第一章ー7
しばらく四人で話していると部屋のドアがノックされる。
「どーぞー」
悠奈が入るよう促すと女性が二人入ってくる。
生徒会長の香と副会長の阿澄だ。
「ハロー、悠奈ちゃんに貴人くん!」
「こんにちは二人とも」
二人が挨拶する。
相変わらず阿澄の片手には本が携えられている。
貴人と悠奈も挨拶を返す。
「相変わらず仲良いねぇ。嫉妬しちゃうわぁ」
「香、そんなことはいいから……ところでそちらの二人は?」
阿澄に視線を向けられ二人も自己紹介する。
「君が六王家の!キャラ濃いね!!」
香も最初の貴人と悠奈と同じ反応をする。
「それは置いといて、とりあえず本題に入りましょう香」
阿澄が促すと、そうだった!、と香が言う。
そんなやりとりをする二人を見て貴人が香に言う。
「相変わらずですね二人とも……」
「酷いな〜貴人君。それじゃあ私がただの元気キャラみたいじゃない!」
「あってるじゃないですか。生徒会長っていうキャラも少しありますけど」
「そんな私って生徒会長感無い!?」
などとやりとりをしていると阿澄に睨まれたので二人は仕方なく本題に入る。
「今日は五月祭についてお願いしに来たの〜。私達は生徒会チームとしてチーム戦のトーナメントに出場する予定なんだけどあと一人足りないんだ〜。だからあと一人を見つけて欲しくて〜」
「あぁ、そう言うことですか……」
「だから千凪君か氷上さんを誘いにきたんだけど」
「悪いんですけど俺は個人戦とタッグ戦の二種目にでるのでこれ以上出場できないんですよ」
「そっかぁ……悠奈ちゃんは?」
生徒会チームで出てみない?という香の誘いに
「私もちょっと……」
とやんわりと断る悠奈。
「やっぱり貴人君としか出たくないのか〜」
「おあついわね。となると……」
「そ、そんなんじゃないですよ!」
必死に否定する悠奈の言葉を聞き流す二人。
次に阿澄の瞳が一年生の二人を捉えた。
「あなた達はどう?」
「私は多分二種目も出場する体力が無いから厳しいです……」
「そうなの……水月さんは?」
「わ、私はちょっと……生徒会のみなさんと出場するのは緊張するというか……」
慌てた様子の未来に香と津々良が説得する。
「大丈夫よ!緊張なんてすぐになくなるわ!」
「そうだよ未来ちゃん!こういう時に緊張する癖を治すべきだよ!」
「そ、そうだね。二人の言うとおり……私、参加します!」
結局未来が出場することに同意した。
「よし!それじゃあ決まりだね!未来ちゃんは津々良ちゃんとのタッグ戦の練習もあると思うから放課後の半分だけ生徒会チームの練習に合流してくれるかな?」
「わ、わかりました!」
こんな流れで未来は生徒会チームとしてチーム戦に出場する事になった。
「それじゃあみんなまたね〜」
「さようなら」
二人はそう言うと部屋から出て行った。
貴人は壁にかけてあった時計を見てもう少しで下校時刻である事に気付く。
「今日はもう遅いし練習は明日からでいいか?」
貴人の言葉に全員頷く。
「それじゃあ帰るか」
「そうね」
「帰りましょう!」
「しょうですね、きゃえりましょう!」
(キャラが濃い……)
再度未来のキャラの濃さを思い知らされた貴人だった。