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予兆
夢を見た。
何処か知らない遠くの街で、誰かが叫びをあげていた。
何を言っているのかは分からない。
ただ一つ、それが何かの危機を告げる声だということは分かった。
けれど道行くドラゴンたちは、その声に誰一人耳を貸さなかった。
――何だか悲しそうだった。
少しして、訴えているその主が此方に気づいた。
藁を縋るような声で必死に訴えてかけてきた。
けれど、ボクに声は届かなかった。
その主は、誰かに連れられて行ってしまったから。
手を伸ばしたけれど、追いかけることは出来なかった。
何故ならボクの足は、その場から一歩も動かなかったからだ。
地面に縛られているような感覚だった。
ボクは何も出来ず、ただその場に立ち尽くすだけだった。