後輩の恐ろしい知識
「ただいまー」
「おじゃましまーす」
「おかえ……り」
なに今の『こいつまた女の子連れてきやがった』みたいな間は?
「こんばんはー」
「こんばんはー。お兄ちゃん、この人は?」
「あぁこいつは俺の後輩でこの前の本の持ち主だ。俺が持っていくのを忘れたから取りに来てくれたんだ」
「そう。あの本ならお兄ちゃんの机の上に置いてあるよ」
「そうか。滝畑、取ってくるからちょっと待っててくれ」
?昨日、鞄にいれておいたはず…なぜ机の上に?まいっか
「はい。分かりましたー。」
滝畑の了承を得ると俺は自分の部屋に置いてある本を手に取る
「へぇー。意外ときれいにしてるんですね」
「そりゃそうだ……え?」
「どーも」
「いや、どーもじゃねえよ。何人の部屋に入ってきてんだ」
「興味本意です」
「堂々と言うな」
「先輩はエロ本とか持ってない人でしょ?」
「…一応聞くが、どうしてそんなことを聞く?」
「興味本意です」
ですよね
「俺は持ってないぞ。そんなもの」
何故なら全てパソコンでみているから
「ですよね」
「なんで言いきれる?」
「たぶんパソコンで見てるんでしょ?」
「!?いっいやそんなことはないぞ!決して!断じて!」
「分かりやすすぎですよ」
「だから見てないって。大体なんで言いきれる?」
「だって部屋がきれいな人ってそういうものは全部パソコンに保存しそうですもん。その方が片付きますし、捨てないからばれないですし。って本に書いてありました」
「今すぐその本を捨てろ!」
「嫌ですよ。将来の旦那さんの為に知っておかなきゃいけないことですよ」
うわー絶対俺はこんな奴とは結婚したくねえ。将来の旦那さん…南無
「お前、そんな本ばっかり持ってんのか?」
「そんなわけないじゃないですか。雑誌とか本も意外に読みますよ。こう見えて」
「へぇーそれは確かに意外だな」
「みんなにも言われます」
「そうなのか。まぁ良いことだとは思うよ」
「そう言えば、作戦の事、何か考えてくれましたか?」
「まだ何も」
「そうですか。ではそろそろ帰らないといけないので」
「そうか」
見ると、家についてから30分も経っていた
「駅まで送るよ」
「いえ、ここからなら歩いて帰れます」
「じゃあ、送っていくよ」
「いや、先輩に私の家知られたくないんで大丈夫です」
さらっと酷いな
「そ、そうかじゃあな」
俺は滝畑が帰り道を歩いてしばらく離れた事を確認すると、家の中に入る
「お兄ちゃん、帰ったの?あの人」
「あぁ。なんだ、ご飯まだ食べてなかったのか?」
「うん、一緒に食べようと思って。それに話したいこともあるから」
?怒られるようなことは何もしてない…はず
「なんだ?」
「あの人はあの本の持ち主の人?」
「そうだ」
「なんであんな本を持ってるの?」
「ああ、あいつ隼汰の事が好きらしいんだ」
「そうなの?」
「ああ、それで色々研究してるんじゃないか?」
「ふーん」
「なんだ?その疑いの目は」
「いや、なんでもない。まぁ隼汰君の事が好きならいいかな」
そうなのか?
最後の方はよくわからない会話だったが、誤解はされてないし、瑠美たちの疑惑も晴れたし。今日は平和…ではないけど、まぁ良かった




