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異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
3章 外遊~禁忌な二人は自重しない
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94話 魔女と回復術師の特訓

 

 彼の特訓が始まってからどのくらいたったかは分からない、多分、年は超えたと思う。

 でも現実では2、3日らしい。

 普通に意味わからない。なんなのだろうこの2人。


 でもそれも今日で訓練が終わる。


「…………やっと、やっとっあの悪魔のような訓練が終了するっ!!」


 本当にきつかった。

 意味が分からないくらいにきつかった。


 私、回復術師なのに騎士団かってぐらいに走りこんだ気がする。

 毎日30~50キロは軽く走っていた、しかもジョギングとかじゃなくて結構な全速力で。


(でもそりゃそうよ、虫に追いかけられたら死に物狂いにもなるわね~)


 最終的には虫だけじゃなく、鳥とか地中型モンスターとか多種多様なモンスターを召喚してきたあの男。

 そのくせ自分は空を飛ぶという鬼畜。

 しかもいやらしいことに必死に走る私の姿を1メートル上空から笑顔で流し見ていること。

 しかも空の飛び方が横向けに寝っ転がるという絶妙に無駄な魔法技術の高さを見せてくれた。


 本当に殺意しか湧かなかった。


 しかも不満はまだまだあって、逃げきれなくなって戦闘になった際に姿勢とか、戦いとかこまめに注意してくれるのはありがたいのだけど、その手癖がいちいちいやらしい。


 弱腰になっている、とか胸が出すぎ、とか。

 言われていることは分かるし直すと動きに無駄がなくなったりする。


 理解は出来るんだけど、でもそのたびに木の枝とかでつんつんつついてくるのはいかがなものか。

 しかもその最中にやけて、私見られているのが分かると、はっとして真顔になるからあれは絶対確信犯だと思う。


 と言うことで、体力とか近接戦の技術は少しは身についてきたけど、ストレスがたまった2週間だった。


 でもあれよね、ほんのちょっと前は私が彼に特訓をさせていたはずなのに気づいたら私が特訓(セクハラ)されてる。


 うん、またデコピンされて吹き飛べばいいのに。

 あの時、疲れてたから全身の打撲を治さなかったのけどあの時の判断は間違いなく正解だったわね。



 ※



 ということで次はゼニスさんが特訓をつけてくれるらしい。


 今まではこの特殊な時間軸や空間などをつくってくれていた。

 それを今度は彼ツキシロレイヤがやるらしい。


 ちなみに最初ゼニスさんにあなたがつくりなさいって言われた時には死ぬほど驚いていた。


「うぇっ?! 俺やったことないっていうか出来ないは?死ぬ気でやれ? いやいやちょまじ? うわぁぁぁぁ」


 って言いながらもなんとか形にしていた。

 なんで形になっちゃうかな~、意味が分からない。 しかも私との修行中に。

 何でも並列思考の実戦らしい。


 だがまださすがにゼニスさんみたいには出来ないらしく、グラウンド1個分とのこと。

 ゼニスさんは不満そうだったけど、それでも十分すごいと思う。 逆にゼニスさんが意味わからないだけきっと。

 まぁ彼には言わないけど絶対。

 絶対あのセクハラ親父調子に乗るから。

 17歳の青年のはずなのに、っていや魔法使いのジョブを持っているってことは年齢は30以上?

 うん?どういうこと?


「……いい?」


 怜悧な美貌をしたゼニスさんが私を見つめている。

 その表情は本当に読めない。


 この数日間でツキシロレイヤよりは、比較的常識人であることが判明している。

 基本的に二人とも実力も常識も人外レベルだからあまり参考にはならないけども。


「私からは魔法の特訓をメインにする予定よ、まぁ特訓と言ってもあなたが特に何かする必要はない」


 何もする必要はない?

 ふっとゼニスさんが表情を崩し笑顔を向けてくる。


 あっ、いやな予感。

 この顔ツキシロレイヤが鬼畜なことを私にしてくるときと同じ顔をしている。

 でも、まさか。

 比較的常識人であるはずのゼニスさんが鬼畜なことなんてまさか、ね?


「言い方を間違えたわ。 魔法は懇切丁寧に説明して覚えるものじゃなくて自分で身に付けるもの。 だからこれからは魔法戦主体の訓練ね。 あぁもちろん玲夜に習った体術を使ってもいいわよ?」


 まぁ意味ないと思うけど。


 と最後に付け加えるゼニス。

 普通にむかつく。

 が、教えを乞う立場。

 まだ聞きたいことはある。

 我慢だ我慢。


 彼の時も我慢してた、私我慢よ~……はぁ。


「……それで何もする必要ないっていうのは?」


「あぁそれは言葉の綾」


「言葉の綾?」


 笑顔なゼニスさんに私は真顔で聞き返してしまう。


「ええ。 だってどうせ何もできないもの。 あなたが戦う気になろうとなかろうと。 どうせ私の魔法の練習だ……魔法をその身で勉強することには変わりないから。 あなたの関係ないから」


 ゼニスの舌鋒はまだ終わらない。

 止めとばかりにーー


「ーーだってあなたとびきり弱いもの?」


 今日1番の笑みだった。


 プチン。


 私の中で何かが切れた音がした。


「……そ、そ~」


 フーン。

 あっそう。

 そう言う感じ~?


「じゃあ全力で行かせてもらうね~」


 思い出した。

 彼の時もそうだった。

 途中のどこかで切れて、走りながら、虫を蹴散らしながら、飛んでいる彼に何とか攻撃を当てようとしてたんだった。


 私の余りにも血走る目に彼も途中からちょっと引いてた気がする。

 でも今の相手はゼニス。


「いつでもいいわよ?」


 余裕の表情のゼニス。


「あまり舐めないでね~」


 私とゼニスさんの特訓(戦い)が始まった。



いつもお読みいただきありがとうございます


そのままブクマ、応援メッセージ、感想など頂けると嬉しいです!!


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誤字脱字報告いつもありがとうございます、めちゃくちゃ助かってます!!


ツイッターやってます。更新情報等乗せますので皆さんしゃべりかけて来てもらえたら嬉しいです。(´;ω;`)


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