしてるし。


 え?


「……」

「……」


 無言の時間が続く。

 シンプルに気まずい。


「はぁ、ライガール様。玲夜さんがお困りになってらっしゃいますよ」


 場の雰囲気を見かねたのか、後ろのお付の2人が出てきた。


 1人は梟の獣人で両脇に細剣を掲げてる。

 ライガールをいさめたのもこの男の人。


 もう1人は牛の獣人か?

 鼻にピアスがついている女性。

 梟の獣人よりも背は低めだが、背中に担いだ斧は歴戦のものだろう。


 そしてこの2人。

 見た目も厳ついがそれよりも、


(……かなり強い、獣王のよりは弱いけど今のライガールじゃ太刀打ちも出来ないだろうな)


「それで用事は?」


「うむ!」


「わたくしからおつたえさせていただきますね。わたくしはホウと申します。こちらはミュウ。 どうやらイシュバルに動きがあったようです。ここ1、2週間の間には戦争が開戦になりそうですね」


「……ほぅ」

 

 やっとか。


「……嬉しそうですね」


 そんな顔出てたか?

 まあ因縁の相手だしなぁ。


「別に?」


 まあ嘘だけど。


「……そうですか。今回はその事をお伝えに来ました、あ、あと先日はライガール様にご教授いただきありがとうございました。しかもただ昏倒しただけにしていただいて」


 うん、お礼言われてるはずなのに棘を感じるな。


「ちゃんと教育してください?見てるだけじゃなくてね?」


「ご忠告痛み入ります。 また戦争が終わったら私もお手合わせいただきたいですね」

 

「機会があれば」


「……まあ戦争でもよろしくな!」


 パンパンと肩を叩いてくるライガール。

 ほんとにこの男、パーソナルスペース近いな、おっさん怖いよもう。


「もう1人は居ないのか?」


 ゼニスのことか。

 あいつは今サーラのしごきをしてるからな。

 でもわざわざ結界のこと言う必要も無いし。


「今は外でてる」

「そうか、なら今度でいいや〜。んじゃまた近いうちに。準備して」


 手をヒラヒラとしながら、ライガールは帰っていく。


「嵐のような男だったな」


 でもそうか。

 やっと戦争か。

 

「さぁ蹂躙の時間を始めよう」


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