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痛快!晋作伝 その一  ―功山寺挙兵―

時は幕末、1864年当時、尊王攘夷第一等藩として長州藩は輝かしい働きをしておりました。

それを妬んだかどうかわ分かりませんが薩摩藩と会津藩が画策してその年の8月18日、

長州藩の京都守護職の任をとき、さらに長州系公卿である三条実美を含む

七人の公卿を失脚させるという政変を起こします。

それにより弱体化させられた長州藩は、よせばいいのにならば力づくで!と

強引に京都御所に攻め入りました。幕府は連合軍でこれに応戦。もちろん長州藩は敗走。

さらに朝廷に発砲したことで朝敵の汚名を着せられ日本全国すべてを敵に回すというオマケつき。

幕府はその朝敵に対し、先の戦いの報復として長州藩に攻めてきました。

世に言う長州征伐でございます。

先の戦い、ほか諸々のこともあり長州藩にはこの時、ほとんど戦う力がありませんでした。

長州藩は尊攘系家老3人の首を差し出すことにより、かろうじて停戦を結び事なきを得ます。

しかし幕府はそれに留まらず、かの政変により長州藩に戻っている

まだ朝廷に影響を持つ尊攘系である三条実美含む七人の大宰府への移送を命じます。

そうすることで藩内の尊攘派の後ろ盾をなくし結果的に長州藩に止めを刺そうとしてきたのです。

いよいよ長州藩の命運は風前の灯とあいなりました・・・

が、その消えそうな灯火の揺らめき立つ瞬間の輝きが、

大炎に変わり日本全土に燃え広がる維新の炎へと変わる奇跡が起こります。

1865年、元児元年12月15日、場所は長州藩は長府、功山寺。夜更け過ぎ、

本堂には後の伊藤博文である伊藤俊輔率いる力士隊。

石川小五郎率いる遊撃隊合わせて84名の隊士が集められていました。

しかしそれぞれの顔はどれも俯いております。

隊士たちの前に立つ一人の男がこれより奇襲作戦をおこし、

これにより再び長州藩を蘇らせようというのです!

しかし、長州征伐等により正義派と呼ばれる尊攘派は幕府恭順派に藩の実権を奪われ

幕府の圧力として奇兵隊の解散をするか公卿の移送をするかと迫られていました。

今決起してもこの人数でどうなるものか・・・?

彼らの心の不安がその男の説得すら届かない最大の壁でした。そしてとうとう男も黙ってしまいます。

・・・沈黙する境内。重い空気があたりを支配し始めた瞬間。

「この・・・ばかものー!君らは赤根の二枚舌に騙されているだけだ!目を覚ませええええ!」

稲妻のような一喝!俯いていたすべての隊士が顔を上げる。

「あの男は今は奇兵隊の現総督だろうが元は大島の百姓だ!

この窮地にあって延命にすがるあの根性と、あえて挑む死中にこそ長州の、

ひいてはこの国の生くる道があると信じるこの信念の違いが出る!

君らの不安、それは裏を返せばやつら恭順派のおごりだ。

藩の実権を持ち逆らう者たちの力も弱いと考える今こそ翻す好機なのだ!

目指すは下関新地会所。ここを占拠し武器を奪いしかる後、三田尻にて港をも奪い軍艦を手に入れる。

さすれば他の隊士たちも呼応し力となってくれる!そうすれば再び一般勤王となり幕府と戦える!

朝敵の汚名?あれは確かに大それたことだったがそれも日の本を思ってこそ!

その信念を曲げず再び立ち上がりさえすればきっと天朝様はわかっていただける!

そのための今なのだ!来るものはたちあがれ!」

熱気ある声に数人が立ち上がりかけます、が・・・。

周りの反応のまちまちさがその腰にさらに重さをかけ立ち上がった、者は結局いませんでした。

「これでもわからないと言うのならそんな頭の腐った君らには

もうたのまん!この高杉一人で向かい一人鬼神となりあの会所を抑えてくれよう!

君らはそこで震えながら待っているといい!」

その様子を一瞥し入て捨てた言葉を残し高杉晋作は本堂を後にします。

本当に行ってしまった高杉を一人では行かせられないと伊藤俊輔はあえて奮い立ち

あとに続けと隊士たちを奮い起こします!

隊長の言葉を待ってましたとばかりに続々と立ち上がる隊士たち。

全員が先に出ていく高杉のあとを追います。

即座に整う準備のさなか先ほどの不安な顔をする隊士はいません。

「いざ!」という掛け声とともに出立する彼らの先に

長州藩は再び幕府に立ち向かう勤皇倒幕藩としての復活を果たします。

この挙兵こそ幕末の奇跡の復活劇功山寺挙兵。と呼ばれる顛末でございます。


さて、お話はここまででございますが

このお話の中で最も伝えたい言葉をあえて切り離してお話させていただきます。

出立の軍備を整えるさなか高杉は力士隊の伊藤の元へ向かい

「ちょっと留守にする・配置を終えたら僕がもどるまで動くな」と指示。

「これから奇襲をかけるのにどこへ?」と聞くと

「この挙兵の仕上げだ」と行って走り去ります。

功山寺の離れ、ここに実は京都より失脚させられた七人の公卿が滞在しておりました。

そこはその一人三条実美の寝室前。近衛兵が外にいます。

その近衛兵の動きに気づいたその日眠れなかった三条実美が起き上がります。

不審に感じましたがその異変が自分向けられていると感じた実美は外に近づきふすまをあけます。

近衛兵が身を引きその前には闇夜ながら羽織を着た男が膝まづいていました。

実美はそれが高杉晋作と気づき

「高すぎか?何用か?」ときくや高杉は立ち上がり

「急にて失礼、三条卿!これより

長州男児の肝っ玉をお目にかけまする!あとのことよしなにお願い奉りまする!ではごめん」

深々と頭を下げ頭を上げたあとすぐに切り返し走り去っていきました。

そのとき目があった三条卿、その言葉と眼差しに並々ならぬ覚悟と

長州藩のあの男の描く先の道を思い、自分が何をすべきかを考え覚悟を決めたことでしょう。

長州男児の肝っ玉。出身者である自分にも欲しいもんでございますな。

と、オチをつけたところで、

お聞きいただきありがとうございました!志士丸小噺、ではこの辺で。

よかったら放送のほうもよろしくお願いします。

痛快晋作伝は気が向いたら続きます!

小咄の原稿は今後も上げていきたいと思います!

上げる前にはまず放送してから。ですのでよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 高杉晋作好きなのでニヤニヤしながら読んじゃいました(。-_-。) あ、一箇所だけ誤字を。 誤字というか、 最後のところの会話文の高杉のすぎがひらがなですよっと。
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