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異世界よ、これが無職だ!〜災厄の魔女と始める異世界無双〜  作者: 湊カケル
3章 外遊~禁忌な二人は自重しない
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89話 無職と魔女の共同作業と招待状

本日2話目!

 

 ファナはサーラに連れられ戻ってきた。

 心なしか目元が赤いのはきっと気のせいじゃないんだろう、でもそれを察して黙っていてやるのが男ってものなんだろう。

 察せる俺、えらい!!

 空気読めるなぁ俺。


「……隠しなさい? 顔に出てるわよ?」


 ゼニスになんか言われるが

 はて、何のことやら。


「そのとぼけた顔が無性に腹立たしいわね、その顔のまま氷像にしてあげようかしら」


 手から冷気が放出され、空気まで凍り始めている。


「止めろ止めろ、お前ここの家を凍らせる気か」


「あら? 心配しないで、あなただけだから」


「……冷気を纏ってなかったら、女の子に言われてみたい台詞なんだけどな」


「あらじゃあ冥途の土産にでもして?」


 首をコテンと可愛らしく曲げながら永眠の眠りへの誘いをしてくるゼニスさん。


「はっ!俺をそう簡単にやれると思うなよ?」


「……あの、別に戦ってもらう分には全然いいんですけどここではやめてくださいね、絶・対・に」


「あぁファナお帰り、家の留守はちゃんとみといたぞ~」


「たった今お二人のコミュニケーションによって戦場となりそうでしたけどね」


「あはは」


「冗談だから大丈夫よ」


 嘘つけ、お前外なら間違いなくやってただろうが。


「……何か?」


「いやー別に?」


「へぇそう?」


 第2ラウンドと行こうか? あ?


「……ね~ファナぁ?」


「どうしました、サーラさん?」



「こ、この2人っていつもこうなの~?」


「今日はちょっと激しめですけどそうですね~基本的にはこんな感じですよ」


「そ、そうなの……」


 なんかちょっとサーラが引いた眼をしているが気のせいか、気のせいだろうな、うん。


「普段はこんなでも戦いになったらこの2人のコンビネーションはすごいですよ、口はやっぱり悪いですけど。 1度助けていただいた時もすごかった!!……気がします」


「どうして断定じゃないの~?」


「いえ、そのとき血にまみれた仮面の人、それは玲夜さんだったんですけど、が現れて、余りの驚きにお恥ずかしながら失神してしまったので」


「あー」


 となぜか深くうなずくサーラ。


「分かる~、私もこの間助けてもらったけど、正直蒼騎士より怖かった」


 おい犯されそうになるより怖いってどんだけ俺怖いんだよ、泣くぞ?


「……ふっ」


 はぁぁぁぁっ?


「はぁぁぁぁっ?」


 心の声が言葉にも現れた。


「なにか?」


 ゼニスの絶対零度の視線。

 そんな圧力に俺は屈しない!!


「隙あらば喧嘩しないでくださいもうっ!!」


 注意を集めるために、ファナがカンカンカンとお玉で鍋をたたいている。

 その行動に俺とゼニスは毒気を抜かれ、サーラは笑っていた。


「なんで笑うんですか!!」


「いや~いいお母さんになりそうだなと思ってさ、な?」


「そうね、元気でわんぱくな子供になりそうね」


「なんでこういう悪乗りする時だけ無駄に仲がいいんですかねほんと」


 そんなファナの姿は、お母さんの病状を知る前、家にいた時のような前と同じ、いやむしろ底抜けに明るい狐娘の姿だった。

 


 サーラのフォローすげぇ……。

 ま、まぁ俺でもできたけどね……??


 *


「そんでファナは大丈夫そうか?」


 俺、ゼニス、サーラはファナの自宅を後にして宿屋にそのまま帰ってきた。、


「大丈夫そうよ、あの子は見た目以上に強い子よ~。 だから今まで病気のお母さんと妹と一緒に暮らしてきたからかしらね? まぁそれゆえに頑張りすぎちゃうんでしょうけど」


 いつの間にか敬語から普通の言葉に戻ってる。 まぁこっちの方が気が楽だからいいんだけど。


「あいつは母親のためにわざわざ危険なところに薬を取り行くくらいだからな~」


「責任感が人一倍強いのよきっと」


 長女の責任ってやつか。


「……じゃあファナはとりあえずは大丈夫そうってことな? ファナの母親の方も当面は大丈夫そうか?」


「まだ当面保つとは思うけど……緩やかに衰弱していくでしょうね」


「……そうか、それで現状の魔法ではどうしようもないとなった訳な?」


「ええそうよ」


「だが、続きがあるんだろう?」


 ニヤリと玲夜が嗤う。

 その瞬間サーラの肌がブルりと触れる。


 (ナニコレ? 鳥肌? なんで?)


「……え、ええ。 魔法の実力が上がれば行けそうな気もしたのよ、回復魔術師としてはああいうしかなかったけども」


「じゃあこれからどうするんだ?」


「自分なりに魔法を学ぶことにするわ、今までは擬態のために見様見真似で魔術しか使ってなかったから」


「……それだと間に合わないだろ多分?」


「でも今やったらまず間違いなく失敗する、それは確信を持って言える。 だからぎりぎりまで成功する可能性を上げたいのよ」


「どうしてそこまでする? ファナと話したのは今日が始めてだろ?」


 俺の質問にサーラは呆れたように笑った。


「ファナのお母さんを治してほしいから私を助けたんじゃないのー? なら問答無用で治せっていうところじゃない?」


「……………………」


「……あなた変に律義なのね、初対面の時とは大違い。 もっと冷徹だと考えてたわ~、血の雨を降らせる人もいたし」


「みんな人のことを化け物かなんかだと勘違いしてるのか?」


 俺に対する評価を聞くと大体こうだが、もっと他にも……いや無理かギルドでもまぁまぁやらかしてたしな。


「……で結局理由はなんなんだ?」


「あ~、まぁ理由はもちろん色々あるわよ。 あなたに助けられたから、彼女の親を助けないと殺されそうとか、私の今後がかかっているからとか理由を上げたらきりないけどーーー」


「ーーーやっぱリ困ってたら助けてあげたいじゃない? もう目の前で助けを求められて助けられないのは嫌なのよ、それも自分の力不足で泣いてる人を見るのは」


 へぇ、いい眼をするじゃないか、普段はダルそうな感じだしてるのにな。


「サーラの熱い思いも聞けたしーー」


「ーーちょっと熱い思いってやめてくれない~? 恥ずかしいんだから~」



「んじゃ、そんな猛る思いをお持ちのサーラさんに朗報です」


「何その満面の笑み、背筋が凍るんだけど。 待って待って本当に待ってまーー」


「ーー待たない、俺らはさっきの言葉にいたく感動した。 故に一緒に特訓しよう、なーに軽く数百年で済むさきっと」


「は? は? 緒何言ってんじゃごしょうたーー」


 俺とゼニスがサーラを特訓部屋に落とそうとしたその瞬間。


 ーーコンコンコン


 ドアをノックした音が聞こえた。


「……それではご招待しまーす」


「いやその前に対応で!!」


「いや一分一秒も無駄にできない、一刻も早く君を訓練に行かせてあげたい」


 ――――コンコンコン


「今地獄ッて言わなかった? 言ったわねー? ひぃぃぃ」


「どんなことしても直してあげたーーー」


 ――――コンコンコンコンコンコン


「あぁもうなんだよッ!! うるさいなぁ」


 扉を乱雑に開け放つとそこにいたのはギルドの受付嬢。

 良かった、めんどいとは思っても仮面付けておいて


「……お、お愉しみのところ申し訳ありません!」


「そう思うなら明日とかにしてほしかったが? あとお愉しみではあった」


 違うでしょ~?って声が聞こえてきたが無視だ無視。


「まぁ君に嫌味を言ってもしょうがないな、今度あいつにちょっと名前忘れたがに文句言ってやる」


「まぁそこはギルド長に任させていただきます。 それで緊急の用事があってお伺いしました」


「だろうな、ほんとは1週間ほど前から窺ってはいたんですがいらっしゃらなくて……」


 あぁイシュバルに行ってたしなぁ。

 いるわけないよな。


「で? そのようってのは?」


「はい、書状はこちらにございますが、内容はシンプルです。」


「ほぉ?」


 書状……ねぇ。 果てしなく嫌な予感がする。 

 なんでだろう。


「ちょちょちょっとまーー」


「獣王様からのお呼び出しです」


 oh……果てしなくめんどくさそうな案件来たぞ?








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