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モノローグ

作者: 如月桔梗

※このお話は決して自殺を推奨するものではありません。読むか否かは自己責任でお願い致します。





頭の中はやけに冷静で。

私の心臓も落ち着いているようだった。


人間はいとも簡単に自分を見失ってしまう。

その事実を簡単に忘れて、何事も無かったかのように。


記憶をそっと注ぎ込むようにして、今、私は…







好きでした。好きになってしまいました。


最初は友達に対するような好意でした。

もっと知りたいって思う程度の、そんな好意しか持ち合わせてはいませんでした。







それは突然だった。

ずっと遠くに居たあの人が、何の前触れもなくとても近くにいるようになった。

なぜなのか、私にはわからなかった。



私の知らない過去が、あの人の中にある。

それは引きちぎられるように、噎せかえるように苦しく。

狂おしいほどの恋も、私の母に思いを寄せていたことも、私の父を憎んでいたことも。


近くで過ごすことで、様々なことが徐々に分かってきた。わかってきた情報の中には、知りたくないことも流れ込んでいた。


この人は苦しんでいる。

昔の恋を思い出させるような母さん似の私を見て、きっと息をすることもできないほどに苦しくて。

その感情を悟られないように仮面のように顔に色を載せることはせず。

守りたいものを必ず守るために周りから孤立し、1人で戦って。

そして、この人が気づいているかはわからないけど。きっと、心は寂しくて泣いている。



私は、あの人への好意が徐々に膨らんでいくのを感じていた。

もっともっと近づきたい。

私がもっと知らないあの人のことを知るために、私は貴方のことを好きというふりをして。

以前よりももっと近づいて、あの人の凍りついた過去をえぐり出して、吐き出させて。


私はそれで満足するはずだったのに、貴方がそんな目で私を見るから。

そんなに深く愛おしそうに見つめるから…


でも違う。この人は私を見てない。僕の中から垣間見える"彼女(母さん)"を探しているのだ、と。




貴方が私ではなく、私の中にいる"彼女(母さん)"を求めていることに気付いてから、なんだか悔しいようなおかしな気分になっていきました。

そこで私が貴方のことを愛しいという対象として見てしまっていたことに気付かされました。



貴方が今、私を見てしまうたびに苦しんでいることは知っています。

もう戻らない、戻れない過去に。今もなお愛し続けている"彼女"の面影を残した僕を見るたびに、悲しげに貴方の瞳が揺れるのを見てしまった。

知ってしまった。



だから私、考えたんです。


いつの間にか、深く愛してしまった貴方のために。

僕ができることは、してあげたいことは。

…もう、その瞳を悲しみで揺らさないということ。


そのためにはどうすればいいのか。

私の出した答えはとっても簡単で、私にしかできないことで。




だからね?

「今から私は、自殺します。」




ひとしきり手紙を読み終えて。



頭の中はやけに冷静で。

僕の心臓も落ち着いているようだった。


人間はいとも簡単に自分を見失ってしまう。

その事実を簡単に忘れて、何事も無かったかのように。


記憶をそっと注ぎ込むようにして、今、私は…




今まで味わったことのない、そして二度と味わうことのできない激痛とともに堕ちる。





消えるよ、貴方を絶望の淵に立たせる存在が。

いま、消えるんだよ。


なのに、どうしてなのかな。

最期にみた貴方の瞳は、私が今まで見たこともないほどに悲しみで揺らいでいたように見えた。





"私"の思考は完全に停止した

どれほど自分が”書く”という表現ができるのか、と思い作った短編小説です。

初めて書いたのに、気付いたらBADEND…

私、ハッピーエンドのほうが好きなんだけどなぁ…(白目)


ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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