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統べる者  作者: 八坂カロン
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第一章ー16

嶋達との激戦も終わり、貴人達は順調に決勝戦まで勝ち進んだ。

貴人達が今いるのは控室。

決勝の相手は津々良達だ。


「悠奈〜、ディーヴァは回復したか?」

「うん! もう大丈夫!」

「相変わらず異常な回復力だな……」


貴人は

悠奈に確認する。

どうやら万全のようだ。

初戦でディーヴァを大量に消費した悠奈だったが、その次の試合からはマギをあまり使わずに回復につとめていた。

それでもここまで回復出来るのは悠奈だからだろう。


「いよいよ決勝だね! 絶対に勝つよ!」

「あぁ! 」


貴人と悠奈は意気込んだ。


ーーーー


もう一つの控室では津々良と未来が待機していた。


「師匠達を倒して優勝するよ未来ちゃん!」


いつも通りの津々良。


「う、うん!」


未来もしっかりと頷き返す。

二人とも目に闘志を宿している。

そこにアナウンスが響き渡る。


「今から決勝戦を始めます。出場選手は入場口に集合して下さい」


ーーーー


観客席では生徒達が決勝戦が始まるのを今か今かと待っていた。


「ど、どうも……」

「嶋君!? もう動けるの?」


海の突然の登場に驚く香。

阿澄達も驚いているようだ。

海の隣には寧々が無愛想な顔で立っていた。


「ま、まあなんとか……」


そう答える海。

貴人達との試合後、ディーヴァが尽きた海と寧々は保健室で休んでいた。


「全く情けないな、海。私なんてすぐに動けるようになったのに」

「はは、その間ずっと傍にいてくれて嬉しいよ」

「なっななななななっ!」


海に切り返された寧々は動揺を隠せないのか言葉に詰まる。

寧々に対してだけは口調が変わる海。

寧々の顔は真っ赤だ。


「なんだか貴人達を見てるみたいだ……」

「同感ね……」


二人のやり取りを見て頭を抱えた愛斗と阿澄。


「ふんっ、そんな事よりそろそろ始まるぞ」


香の隣に座っていた楓が興味なさげに言う。

その時、入場のアナウンスが闘技場に鳴り響いた。


ーーーー


貴人達が入場すると観客が今日一番の盛り上がりをみせる。


「頑張れよバカップル!」

「負けんなよ一年生!」

「どっちも頑張って!」

「いい試合を期待してるぜ!」


色々な声援を受けながら四人はフィールドの中央に立つ。

今回貴人は木刀を所持している。


「いよいよ師匠を弟子が倒す時が来ましたね!」

「何を言っているんだい我が弟子よ。師匠が弟子に負けるなんてありえないんだよ」


津々良と貴人が軽口をたたきあう。


「ゆ、悠奈先輩には負けません……!」

「わたしも未来ちゃんに負けるわけにはいかないよ」


一方では六王家同士が対峙している。

そしてついに始まりの合図が鳴る。


「決勝を始めて下さい」


アナウンスが鳴ると四人が無属性のディーヴァを纏う。


「最初から全力で行くよ未来ちゃん!」

「り、了解!」


津々良達が一気に貴人達に仕掛ける。


風鎧エアアーマー!」


津々良が両腕に風の刃を纏い貴人に突進して来る。

未来は水属性のディーヴァを両腕に纏っている。


「悠奈! 援護は頼んだ!」

「分かった!」


貴人はこちらに向かってくる津々良を迎えうつ。

悠奈は未来同様、後方で氷属性のディーヴァを両足に纏っている。


「はぁ!」


津々良が貴人に左ストレートを顔面に目掛けて放つ。


「ふっ!」


貴人は手に持っていた木刀で津々良の拳を受ける。

本来なら津々良の拳の威力に耐えられず木刀は折れているだろう。

しかし貴人が木刀にも自分の無属性のディーヴァを纏っているため普通の木刀より何倍も頑丈に出来ている。

そのため津々良の拳を受けても簡単に折れることは無い。


「まだまだ行きますよ!」


続いて津々良は右の拳を貴人の胴体に繰り出す。

貴人はそれを木刀で右に流し木刀を右手だけで持ち左手で胴体に掌底打ちを入れる。


「ぐっ!」


咄嗟に後退した津々良だったが威力を殺しきれずに少しふらついた。

貴人が追撃を加えようとした時、津々良の後ろに待機していた未来の声がする。


「津々良ちゃん避けて!リンドブルムトレーネ!」

「しまった!」


後方に控えていた未来から放たれた津波が貴人を襲う。

津々良は既に未来のマギの範囲外に離脱している。


「こっちに来て貴人!」


貴人が急いで悠奈の元に戻ると悠奈がマギを行使する。


グラース城塞フォートレス!」


悠奈の足元に約半径五メートルの円状に大きく広げたディーヴァから氷の城塞が出現する。

未来の津波が悠奈の氷の城塞に阻まれる 。


ーーーー


悠奈の大技に観客席も盛り上がる。


「悠奈ちゃんって本当に凄いよね。あの未来ちゃんのマギを相殺するなんて……」


香も舌を巻いている。


「ぼ、僕達との試合であんなにマギを行使していたのに……」

「それにあのディーヴァの鮮やかさ……貯蓄量、回復力、質、のディーヴァの三大要素が全て怪物レベルだな」


脱帽する海に対して寧々は冷静に分析している。

いつもならその役目は海がしているのだが。


「寧々が僕より先に分析するなんてね。そんなに氷上さん、いや、あの二人が気になる?」


海は思った事をそのまま言う。


「当たり前だろ!? 次戦う時は絶対私達が勝つんだ! そのために今は相手を知らないと行けないだろう?」


声を張り上げる寧々。


「ふふっ、そうだね。次は勝てるように頑張ろう。二人で練習しないとね」

「ふ、二人で!?」


海の言葉にあたふたした様子を見せる寧々。

何故そんなに焦っているのか海には分からない。


「それはそうだよ。二人で勝たないとダメなんだから」

「そ、そうだよな! 二人で勝たないとな! うん、二人で!」


やたらとテンションが上がる寧々。

そこに阿澄と愛斗が呟く。


「おあついわね……」

「頭痛がする……」

「何ぃ!? どういう意味だそれ!?」


二人の言葉に反応し二人に詰め寄り、阿澄と愛斗にまくし立てる寧々。

そんな寧々を見て海は嬉しくなる。

昔の寧々は明るく、誰からも好かれる女の子だった。

学校の成績も優秀でウィザードの素質があると分かった寧々は夢ノ丘高校に入学する。

優しい両親にも恵まれ、何もかもが順風満帆だった。

ところが、寧々の両親は寧々が入学したての頃に二人とも交通事故で亡くなり、幸せな生活は一瞬で崩れ去る。

一人になった寧々は、以前までの明るさを失い、徐々に他人との壁を作り次第に学校にも殆ど登校しなくなっていった。

それでもテストだけは出席し、何とか留年だけは回避しているような高校生活を送っていた。

そんな中、寧々は海との関わりだけは捨てようとはしなかった。

それが海にはまるで自分に何か助けを求めているように思えた。

寧々に自分が出来る事を海は考え、その結果がこの五月祭へのエントリー。

何かが寧々の中で変わるかもしれない、そんな期待だった。

最初は渋っていた寧々だったが海が熱心に誘うため承諾した。

結果は初戦敗退、だが海は心の底から満足している。

一試合だけでも寧々の心に小さな、しかし確かな変化が現れたからだ。

小さな変化ーーそれは目標が出来た事。

保健室でずっと悔しがっていた寧々の表情を思い出す。

無機質な高校生活を送っていた寧々にとってこの変化は刺激になる、海はそう思う。


「本当に千凪君達には感謝しないとね……」


一人ボソッと呟く海。

貴人達には心の底から感謝している。

そんな海に阿澄と愛斗に詰め寄っていた寧々が言葉をかける。


「おい! 海もなんか……って何にやけてるんだよ」

「はは、ちょっとね」

「負けたのが悔しくて頭がおかしくなったのか? 」

「そうかもね」

「はっ! そんなの気にすんな! 次勝てばいいだけだろ!」

「次、か」

「ん?」

「いや、何でもないよ。次は勝とう」

「あぁ! 私が指導してやるよ!」

「ありがとう、寧々」


嬉しいよ、寧々の言葉を聞き海は笑うのだった。

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