6話 冒険者達の日常
???「おにいちゃん。頑張ってね。辛いこととか色々あると思うけど、おにいちゃんならできるよ!私はこの街で頑張るから!」
クーパー「こっちも頑張るよ。そしてそっちも頑張ってね!いつかこの街にも冒険の途中に寄ってくるから。その時はおまえの美味しい料理をいただくよ。だから、それまで頑張れ!」
チャークを照らす太陽は既に高く昇っている。
「ふぁー、よく寝たー、あれ?みんなまだ起きてないんだ」
もう8時過ぎだと言うのに、マリスしか起きていない。
「もうークーパー起こしちゃおー」
そう言ってマリスはクーパーのベットに近づいた。
昨日と同じように杖で起こすつもりだ。
「ほらほらークーパー!起きて〜!」
ゴンッ!
明らかに頭を狙った一撃はクーパーを起こすのに十分すぎた。
「いった!もう、なんだよマリス!普通に起こしてくれればいいだろ〜!」
俺はそうマリスに言った。
「クーパー!これがマリスの普通なの!それにもう8時過ぎてるもん!」
マリスも反論している。
「にしても、この部屋何時までいられるのかな、 ちょっと聞いてくるぞ」
俺はそう言って部屋の外に出かけた。
マリスはモハレ達を起こそうとしたがあまりにも寝足りなそうな感じだったので起こさないようにした。そして、昨日部屋に配布された食材で朝ごはんを作ることにした。
マリスは軽やかなリズムで食材を刻む。いつもご飯はリザが作っているが、決してマリスが下手なわけではない。得意分野が分かれているのだ。リザは肉や魚料理が得意。マリスは野菜料理が得意なのだ。というわけでマリスが作る食事は色がグリーンに染まる。
ガチャ、ドアが開く。クーパーが帰ってきたようだ。
「マリス〜、この部屋は12時までに出ればいいらしいぞ」
「はーい〜ねぇねぇ、ちょっと手伝って〜」
マリスはそうクーパーを呼ぶ。
「ん?何を手伝えばいいんだ?」
クーパーはそう言いマリスの元へ向かう。
「あっ、ここで手伝うんじゃなくてちょっと買い物行ってきて欲しいの」
「俺はどこに買い物に行けばいいんだ?」
そう言ってクーパーは小さめのカバンを持ち、身支度を始めた。
「えーと、魚を二尾買ってきて欲しいの」
「オッケーじゃあ行ってくる」
そう言ってクーパーは駆け出していった。そんなクーパーのお腹が鳴ったのをマリスは聞き逃さなかった。
「じゃーこっちも頑張ろーっと!」
細長いパンを真ん中に切り込みを入れてソーセージとレタスを挟んで完成!ホットドッグ!
平たいパンに横に切り込みを入れて中にトマトやレタス、炒めたひき肉を入れて完成!ピタパン!
そしてレタスやトマトやキュウリなどを詰め込んだ新鮮なサラダ!
「ふー疲れた〜。あとはクーパーが魚を買ってきてそれをリザにさばいてもらったら完成だね〜。クーパーまだかなぁ?」
それから少しして、モハレが起きてきた。
「んぁーよく寝たー!おっ、今日はマリスが朝ごはん作ってくれるのか〜」
「そうだよ!マリスが朝ごはん作ってあげるの!後はクーパーが魚を買って帰ってリザにさばいてもらうだけ!」
「ん?リザにさばいてもらうのか?俺もさばけるのに」
モハレはそう言ってマリスを見た。マリスの目は輝いている!
「そうなの!じゃあモハレにさばいてもらおっと!」
ちょうどその時、クーパーが帰ってきた。
「ただいま〜新鮮なやつ買ってきたぞー!おっ、モハレも起きたか」
「よう!クーパー!そのまま俺に魚を貸せぇい!」
そう言ってモハレはクーパーから魚を預かる。
「よーし、この魚なら余裕だぜ!待ってろ〜マリス!すぐ終わらせる!」
「だ、大丈夫?モハレ?なんか逆に心配になってきた」
「俺を信じろ!」
「わかったよー」
そう言ってマリスは最後の盛り付けを始めた。
「マリス〜、なんの料理を作るんだ?」
モハレが聞いてきた。
「えーと、ムニエルだけど、まさか作ってくれるの!?」
「そうさ!そのまさかだ!ムニエルは簡単だ!」
そう言ってモハレは料理をしはじめた。
モハレの料理は特に失敗もなく進んだ。ただ一度だけモハレが「やべっ!」と叫んだのは何かがあったのかもしれないんだがそこは気にしないでおこう。
「ふわわわぁ、みなさんおはようございます」
リザが眠そうに起きてきた。
「おはよう〜リザ。今日の朝ごはんはマリスとモハレで作ったよー」
マリスがそう答える。
「あっ!すみません!私が作らなくてはいけないのに」
「いいのいいの!俺もたまには料理するのもいいからなあ」
モハレがキッチンでそう答える。
「大丈夫だって、俺たちでも料理は作れるからさ、安心しな!」
モハレはそう言って盛り付けを始めた。
「みなさん、すみませんね。じゃあお私はお茶を入れますね」
そう言ってリザはお茶を入れ始めた。
「よーし!完成だ!」
マリスとモハレが作った料理が食卓に並ぶ。
ホットドッグ、ピタパン、ムニエル、サラダ、どれも美味しそうだ。
「「「「いただきまーす!!!」」」」
みんなで一斉に料理を食べる。
ホットドッグのジューシーなソーセージは新鮮なレタスと相性抜群!
ピタパンも、中からアッツアツの肉がゴロゴロ出 てくる!
サラダも新鮮でみずみずしくて美味しい!
モハレの作ったムニエルも普段リザが作る料理と同じくらい美味しい!
食べながら会話が進む。
「モハレさん、料理作れたんですね〜」
「そう、それ!マリスも驚いた!」
「いやいや、俺が作れるのは魚だけさ。俺の故郷のパーグは漁師の村だからよ、魚はいつも見てるからさ」
「いーなー。マリスはイーギル出身だからなぁ。野菜をいっぱい食べてきたから野菜料理しか作れないのかも…」
マリスは少ししょげてる。
「俺はな〜、オーランドは貿易で栄えてたからなぁ、色んな物食べてたな〜」
「オーランドはパーグからも魚を多く輸入してたもんな。そういえば、うちの親もオーランドに出荷したこともあったな」
モハレがそう呟く。
「けど、みんなで作ればバランスの良いものが作れますね!」
リザが明るく問いかける。
それからもみんなで仲良く食べた。そして時間ギリギリで部屋を出た。
そして、チャリザド八世に謁見に行った。
「ほう、そなたたちは街を出て戦いの経験を積むのですか。ならこの街の西にあるところに行ってみなさい。そこはダーデンからの道よりは強いモンスターがいますからね。まぁ街の近くなら大して強くはないでしょうが。ともあれ、そなたたちには軍資金を与えましょう。衛兵ども、このもの達に軍資金を与えよ」
チャリザド八世は衛兵にそう命じる。
クーパーは衛兵から軍資金として、280ゴールド貰った。
「うむ、そなたたちの旅が安全であるよう、私もここから祈っているぞ。そして約束通り魔王の元へ行った暁には伝説の盾を与えよう。さらばだ、勇気ある冒険者達よ!」
チャリザド八世はそう締めくくった。
そして俺達は街で買い物を始めた。
「今回は防具を買った方がいいな」
「そうだな、クーパー。特にお前はよ!」
俺はモハレに釘を刺される。
「うげ!」
クーパーは少ししょげた。
「ねえ、マリスは何買えばいい〜?」
「うーんマリスさんは杖でも買ったらいいんじゃないんでしょうか」
「わかった!じゃあリザ一緒に行こ〜!」
そう言ってマリスはリザの手を掴んで武器屋の方に向かった。
「じゃあ俺達は2人で回るか」
そうして俺達は防具屋に向かった。
「いらっしゃーい。うちの防具はいいぞー」
店のおじさんがそう声をかけてくる。
「えーと、この旅人の服よりも丈夫な服が欲しいんですが〜」
俺はそうおじさんに言う。
「ふーん。お前さんの職業は?」
「勇者です」
「勇者!?そんなもん聞いたことがない!」
おじさんは驚いている。
「んま、で、勇者とやらは重装防具や、軽装防具は身につけられるのかい?」
「えーと、一般防具だけですね」
「一般防具だけか〜。なら、うちにある中で1番いいのはこのくさびかたびらだねー。これなら軽いからお前さんでも着れると思うぞ。どうだ?買うか?」
「じゃあ、それを買います」
「よーし、50ゴールドだ。今着替えてくんならそこの部屋を使っていいぞ」
そう言っておじさんは俺に部屋を貸してくれた。
「よーし、で、隣の戦士さんは何がお望みかね?」
おじさんはモハレに聞いた。
「あっ、俺?俺は新しい鎧欲しいんだが」
「鎧か〜。うーん、その盾は鉄の盾か、お前さん達はこの先どこに行くんだい?」
「えっと、今日明日はこの近くで戦いの経験を積んで、それから先はルージュタウンに向かうつもりです」
「ルージュタウンか。なら鉄の盾だけじゃ、頼りないな。これなんかどうだ?」
そう言っておじさんは奥の防具たてにかけてあったきらめく鎧を取り出した。
「これは炎の鎧だ。炎の力を纏っている。ルージュタウンまでのモンスターは火属性の攻撃を多く使う。そこでこの鎧を装備すればダメージを軽減できるぞ!」
「いいじゃないか、モハレ!それにしたらどうだ?」
ちょうどクーパーがくさびかたびらに着替え終わって、部屋から出てきた。
「よし、これにするぜ!」
「えーとこれは62ゴールドだぞ」
「俺も着替えてきていいですか?」
「おう、いいぞ、さっきの勇者さんの部屋を使いな」
そう言ってモハレは部屋に向かっていった。
モハレが着替え終わった後、俺たちは武器屋に向かった。
「いらっしゃっい、何が欲しいんだい?」
「俺は剣が欲しいな」
モハレが言った。
「剣ならこっちの棚にあるぞ〜。で、お隣の方は何が欲しいんだい?」
「俺は盾が欲しいな」
俺はそう言った。
「うーん、君は見たところくさびかたびらを着てるからスピードタイプだね。なら、軽めの盾にしたらどうだい?」
「わかりました」
「盾売り場は向かって左の棚だぞ〜」
俺は盾売り場に、そしてモハレは剣売り場に向かった。
盾売り場にはいろんな盾が置いてあった。モハレのような戦士が使う重いものから、おじさんが紹介したような軽めの盾まであった。
「軽めの盾だと、この2つですね」
近くから女性店員がきて、皮の盾と、ライトバックラーを見せた。
「どっちの方が硬いですか?」
俺はその店員に聞いた。
「やっぱりライトバックラーですね。けど、皮の盾よりは若干重いですよ」
「うーん、ライトバックラーにします」
「値段は、40ゴールドですね」
クーパーはライトバックラーを買った。
「お買い上げありがとうこざいます」
その店員は去っていった。
俺はモハレの方に向かった。
「おっ、クーパーきたか。俺は今この鋼の剣と、お前の持ってる氷の剣のどちらかにしようか迷ってるんだよ。強さだと鋼の剣の方が高いんだが、お前の持ってる氷の剣も魅力的なんだよなー」
「うーん、鋼の剣でいいんじゃないか?」
「なぜ?」
「氷の剣はたしかに使いやすいが、今は強い剣の方がいいと思うぞ」
「お前がそういうならそうだな。おじさん、鋼の剣ください!」
「毎度あり!60ゴールドだ!」
モハレは60ゴールド払った。
俺たちはそうしてマリスたちとの待ち合わせ場所に向かった。
「もう!クーパーたちおそーい!」
「まあまあまあ、マリスさん落ち着いて」
「ごめんごめん、遅くなった。ちょっと俺が剣選ぶのに時間がかかったんよ」
「にしても、マリスもリザもいいもの買ったじゃないか」
俺はそう言いマリスたちを眺めた。
「でしょーマリスはこの魔道士の杖を買ったの〜。これで呪文の威力上げたの〜。それで、リザは…」
「はい、私は僧侶のローブを買いました。このローブは即死を防ぐ効果があるそうですよ〜」
「似合ってるぞ!リザ!」
モハレもリザのローブについて褒めている。
「よし、じゃあ街の西で、戦いの経験を積むぞ!」 「「「おーー!」」」
「このモンスターは手強いなー!」
モハレが慌てている。
俺たちは今、コウモリ型モンスターのデビルバット三体と戦っている。なにせ、こいつらはすばしっこくて攻撃が当たりにくいのだ。
「マリスの番ね〜!レファイ!」
マリスはレファイを唱えた!
デビルバットAに10ダメージ!
「俺の番か、行くぞ、はぁー…はっ!」
モハレの攻撃!
デビルバットBには当たらなかった!
「なんで当たらないんだよーー!!!」
「モハレ!落ち着け!必ずチャンスは来る!」
「わかった!クーパー!」
「次は俺が行く!」
クーパーは剣の力を解き放った!
鋭い氷の刃が相手を切り裂く!
デビルバットAに8ダメージ!
「私!行きます!」
リザの攻撃!
会心の一撃!
デビルバットAに14ダメージ!
デビルバットAは倒れた
「よし!まずは一体だ!これからも集中していくぞ!」
「おう!」
「おー!」
「わかりました!」
デビルバットBの攻撃!
クーパーに6ダメージ!
デビルバットCの攻撃!
マリスに7ダメージ!
「マリスの番ね!もう一度行くわよ!」
マリスのレファイ!
デビルバットBに11ダメージ!
「よし、今度は俺の番だ!」
クーパーは渾身の力で相手を切った!
デビルバットBに20ダメージ!
デビルバットBは倒れた
「よーし、俺も続くぞ!」
モハレの攻撃!
デビルバットCに10ダメージ!
「次は私ね!」
リザの攻撃!
デビルバットCに7ダメージ!
シャー!!
デビルバットの攻撃!
痛恨の一撃!
リザに19ダメージ!
「うっ、きついかもしれないです…」
「リザ!待ってろ!俺がかばう!」
「リザを頼んだわよ!モハレ!」
マリスはレファイを唱えた!
デビルバットに12ダメージ!
クーパーの攻撃!
デビルバットCには当たらなかった!
「あーー!なんで当たらないんだー!」
モハレはリザをかばっている。
リザはヒールを唱えた!
リザのHPが20回復した。
デビルバットCの攻撃!
モハレはリザをかばった!
モハレに7ダメージ!
「よーし!私で決めるわ!」
マリスはレファイを唱えた!
デビルバットCに11ダメージ!
デビルバットCは倒れた
「「「「やったーーー!!!」」」」
「ようやく倒れたな〜」
モハレは草むらに座り込んでいる。
「疲れました〜」
リザも座りながら薬草を食べている。
「デビルバットも呪文の方がききやすかったね。ここはこういう敵が多いのかな〜」
マリスは寝っ転がりながら、分析をしている。
「そうだな〜、その前に戦ったサンドゴーレムも呪文とかしかきかなかったよな」
そう言って俺も草むらに寝転んだ。
しばらくの沈黙が草むらを駆けていった。
「よし!クーパー、そろそろ街に戻ろうぜ!日が暮れちまうぞ!」
モハレが腰を上げながら声をかけた。
「よし、そうだな、戻るか!」
俺もそういって草むらから起き上がった。
みんな草むらから立ち、身支度をしている。
そうして、俺たちは来た道を歩いていった。
「ようこそ、ここはチャークの街です」
あれから2時間くらいしてチャークの街へ着いた。帰りにもう一度戦闘があったが、安全に倒せた。
「ふー、今日も疲れたわね〜」
マリスが杖を振り回しながら話している。
ゴンッ!
「おい!マリス!俺に当たってる!」
モハレに杖が当たってしまったようだ。
「ごめーんモハレ〜。悪気はないから〜!許して〜」
「仕方ないな〜おっ、宿屋が見えてきたぞ」
そう言ってモハレは前に指を伸ばした。
「いらっしゃい、ここは旅の宿屋だぞ。お前さん達は4人かい?それなら12ゴールドだぞ」
クーパーは12ゴールド支払った。
「これが201号室の鍵だぞ」
クーパー達は部屋に向かった。
「ふー今日も疲れたわね〜」
マリスはベッドに座る。
「結構モンスターは倒しましたからね〜」
リザはソファーに座る。
「ふぅー。敵の性質を知らんと戦闘が長引くな〜。けどその為には…」
モハレは独り言を言いながらコーヒーをいれている。
「はぁー疲れたな〜。なんか娯楽なものこの街にないかなぁ?」
俺も疲れてベッドに横たわる。
しばらくの間、無音だった。
その後、
「スー」
リザがソファーで寝だした。
その横ではマリスもベッドで寝始めた。
「ハハッ。2人とも寝ちまったか」
モハレが小さな声で笑っている。
「モハレはもう寝るか?」
「ああ、そうするよ。クーパーもか?」
「そのつもり。今日は疲れたからさ〜」
「そうだよな〜休まなくちゃだな〜」
そう言うとモハレはカップに少し残ったコーヒーを飲み干しベッドに入った。
「おやすみ、クーパー」
そう言ってモハレは寝た。
俺はリザに毛布を掛けてからベッドに入った。そして少し夜空を見てみた。
空には三日月がきらめき、この世界を見守っていた。
ふと、その三日月の前を見たこともない大きな輝く神秘な鳥が飛んでいった。
その鳥は俺に何かを伝えたような気がした。
しかし俺は襲ってくる眠気に耐えられず目を閉じた。
続く
遅くなってすみません!!
いや〜言い訳ですけどゲームの製作が進んで来ちゃって…
まぁそんなことはともかくすみませんでした!
そしてゲームの影響で若干のメタい内容のセリフが出てきてます!
この話の前に世界設定や、人物設定などを完全に決めました!
そのためこれからはブレないと思います。
この話の最後の鳥はとても大事な登場人(?)物です。この小説がなんのゲームが元になっててそのシリーズの鳥はどんな役割が…と考えるとその重要さが分かると思います。(注 決して役割が同じとは限りません。例えば魔王の城への乗り物にしたり、魔王戦の足場になったりとかは無いです!)
もう1話だけ!冒険者達の日常が続きます!今度は洞窟に行きます!
それではまた、次の作品でお会いましょう!