ネギチャーシュー麺ライスセットほうれん草増し
ラーメンが美味しい季節ですね。
店員「いらっしゃいませ」
威勢がいいとは言えない声が聞こえる。
国道沿いにある深夜のラーメン屋はテンションという言葉には程遠い場所にあって、根暗な僕にはちょうどいい。
ヌメッとした床を歩き食券を買う。
ネギチャーシュー麺ライスセットほうれん草増し。
いつもと変わらない食券を買い席に座る。
いつもと違うのは友人の五郎丸が居ないことだ。
これが僕のいつもになりつつある。
五郎丸はバイト先の仲間で最近テラスハウスに憧れたのか湘南に引っ越しバイトを辞めた。
そんな彼は年が上だが友人のようで、年が上だからこそ兄のような存在だった。
湯気を纏ったラーメンが運ばれてきた。
五郎丸「ポパイもほうれん草たべて強くなんだろ?
だから男はほうれん草食うんだよ」
そんなことを彼はよく口にしていた。
懐かしい。
ラーメンをすする。
合間にほうれん草を食べる。
五郎丸を懐かしんでるうちにラーメンが伸びていく。
元気かな五郎丸。
そんな思いが湯気とともに消えていく。
ほうれん草を食べてるけど僕はまだあまり強くなれていないみたいだ。
窓から見える国道は沢山の車が行きかっている。