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異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
3章 外遊~禁忌な二人は自重しない
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90話 無職と魔女への招待状②


「…………獣王からの招待状?」


「はいそうです!」


……は?


「なんで? 何の? いつ? どこで? どのようにして? 」


「ちょちょちょちょーっと待ってください!! は、早いです!! じゅ、順番に説明しますから落ち着いて!!」


「……簡潔に頼む!」


「えっそれは理不尽じゃないですか!!」


「………」


「もうほんと自由人ですよねお二人は、お二人、うん? 3人?」


ギルドの受付嬢があらぬものを見たかのようにサーラを見る。

それに対してサーラが笑顔で手を振り返す。


「彼女は?」


「彼女とは?」


「え?」


「え?」


「……」


「……」


受付嬢は目をごしごしして何回も見直してる。


「……はぁ小さいことは気にするなよ。 それよりも肝心の話をせい」


「はぐらかされた気がしますっ!! でもまぁいいです。 私の興味よりも、招待状の話の方がなかなかに緊急で重要ですから」


「…………」


「いきなり黙られるとそれはそれで違和感がぬぐえませんが。 とりあえず話をさせてもらいますね。 簡単に言わせると獣王様が、こないだレイヤさんたちが捕獲してくださったイシュバルの人間。 ()()の計画というかまぁイシュバルが大本でしょうが、そこはおいといて便宜上ランダにしておきましょうか、彼はここを足掛かりとしてこの国にあの毒を蔓延させようとしていたみたいです」


「イシュバルは過去に戦争で負けている。 だから直接勝てないなら弱らせる、まぁ戦法としては有りなのかものな」



心情的には全く納得できないが。



「さらにその状態でモンスターの活性化、それによるモンスターとの同化。 その試験的な意味合いもあったようです」


なんかいきなりきな臭くなってきたな。

だがそうなるとだ……


「仮にもしそれが本気だとしてあの国に、それこそランダとはいっても仮にも勇者の教育係だった男を使い捨てに、ある意味イシュバルのトップクラスにいる者を実験台にさせる余裕があるのかしら、それにそもそもそんな技術があったとも思えない」


そうなのだ。そもそもランダだけでこんな大それたことをしでかかせるとは思えない、イシュバルにしてもそうだ。 そんな手段をとれるならわざわざだけでこんな大それたことをしでかすとは到底思えない。


「私たちも、それに獣王様もそう考えておいでのようです。 ですがランダをどれだけ絞っても出てこないので多分知らないのでしょう。 そのため黒幕については謎のままです。 唯一分かっていることはかなり大きな組織、もしくは国が関連しているということでしょう。 今回はその予兆を事前にをつかめて失敗させただけでも上々と考えているのでしょう、そしてそれはギルドも同じ考えです」


「……警戒は確かにすべきだが、それ以上は今のところは無理ってことか」


確かに現状ではこれ以上は無理か。


「んで? それの感謝、みたいな感じか?」


「その意味あいだと思います」


なるほど。


「……うん分かった! 俺ちょっと用事を思い出したなぁ……、でもその代わりにゼニスが行くから!!」

「……はぁ、分かったわ」


お、まじ?

やった、んじゃ明日からテキトーに山にでも籠ってサボってよ。


俺がウキウキワクワクと明日からの計画を練っていると、なぜかゼニスが優し気な笑みを浮かべている。


あ~、俺のゴーストがささやいている。


ここは逃げろ、と。

ここは魔法でも使って最速で逃げるしかないな。

身体強化よりも更にスピードだけに全振りしたもの。


瞬天は速度こそ上がるが、それを使い続けると身体に限界が来てしまう。

速度と身体をバランスよく強化しないと身体がスピードに追い付かなくなってダメージを負う。

故に、普段は身体強化しか使わないが、一瞬だけなら話は違う。

1コンマを争うような今の状況なら!!


「ふぅ、 瞬天ンンンぅぅ?」


「あなたなら逃げると思ったの、だから凍らしてみちゃった?」


見れば俺の足元だけ凍っている。

俺が動いた瞬間に発動するタイプってわけか。


「無駄に高度な技術を使いやがって」


「あなたこそ、今まで使ってないような技を、なんでこんなどうでもいい事に使うのよ」


「めんどくさそうだからだよ!!」


はぁ、とゼニスは軽くため息をつくと受付嬢の方へと向きなおる


「気にしないでいいわ、ちゃんと二人で行くから」


「……は、はぁ。 説得していただけたようで何よりです。 いつもギルドに来られるのはレイヤさんでしたので正直今回の件は意外でした。 本当にありがとうございます!!」


深々と頭を下げる受付嬢。


「いいのよ、何かあったら言って?」

「はい!!」



なぜゼニスを見る目が救世主を見るような扱いなんだ、解せぬ。


「あ、その招待された日っていつ?」


まぁ急いでたってことは、3日とかそのへんだろうな。

逆に言えばあと3日は猶予がある。


それまでに何とか……


「明日です!!」


「「え?」」


あす?


……あす?


……………あすねぇ


明日ってあまりにも早すぎません事!?


「それでは明日の朝にお迎えに上がりますね!! では!!」


有無を言わせないうちに受付嬢はドアを出ていった。

残された俺たちはと言うと……


「……………………」


無言。


でも多分思ってることは同じだ。


「さすがにいくら何でも明日は早すぎん?」


捕まえてから1週間しか経っていないのに、招待状が明日。

普通ならもう少し猶予があってもよさそうなものだ。


「なぁゼニス?」


「めんどくさいのは分かってるわよ、でもこの国にある程度いる以上しょうがないでしょ? まぁ理不尽だったら最悪やればいいわけだし」


「まぁその方針で行くか」


さらっといざという時はことを構える発言をする2人。

だがこの場にはもう一人いる訳であって。


(なんでこの人たち、さらっと戦争も視野に入れる的なこと考えているのよ!!

!!と言うかさっきの無駄に洗練された魔法の極みみたいな応酬はなに!! 受付嬢の子も流してたけど!!)


そこまで考えてサーラは気づいてしまった。

この2人がする特訓。

確かあの時優し気に二人が珍しく同調して微笑んでいたことに。


「……だ、大丈夫かしら~?」


人知れず不安に苛まれるサーラ。

そしてそう遠くない内にその不安は現実になるのだった。

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