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第四話:邂逅そして勘違い

眼を開けると木々の隙間からうっすらと日の光が見える時間帯-だいたい朝の六時ごろだろうか-になりオレとご主人は荷物などをまとめ、学園へと向かった。朝食で丁度よく時間をつぶし、今はもうは八時ごろ、ちょうど始業式が始まるいい時間帯だ。オレたちは縦に4、5メートルはあろうかという巨大な学園の門の前へと立つ。


そして機関車へと乗り込む。そう、機関車だ。昨日きたときに気づいたのだが学園の敷地は広すぎる。城をゆうに超え、学園が一つの都市と化しているように見える。いや、実際にこの学園にいればほとんど物に不自由することはない。店や病院など設備がありえないほど充実しているためここは学園都市と呼ばれているようだ。学園の門から学園まではかなり距離があり一本の機関車が通っている。


学園の周りにはところせましと店や施設が並び、学園に通っているであろう学生たちによって溢れかえっていた。学園の説明をしておくと(ご主人のパンフレットを見た様子だと)、学園は主に初等部、中等部、高等部の3つに分けられており、初等部と中等部では魔法の基本的なことや体術などを学び、高等部では実践など本格的なことを学ぶらしい。騎士も魔導師も剣だけ、魔法だけというわけにもいかず幅広い戦い方を身に付けるためいっしょに授業を受けるようだ。


そしてしばらくたち学園生活に慣れると何人かでパーティを組み実践の課題をこなしていく、というものだ。ところでご主人が入るのは高等部だ。説明も終わったところで列車が出発し始めた。オレは猫の姿になりご主人の肩に飛び乗る。



「どこかあいてる席ないかな?」


列車の中は混んでいたが、少し探し回りちょうどあいている席を見つけることができた。


「あいててよかったね」


列車は四人で座れる個室のようになっていて、ご主人が座った向かいには先客が一人いた。どうやら寝ているらしく、規則的におなかが上下に動いている。


「この人も学園の生徒かな?ここの学園のローブ着てるし」


ご主人が覗き込んだソイツは、列車に乗るときに支給された学園専用のローブを着ていた。今はご主人も着ている。渡されたときにご主人の服が余りにボロボロだったので変な目でみられたが。


目の色は寝ているのでわからないが髪は明るい青色で肩にかかるかかからない程度、オレにはよくわからないがご主人がいうには結構美形の男らしい。


「そうだご主人、言うのを忘れてたが800年前から来たことと魔王を倒したとかいうのは黙っていたほうがいい」


「ええ?どうして?」


「そんなことをいっても信じる奴なんていないだろ。頭がおかしい奴だと思われて終わりだ。そう思われたくはないだろう?まぁご主人にミジンコ並みでもプライドがあったならの話だが」


「僕にだってプライドくらいあるよっ!!」



「・・・・・・んんっ」


どうやらご主人の叫び声で起こしてしまたようだ。閉じられていた目から鮮やかな紫が覗く。その目がご主人を捕らえると、細かった目が急に見開かれ、ソイツはご主人の方へと乗り出した。


「ああっキミ、綺麗な顔をしているね。キミもここの学園の生徒かい?こんな美しい人に入学早々で会えるなんで俺はなんて運がいいんだ」


急に口説きはじめた。確かにご主人は女顔にみえるが・・・ご主人にそんな趣味ないよな?ちょっと心配だ。ご主人はこっちに助けを求めているように見えるが。しかし、うろたえているご主人を見るのはおもしろいな。もうしばらくほうっておこう。


「えっと、あの、その僕・・・男、なんですけど・・・」


「・・・・・・えっ?そうなのか!?はぁ、こんな綺麗な顔してるのに残念だな」


「いや、そんなこといわれてもうれしくないような・・・」




「まぁいい、そういえば自己紹介がまだだったな。俺はグレィフェルト・アヴィエーンだ。気軽にグレイと呼んでくれ。ここの学園の高等部一年だ。よろしくな」


蒼い髪のソイツ、グレイがご主人の方へ手を差し出しながらそう言った。


「よくはないんだけど・・・僕はシャルル・ローレンス。僕もここの一年だよ。こっちこそよろしく」


ご主人は差し出された手を緊張した様子で握り返した。


「ん、シャルル・ローレンス?魔王を倒した英雄の名前じゃねぇか。大層な名前付けられちまったんだなぁ。名前のことでいじめられたりしたことないか?」


「えっうん、うんまぁね。そんなこともあったかな・・・はは」


「そうだろうなぁうんうん、それとさっきは悪かったな。急に口説き始めちまって。俺、よくやっちまうんだよな可愛い娘とか見ると」


「うん、いいよ、もう気にしてないから」


そういいながらも、ご主人の首を見るとまだ鳥肌がたっていた。まぁ男に口説かれた経験なんてあるわけないから当然といえば当然なのだが。


「あっそうだ、こいつはバロン。僕のペットだよ」


さっき助けを無視した腹いせなのか、ご主人はオレをペットとして紹介しやがった。しょうがないのでしばらくの間はペットとして過ごすとするか、ちくしょうバカにしやがって。


「にゃー(誰がペットじゃコラ、後で覚えとけよご主人)」


「ひっ!!」


「なぁ、こいつメスか?」


「動物でも口説くの!?」


「いやさすがに俺でも動物は少し迷うぞ。ただなんとなくただの猫にしちゃ気配が違うように感じてな。気のせいだろうけど」


少しというところが非常に気に入なるとこだが、この青髪なかなか鋭い。


「いやっ、そんなことないってただの汚い猫ダヨー、はは」


ご主人、語尾がおかしくなっているぞ。それと、


「いだっ!目に指が!目が見えん!」


ムカついたから目にネコパンチしてやった。いいきみだ。








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