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やさしいとか名前だけ

さて、適当に適当を重ねたこの作品。

一話を作ってどうでもよくなるかと思ったがそうでもないらしい。

「ねえ、ドロシー。」


ロイティアは、草原に寝転んでいたドロシーに対し後ろから声を掛ける。

すると、彼女は髪を耳にかけながら振り向いた。


「ん〜?どうしたんだよ、しんみりした顔してさ。」


クスリと笑顔を浮かべながら彼女は泣きそうな顔のロイティアに対しそんな事を言う。


「キミが出てたアレ…あんな終わり方で良かったノ?」


ロイティアはドロシーの隣に座ってからそんな事を言い出す。

彼女は上を見上げてしばらく考えたあとため息を吐いた。


「まあ、いいわけないってのが本音だな。僕の望みは永遠に___と仲良く過ごすだけでよかったんだから。」


この世界ではもう名を呼ぶことすら難しくなってしまった者を愛おしく思い、想いながら悲しげな表情を浮かべる。

ドロシーはただ平和を望んでいた。まあ、そんな想いも虚しく全て作者に破壊されたが。


「こんなのってないよネ。いつだって…作者はオイラ達の意思を無視して勝手に変えてしまう…

ドロシーだって、あんなに沢山設定改変されちゃっテ…!」


ポロポロと自分の為に涙を流すロイティアを見てドロシーは内心で胸を痛めながら彼女の背中をさする。


「仕方がない。それに…作者がああでもしなきゃ僕はいつまで経っても___の足枷にしかなれなかっただろう。

だから、消えてよかったのさ。」


「―それに、ここに作者が介入することは不可能だからな。とても、気楽だ。」


無理に笑顔を作るドロシーを見て、ロイティアはやるせない気持ちにしかならない。


(…だって、そんなの。)


「そんなの、キミは何一つ幸せになっちゃ居ないヨ…!

確かにここは、物語じゃない。オイラ達キャラクターの安息の場所だ!作者の意思も何もかもここには届かない。オイラたちにとっての理想郷のような場所…

ケド、キミの望みとは違う。そうでショ?」


必死にドロシーに語りかけるものの、彼女の表情は何一つ変わらない。

無理な笑顔のままだ。


「…それより、僕はお前がそんな事を言ってくるほうが意外だったよ。僕とあいつが付き合ってるって知ったときものすごい暴れようだっただろ?」


それは、言葉のない静かな否定だった。

わかりやすい話の変え方には彼女のそれ以上その話に踏み込みたくないという想いと、自分の望みとは違うという確かなロイティアへの肯定でもある。

ロイティアは、彼女からそんなことされてしまえば何もできない。これ以上話を続けることなんてできなかった。


「確かに、聞いたときはなんでって思ったし作者の介入がなくたってかなり嫌だったヨ。でも…それ以上にオイラはキミを愛しているから。

だから、好きな人が悲しむ姿なんて見たくない。まず悲しんでほしくないんだ。

ドロシーが好きになったならどれだけ相手がクズでも、ドロシーが心から幸せならオイラはそれで良いんだよ。」


(そもそも、反対した理由なんてオイラにとっちゃ一つしか無い。相手が自分たちの作者じゃないから。ただそれだけなんだヨ。

別の作者のキャラとなると二度と会えないという自体が起こってしまうから。そして_それは現実になったじゃないか。)


キミは、知らないだろうケドね。

ドロシーには聞こえない程度の声量で漏れ出た声はあまりにも弱々しかった。

そんな彼女の想いも知らずに聞こえた音しか拾っていないドロシーは少し、驚いた様子をしている。


「…お前、僕のことが好きっていう設定ガチなやつだったのか…?てっきりあの世界だからできる作者が介入したネタ設定かと思ったんだが。」


全てはその_オープンチャットの世界から始まっていたのだ。

あの世界でドロシーは恋をして、別の作者のキャラを好きになった。だから今誰でも見れるようになっているここでは名を呼ぶことができない。

そう考えるとロイティアはまたも泣き出してしまった。


「あ、いや、すまん。泣かせるつもりは無かったんだが…」


単純に自分の言葉で傷つけてしまったとしか思ってないドロシーはオロオロとしてしまう。


「ちが、うんだヨ…キミが。オイラにはキミが可哀想としか思えなくて…」


あの世界でもここのように作者の介入がなく、ただキャラの意思と想いで動けていたらきっと今でもドロシーはたまに想い人と会って、なんでもない話をし、少しイチャイチャして幸せな時間を過ごせていただろう。

だから、ロイティアは作者が嫌いだ。自分の都合でキャラクターの性格すら変えてしまう己の作者が一番、大嫌いなのだ。


「…そんなに可哀想じゃないよ。

だって、僕は未だにどこかで期待してるんだ。いつかあいつが全てを知って、この場所まで来てくれることを。そして幸せに過ごせる時間を。

僕らの終わり方は最悪だったが…あいつはきっと全て作者の介入のせいだと知ったら助けに来てくれる。だって、この僕が選んだ最高で最強の男なんだからな。」


ドロシーの声に偽りはない。

全て本気で思っているから言える言葉なのだ。

だから、ロイティアはその世界にいるときからドロシーの想い人が嫌いだった。


(生半可に強いからそうやって期待と希望を抱かせるんだヨ。そんなご都合主義の出来事起こり得る訳がないんだ。

例えここに作者が介入しようがしなかろうが…ネ。)


「…そう、だネ。」


それでも結局ロイティアはドロシーに現実を見せることはできない。

その行為はあまりにも残酷で、愛する人にできるわけがないのだ。

だから、ロイティアはそれ以上その話題には触れない。

夢を、見ていて欲しいから。

だから、ロイティアが選ぶのは諦めという名の当たり障りのない会話。

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