11話 無職は追放される
本日1話目です。
午後、時間通り王様のもとへとやって来た。
もちろん通訳してくれるためローリーも一緒だ。
「^%$&^%^&**((*&*&%$$##q!〜!@#$%^&*(*&^%$#$%イシュバル(**()__+_)(*&^&*()_)(*&^%$%^&^%$#@@#$%_)受け取れ」
『今後我が国、【イシュバル】は貴殿が勇者パーティーと一緒に召喚されたということを認めない。 つまりお主は勇者パーティーではないということだ。 彼らとは別行動をしてもらう。 しかしこのまま放り出すというのもあまりにも可哀想だという王のご慈悲もあった、だからこれを受け取れ』
宰相の言葉をローリーが訳して教えてくれる。 言語を習ったとはいっても、ローリーのように1週間かからずにさっと覚えられるわけではない。 改めてローリーのすごさを思い知った。 俺は一週間かけてようやく、自分の名前と情報を書いて言えるくらいだ。
てか今唐突にすごいこと言われてるよな?
宰相が近くの兵士に合図するとその兵士が俺の前までやって来て皮袋を一つ置く。 たぶん手切金みたいなものが入っているんだろう。
「%$#$%^#^%^$%$&&^持って*&^&^用意する。」
『喜べ、金貨100枚入っている,それを持っていくがよい。 あとこちらで家も用意してやる。 お前みたいな無職の無能にこれだけの待遇を約束してるのだ、王様に感謝せよ』
喜べとは言われてもまず金貨100枚がどれぐらいすごいのか分からない。 ローリーの方を向くとこそっと教えてくれる。
「金貨一枚が日本円で言う百万円ぐらいだよ」
え?! てことは一億じゃん! すげぇ。 だけどまぁ、あまりいい感情はしないけど。
「&^^&^%$#()(_)()_)_^$#@!+_)(*&!@!@#$%^&*()_)()_(*&^%$#@」
ローリーが何かを言っている、何をいってるのかは分からないが……怒っている感じなのは分かる。 それに宰相がすました顔で応じる。
そんな応酬が何回か続き、ローリーがこちらを振り向く。
その顔はすごい悔しげだ、どうした?
「ごめんよ、玲夜。 王都からの……その移籍はもうどうにもできないみたい。 とりあえず金貨は500枚にしてもらったけど……本当にごめん」
なんかいつのまにか5倍になってるぅぅぅ。
5、5億?!
や、やややばい……言葉にならん
てか気を使って移籍という言葉に直しているあたりローリーは優しいよな。
「いや、むしろありがとう、ローリー。 俺はいいよ。このままこの城にいてもしょうがないと思っていたんだ。 穀潰しにしかなっていなかったし」
「でも、元の世界にも戻れないのにそれじゃあ……」
「いいんだ、宰相の話を聞こう」
話を要約すると、この国の端っこの方に移り住んでもらう。 そこに家なども用意してあり、そこを俺は使い、護衛の方も用意される。 ただその条件として召喚された勇者パーティーは4人であり、召喚されたのは4人とすることを認めて一切何も言わないこと。 それだけだそうだ。
ちなみにそこの場所まで送っていってくれるらしい。
別に俺もイラつかないわけではない。 てかめちゃくちゃむかついている。 勝手に呼んでおいてとは思うし、話もできないのにどうすればいいねんとかは思う。 しかし自分に今は何も出来ないことも同時に分かっている。
だから……新しい街で内政チートでもして驚かせればいい。
「しかし本当に怒涛の展開だな……」
俺は部屋に戻って荷物を整理しながら考えていた。 ぶっちゃけ整理する荷物なんてほとんどないのだが他にすることもなかった。
「でもローリーとは勉強は当分できないな、ローリーは俺のところまで来てくれるって言ってたけど」
あの後、ローリーはすぐに王城を出発した。 俺が出立するのが1週間後でそれに間に合わせたいらしい。
なんていい男なんだ、惚れちゃいそうだ。
冗談は置いておいて、この1週間何しようかなぁ、やっぱローリーに習ったことの復習とかか?
そんなことを考えながらベッドに入ろうとしていた時だった。
トントンと部屋のドアをノックする音が聞こえる。
ん? こんな時間に誰だ? もう深夜の0時だぞ? さっきそれを知らせる鐘もなっていたはずだが……。
「い、イエス?」
緊張しすぎてなぜか英語で答えてしまった。
「^%^&*&^%$#$%$#@#&*()_)_)(*%$#@」
何かを言っているのは分かるが、やっぱり何を言っているのか意味はわからない、マジで。 とりあえず切羽詰まった感じだけは伝わってきたからドアを開けてみるか。
恐る恐る鍵を外し扉をゆっくりと開く。
扉を開けたそこには身長190センチはありそうな全身武装した青鎧の男が立っていた。 そしてフルフェイスの顔の部分だけが露わになっておりなぜかニッコリと笑っている。
それがどうにも喜色悪い。 不気味というか、なんとうか……。
全身が粟毛立つのを感じた。
直観に従って急いでドアを閉めようとするが、足を間に挟まれて閉めきれない。 逆にドアを思い切り押し返され扉の前で尻餅をついてしまう。 その隙にぞろぞろと他の青鎧を着た兵士たちが入ってくる。
一体なんなんだ、こいつらは。 ここは仮にも王が住んでいる城だぞ!?
「…………かはっ?!」
脇腹に思い切り蹴りを入れられ吹き飛ばされた。
痛すぎて声にならない。 痛い、めちゃくちゃ痛い。
更に蹴りを3発入れられて視界が暗転した。
「おい、4発で意識を失ったぞこいつ」
「早すぎだろ、本当にこいつ勇者パーティーか?」
失神してもなお、鎧の騎士たちは月城玲夜を蹴り続ける。
「ばっかちげーよ。 勇者の素質が無くてつまはじきにされたやつだそいつは。 だが、こいつのおかげで勇者にボコられた俺たちは憂さ晴らしが少しはできたがな。 こいつが弱すぎて拍子抜けしちまったが」
「おい、それぐらいにしておけ。そいつは雑魚なんだ、それ以上やったら死んじまうぞ?」
部屋には爆笑が起き、ついで誰がこの男を運ぶかという話になっている。
誰も男の身体なんて運びたくないらしい。
結果、一番新人の俺の部下が玲夜の身体を嫌そうにしながら運んで部屋を出て行く。
「にしてもこれが勇者パーティーに入れなかった男か……。 これではお荷物にしかならないと判断されたのも納得だ、あまりにも弱すぎる……がそれでも遊び用はいくらでもあるか」
口元が思わず吊り上がってしまう、だが直ぐに笑みを消し元の表情へともどす。
「隊長、そろそろ行きましょう」
「ああ、そうだな。 ここの荷物も運んでおけ。 トランク一個程度だしな。 そうだ、その小袋はちゃんと例の人に渡しておけよ」
「これが金貨500枚ですか? 目が飛び出るような額ですなぁ」
「やめろ」
金貨を取ろうとしていた部下の手を止める。
「1枚でも取ってみろ、例の人は執拗に追いかけるぞ。 貴族はただでさえ金にがめついんだ。 同じようなことをして例の人がどんな行動を使用人に取ったかは知っているだろ?」
「一家郎党、馬で1日中引きずり回し、そのあとは魔物に食わせたんでしたね……」
「ああ、しかも意識を失わないような薬を使ってな、生きながら食べられる、そんな感覚は味わいたくないだろ?」
「はい……」
「じゃあ、手を付けないことだ。 ああ、それと例の手紙、ちゃんと置いておけよ?」
「了解です!」
あぁ、楽しみだなぁ、さっさと街の外に出てサンドバッグにしたいぜ。
面白いと思っていただけたら評価の方してもらえると嬉しいです。
していただけると作者のモチベに繋がります!!
下のボタンをぽちっと……!
感想も頂けると嬉しかったりします!。