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アラタに学ぶ転生前のジョブ活用法  作者: キリキリマイク
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第3話 「異世界に来たんだから走馬灯くらい見るよ:前編」

入退院を繰り返していた中学時代を経て、人の機嫌をうかがう事が誰にも負けない特技になってしまった。


その人が何を考え、何を欲するのか。しぐさを見てその深層心理を読む力は高校のいじめを経て匠の域に達した。


幼少のころ、オレは虚弱体質だった。小学校6年間は歩くだけで酔って、ところ構わず吐きまくっていた。週に1回は頭痛と高熱で学校を休んで、クラスの皆によくからかわれた。特にツラかったのは、両親の関心が体が頑丈な兄3人に段々と向けられ、対してオレへの興味が目に見えて薄くなっていったことだった。


オレは、あからさまにオレに対して関心を失くしていく家族の気を引こうと、できるだけのことをした。掃除、皿洗い、洗濯、犬の散歩……。小学校5年になったら家族のしぐさを見ただけで何を考えているのか分かるようになっていた。


父の表情とおかずをかき混ぜる回数で、母が作った夕飯の出来が分かり、下校時にコンビニで買った商品と洗濯物の放りこみ方で兄貴の期末テストの点数を予測でき、夕飯の献立と玄関の靴のならべ方で、オレが学校に行っている間に母が家に間男を招き入れたか分かるようになっていた。


間男の存在がバレたのち早々に離婚は成立。中学からは父に育てられるようになった。学校の健康診断の耳検査に引っかかったオレは、大学病院で精密検査を受け、三半規管に異常が見つかった。わりと深刻な病だったみたいで、入退院を高校3年まで繰り返した。どこの世界にも人の不幸を面白おかしく笑う困ったちゃんはいるみたいで、それに触発されたクラスメイトはたかってオレをいじめた。


ちょっとした転機は高校2年の初めに起こった。昼休みに弁当を食べていたら。オレをいじめるグループのリーダーがたまたま一人で弁当を食べていて、中のおかずをかき回しているのを目撃した。父とおなじように振る舞うそいつを見て、オレは何を思ったのか「それキライなら、オレが食おうか?」と話しかけた。驚いた様子の彼はじっとオレを見て、黙って弁当を差し出した。


やがてそのグループのパシリとしてオレの地位は確立された。メンバーの性格やしぐさ、生まれた環境などを鑑みて、何を考えていて、それがどんなしぐさで表現されるかを学ぶいい機会になった。時間が経つにつれいじめグループ以外の連中もオレをこき使うようになったが、良くも悪くも結構な場数をふめた。


高校を卒業した後、実家の近くにある警備会社に就職。はじめは駐車場警備や雑踏整理を中心に活動していたが、入社して2年が過ぎた頃、社内で私服保安員への配属募集の通知が張り出された。夏だったこともあり、涼しい職場を求めていたオレとしては見逃さない手はなく、すぐに必要書類を提出した。


適性試験は上司いわくほぼ満点で合格。とくに2週間の実地研修でフミコ(万引き犯)を2人釣ったことが高く評価され、晴れて万引きGメンとして活動することが認可された。


配属されて数週間もすればリフターの性格、行動パターン、手段をあらかた把握し、そのうえオレの観察眼も実践を経ることで異常なほどレベルアップしたこともあり、オレは探偵よろしく客を見ただけで簡単なプロフィールと、盗るか否かの解析が可能になり、店内を少し回っただけでフミコが何人潜んでいるか分かるようになっていた。しまいにはお客さんを一瞬見ただけで、盗るか否か雰囲気だけで分かるという離れ業もできるようになっていった。


そのうちバリ挙(怪しい挙動・人物)にも種類があること分かってきた。これを応用して、フミコだけでなく置き引き、チカン、値引きシールの張り替え、スリなども釣れるようになり、1日の摘発数が10件を超えるため、釣り好きの同僚からは「ツ抜けの篠崎」と呼ばれ、社内外で徐々に広まっていった。

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