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統べる者  作者: 八坂カロン
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第一章ー10

「それじゃあ予選トーナメントを開催したいと思います!」


香が全生徒に向けて声を張り上げる。

ここは夢ノ丘高校の隣に併設されている闘技場である。

出場選手と生徒会メンバー、楓などの教員は大きなフィールドで、その他の生徒は観客席に座って話を聞いている。

五月祭や神無月祭では出場する選手以外は休みになっていて、観戦に行くのも行かないのも自由だが、予選トーナメントは全生徒が出席しなければいけない。


「ではルールを説明します」


香に変わり阿澄がルールを説明する。


「この予選トーナメントは基本的に五月祭と同じ様なルールを設けています。今日はチーム戦、明日がタッグ戦、そして明後日が個人戦という日程です。アームズの使用はこちら側が用意したモノのみとします。数は幾つでも構いません。勝利条件は相手の全員が降参、相手全員のディーヴァが尽きる、相手全員の気絶、の三つです。そして相手への必要以上の攻撃は禁止します。またこちら側の判断で試合の勝敗を決める事もあります。何か不明な点がありましたら、聞きにきてもらって構いません」


阿澄の説明が終わる。


「それじゃあ時間も押してるからチーム戦のトーナメントの組み合わせを発表するね!」


そう言いながら香達がトーナメント表を張り出す。

誰と当たるかは当日に知らされる。

誰かへの対策を防ぐためである。


「それじゃあすぐに一試合目を始めたいから出場する人は用意してくださーい」


ーーーー


観客席に戻ってきた貴人、悠奈、津々良の三人。

生徒会チームは初戦の準備のためいない。


「会長達の試合はいつなんだ?」

「第四試合だよ」

「どんな戦法なのか楽しみですね」

「まあどんな戦法でも勝ち進めるだろうな」

「私会長達が戦うところをみたことないから楽しみ」


などと三人が会話していると、第一試合が始まる。

一方のチームは二年生のBクラスの女子五人組、もう一方のチームは三年生のBクラスの男三人、女二人である。

それぞれが木刀や木製の盾をもち、鉄で出来た鎧を身に装着している。

鎧は無属性のディーヴァを全身に纏うことが出来ない人はその部分の鎧を装着しなければいけない。

これは体のバランスが崩れるので不利になる。

全身に装着しても動きが遅くなるためバランスはとれても不利になることに変わりはない。

全員が無属性のディーヴァを鎧を装着していない部分に纏う。

先に動き出したのは二年生チームだ。

三人が相手との距離を詰め、残りの二人は逆に距離をとっている。


「これはどういう作戦なんですか?」


津々良が貴人に問う。


「前衛三人が近接戦で相手を戦闘不能にし、そのサポートでマギをを後衛二人が行使する、それか前衛が時間を稼いで後衛で威力の高いマギを発動させて一撃で仕留める、みたいな感じじゃないか?細かい作戦は色々あるんだろうけど」

「てことはどちらにしろ後衛二人はディーヴァの貯蓄量が多いということですね」

「そうなるな。まああとは属性だな」

「なるほど、前者の場合の後衛は防御重視の水属性か土属属性で後者の場合は攻撃重視の火属性、もしくは攻撃特化の雷属性や風属性ってことですね。」

「基本的にはな。まあ水属性や土属性でもある程度のレベルになると強力なマギを使えるからな」


貴人の答えを正しく把握し、そこから自分の見解を持つ事が津々良は出来る。

本当にハイスペックだよな、と思う。


「この試合は前者だな」


貴人は試合を見ながら言った。

後衛二人は水属性と土属性の簡単なマギを行使して前衛のサポートをしている。

もう片方のチームは必死に前衛の攻撃を凌いでいる。

どうやら計画を立てていなかったらしい。

記念にエントリーしてみただけだろうな、と貴人は考える。

五分も立たないうちに三年生のチームは男一人と女一人になった。

他のメンバーはディーヴァがつきたらしい。

無計画に使いすぎたためだろう。

残った男が前衛の一人を木刀に火を纏いながら切りかかるが水属性の後衛のマギによって纏っていた火が消され隙ができた所に前衛の二人が攻撃する。


ドゴッ!


という鈍い音がして男は気絶し、戦闘不能になる。

残った女は両手を挙げて降参した。

これで初戦の決着は二年生チームの勝利となった。

二試合、三試合目も順調に終わり生徒会チームの出番になる。


「それでは第四試合の出場者は入場してください」

「お、きたな」


アナウンスを聞いた貴人は入り口に目を向ける。

そこから香、阿澄、海、愛斗、未来の順で出て来る。

生徒会チームが入場した途端、観客席から今までで一番大きな歓声があがる。


「会長頑張れー!!!!!」

「副会長も頑張ってください!!!」

「あの地味な人って生徒会にいたっけ?」

「やべぇ、生徒会にあんな不良がいるなんて……」

「あれが水月家の子か!可愛いな!頑張れよー!!!」


女性三人は男女から大きな声援をうける。

香は笑顔で観客席に向かって大きく手を振っている。

阿澄は落ち着いた様子で入場している。未来は声援に慣れていないらしく少しあたふたしていた。

美人三人の出場が会場のテンションをあげたらしい。

一方男性二人は


「宮永君……僕たちって可哀想だよね」

「そうっすね……」


貴人には何を言っているのか聞こえなかったが雰囲気が暗いのは分かった、。


「おーい!愛斗ー頑張れよー」

「みんながんばって〜」

「未来ちゃん、いつも通り落ち着いて頑張るんだよ!!」


貴人達も声援を送る。

津々良の声がきこえたらしく、未来は津々良の方に向きて小さく手を振った。

すると貴人達の数列前の生徒の数人が鼻血を出して倒れた。


「先生!この人達が自分に手を振られたと思って興奮して倒れました!!」

「馬鹿だな」


呆れる貴人。

未来もまさか自分が手を振るだけで数人の生徒を戦闘不能にしたとは思っていないだろう。


「それでは第四試合を始めます」


アナウンスの声で生徒会チームの初戦は始まった。

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