面倒くさい後輩
「まず直球に聞かせてもらいます。弥夢さんあなたは海翔くんとはどういう関係ですか?」
「……え~と。秘密を共有した関係です。」
そう言ってあざと可愛い仕草をする後輩。
「ちょっ!何よ秘密って!?」
「それは~秘密です」
「おい、滝畑。ややこしい言い回しをするな。俺はお前に秘密を共有してないし」
「えっ?先輩、何か隠してるんですか?」
「そりゃ出会って間もない後輩になんでもかんでも話すわけないだろ」
「じゃあ、瑠美先輩と紗希先輩だったらどっちに秘密を共有しますか?」
「そりゃ紗……瑠美だろ」
あぶねー!瑠美さんに殺されるところだったー!ここで紗希と答えていたら『あれー?彼女さんじゃなくて幼馴染を選ぶんですねー。それっておかしくないですか?何だか信頼しあってない恋人見たいじゃないですか?』などと言いかねない。
「私じゃないんだ……」
「何か言ったか?紗希」
何だか不機嫌そうな紗希
「なんでもないわよ。でも私の方が付き合いは長いし」
「そりゃそうだろ」
「(か・い・と・く・んあなた一瞬紗希さんと言おうとしましたよね?こんなところで疑われないようにしてくださいね?)」
耳元で鬼のような声で囁かれる。
「(ホント~にすいません!)」
ってか俺ってそんなに怒られることなんてしてないよな?
ふと自分があまり悪いことをしていないことに気づく。
「話を戻しましょうか。どうなのです?正直、海翔くんのことはどう思っているのですか?」
「隼汰先輩に引っ付いている都合のいい奴」
「お前そんな風に俺のことを見てたのか!もう協力してやらないぞ!」
「え~先輩の意地悪~」
いちいちあざとい
「じゃあ、弥夢ちゃんは嘉田の事が好きなのね?」
「はい。こんな先輩のことはなんとも思ってないので気にしないでください。二人とも」
ん?二人?瑠美と……紗希?
「べっ別に私は海翔のことなんか…」
「それを聞いて安心しました。時間も時間ですので今日はもう解散しましょうか」
時計を見るといつの間にか7時を過ぎていた。
「ホントだな。そろそろ帰るか」
「ではみなさんまた明日」
そう言って家へと向かう瑠美を見て、俺も帰ろうとする
「紗希、帰ろうぜ」
「ごめん。今日は寄るところがあるの」
「俺も付き合おうか?」
「なっ、大丈夫よ。だって下着買いに行くんだし……」
「?すまん、最後の方がよく聞き取れなかった」
「いいわよ。聞き取れなくて。とにかく寄るところがあるから。じゃあね」
「そっそうか。じゃあな。さてと滝畑お前の家はどの辺なんだ?」
俺は紗希に別れを言うと、滝畑を家まで送る為に訊ねる
「なんですか?私の家の場所を聞いてなにするつもりですか?家に押し掛けて私を押し倒してあんなことやこんなことをするんですか?やめてください。私にはもう心に決めた人がいるので」
「そういうことじゃねえよ!」
「はい。知ってますが?」
「はぁー」
つっこむ事に疲れてきた
「それより先輩今から先輩の家に行っていいですか?本返してもらいたいんで」
「あぁ別にいいぞ。でもお前は大丈夫なのかよ。親に心配とかされねえのか?一応お前も可愛いんだし」
「はい。別に。……」
「なんだよ」
「なるほど。無自覚なんですね」
「なにがだよ」
「いいえ。別に。それより早くいきましょ」
「あぁ」




