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統べる者  作者: 八坂カロン
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第一章ー12

予選トーナメント二日目、つまりチーム戦の日、貴人と悠奈は二人で自分達の部室にいた。

もうすぐで第一試合が始まる。

貴人達の第八試合までは少し時間がある。

津々良達は第三試合と早いので別行動をとっている。


「津々良達と決勝で当たれるかな?」


貴人が悠奈に問いかける。

お互いが順調に勝ち進んで行くと決勝であたるのだ。


「ほぼ確実に上がってくると思うけど」

「だよなぁ、俺らも頑張らないとな」

「まずは初戦だね!」


二人は気合を入れる。

なんとも緩い感じだが。


ーーーー


闘技場では津々良達の試合が始まろうとしていた。

出場選手が待機する控え室に津々良と未来はいた。


「いよいよだね未来ちゃん!」

「そ、そうだね……」


今か今かと楽しみにしている津々良は少し緊張している様子の未来に問う。


「未来ちゃん緊張してるの?」

「す、少しだけ……でも……昨日も出たから大分まし……」


昨日は先輩達と戦ったから、と未来。

昨日の初戦が一番緊張したらしい。

そんな風には見えなかったけど、と思う津々良。

二人が話しているとアナウンスがかかった。


「今から第三試合を始めます。出場選手は入場口に集合して下さい。」

「さあ行こう未来ちゃん!」

「う、うん!」


二人は入場口へ行く。

相手も到着したようだ。

相手は三年生のAクラスの男二人だ。

男達のウチの長身でイケメンの男が笑顔で話しかけてきた。


「君達が初戦の相手か、よろしくね。二人とも可愛いじゃないか、なあ?松田?」

「そんな事はどうだっていいんだよ原。お前は昨日生徒会の奴らと出場してた奴だよな。あのマギはびびったぜ。まあよろしく頼むわ」


松田と呼ばれたがっしりとした体の男が未来に向かって言う。


「は、はい。よろしくお願いします!」


未来も松田に返す。


(師匠の方がかっこいいなー)


心の中で津々良がそう思っていると


「それでは選手は入場して下さい」


アナウンスがかかり四人が入場する。

津々良と未来の初戦が始まる。


ーーーー


観客席には海以外の生徒会のメンバーが集まっていた。


「来たよ!未来ちゃん達だ!」


香が入場してきた二人を見て言う。


「「うおおおおおおおがんばれ一年生!!!!!」」


未来と津々良に大きな声援がおくられる。


「凄い歓声ね」

「未来ちゃんは昨日実力が証明されたし、二人とも可愛いからね!」

「自覚は無いんですね二人とも……」


会長と副会長の言葉に傷付いた様子の書記。


「ていうか未来ちゃん達の相手ってうちのクラスじゃない?」

「ええ、松田君と原君ね」

「二人のクラスメイトっすか。強いんですか?」

「二人とも真ん中くらいねー」

「それってうちの学校のトップクラスじゃないっすか……」


香の言葉を聞き驚いた顔をする愛斗。

確かにあの二人は強い。

愛斗の良いお手本になるだろう。


「第四試合を始めてください」


アナウンスが開始を告げる。

四人が全身に無属性のディーヴァを纏う。

四人ともアームズは使っていない。


「行くぜぇ!」

火の球(ファイアーボール)


先制を仕掛けたのは松田達だ。

松田は両腕に土属性のディーヴァを纏い未来に向かって走りだす。

原は未来と距離をあけ火の玉を放つ。

未来にマギを発動させず先に片付ける作戦のようだ。


「未来ちゃん!風刃エアカッター!」


咄嗟に津々良が松田に向けて風の刃を放つ。


「な!?あいつ風属性かよ!」


松田は驚きの声を上げながら未来に接近することを諦め津々良のマギを躱すことに意識を切り替えたようだ。

津々良のマギを見て観客席もどよめく。


ヴァッサーシルト!」


未来が向かってきた火の玉を水の盾で防ぐ。


「ちっ!先制攻撃は失敗かっ。おい原ぁ、次の作戦だぜぇ!」

「了解!」


この掛け声とともに松田は両腕に土属性のディーヴァを纏ったまま一旦後ろにさがり、かわりに原が両腕を火属性のディーヴァで纏いながら前へ出てくる。


「私達も行くよ未来ちゃん!」

「うんっ」


津々良達も動き出す。

津々良は未来に近づく、原に向かって走りだし、未来は松田動揺両腕にディーヴァを纏いながら後退する。


「さきにこっちを仕留める!纏え!」


原は標的を未来から津々良に変更し両腕を炎で纏いながら迎撃準備を整える。


風鎧エアアーマー!」


津々良も両腕に風の刃を纏う。

香は貴人との特訓で両腕に纏えるようになったと言っていたのを思い出す。


「はぁ!」


原が津々良に胴体を目掛けて右ストレートを放つ。

右腕に纏っていた炎がより一段と大きくなって津々良を襲う。

その拳をギリギリ炎が当たらない程度に体を右にずらす。

津々良の服に炎がかすめた。


「はっ!」


今度は津々良が右の拳を原の胴体に放つ。

原は後ろに後退することでそれを避ける。

お互いが一発でも拳を入れられれば戦闘不能になってしまうだろう。


「まだまだ!」


後退した原を追撃しようとする津々良だったがーー


土縛アースバインド!」


いきなり津々良の足元の土が盛り上がり津々良の手足を拘束する。

松田のマギだ。


「今だ!」


拘束された津々良に原が攻撃しようと迫る。


「津々良ちゃん!」


未来はどうにか津々良を助け出そうとマギを発動させようとしているのだろうが間に合いそうもない。


「終わりだ!」


原が津々良の胴体に拳を入れようとする。

しかしーー


「甘いですよ!天使エンジェル息吹ブレス!」


津々良はこう唱えると口元に纏ったディーヴァに息を吹きかける。

すると凄まじい突風が原を襲う。


「うわぁぁぁぁぁ!!!!!」


原はそのまま壁際に叩きつけられて意識を失った。


「くそぉ!このままやられてたまるかよ!土針アースニードル!」


残った松田は足元に土属性のディーヴァを纏い足で地面を踏みつける。

すると松田の足元から地面が鋭く盛り上がり、それが連なって津々良を襲う。

そこにーー


リンドブルムトレーネ


拘束を説いた津々良の前に立っている未来が、昨日見せた大技を繰り出す。

すると津波はたちまち松田と松田のマギもろともを呑み込んだ。

これで松田も戦闘不能となった。


「「すげぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」」


観客が二人に割れんばかりの拍手を贈る。

三年生のAクラスを一年生が倒す事は快挙である。

香も驚かずにはいられない。


「やったね未来ちゃん!」

「津々良ちゃんつよい……」


ハイタッチをして喜ぶ二人。

こうして津々良達は初戦を勝利で収めた。

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