レンタイ国とは 尻女神教徒とは
この物語はフィクションです。
央海歴824年3月1日
5時00分 コイン領・領都コイン
(俺の名はスミ―。ヴィザンという山奥の密林の出身だ。
数日前に族長の兄貴に命令を受けて・・・、今は移動の途中だ。
腹違いの兄であるホサ兄も一緒だ。
いつもは快活なホサ兄だが、今は苦い虫でも噛んだ様な顔をしている。
眉間には皺、額にも皺がよって難しい表情だ。)
「スミ―。お前大丈夫か?。このまま行って良いか?。」
(表情だけみると俺よりも余程大丈夫ではないホサ兄だが。
それでも俺の事を気遣ってくれている。)
「ホサ兄こそ大丈夫なのかよ。姐さん(ホサ兄の元嫁)が怒り狂っていたんだろう。
俺はホントか嘘か知らないが、族長を殴ったと聞いたぞ。」
「・・・他所で言うなよ。チッチ(ホサ兄の元嫁)はガタイが良いしな。
西方格闘術の大家の出だからな、族長は鼻血がドバドバ出てノック・アウトされたよ。
俺はチッチの背後から腰に抱き着いて動きを止めたが。
その状態で族長の家人が5人掛かりで、何とかチッチを抑え込んだよ。
俺諸共な。」
「昨日の話だろ、それ。無茶苦茶な事になってるじゃないか。」
「しょうがないだろう。チッチは気性が荒いんだよ。
普段は猫を被って淑女やってるけど、本気で怒るとどうにもならんよ。
まぁ良い嫁さんだよ。・・・いや『だった。』だな。
もう俺の嫁さんじゃないわ、元嫁だったなぁ~・・・。」
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5時15分 同
俺達の目的地であるレンタイ国は、国教が『尻女神教』という。
随分とオカシナ名前の宗教だが、内容に比べればまだどうという事が無い。
異様・異常・・・。言葉で表そうとするとそんな事が真っ先に出て来る。
それも3つや4つじゃ済まない。
沢山沢山出て来る、てんこ盛りだ。
尻女神教徒は他国・他教徒からは『変態・エックス・カルト・教団』と呼ばれている。
普通こんな事を面と向かって言われると相手は激怒する。
だが当の尻女神教徒は怒る人は少ない・・・。
当人たちにも十二分な自覚があるから、『まぁそうですよねぇ~。』という穏やかな反応らしい。
俺は人生で尻女神教徒に会った事は無い。
ホサ兄も族長も同じだ。
「スミ―、不安なのは分かるが俺達なら大丈夫だよ。
族長の占星術は間違いないって。
俺達ならば族長の期待に応えて、良い結果をヴィザンに持ち帰る事が出来るよ。」
「・・・そうだな。ホサ兄。俺達なら大丈夫だ。」
そんな事を言っているホサ兄だが、左足が貧乏ゆすりをしている。
ホサ兄が不安な時に出る仕草だ。
態々指摘は俺もしないが、ホサ兄だって心配は同じなんだ。
何とか出来る筈だ、ホサ兄と俺ならば、尻女神教徒になってやっていける筈だ。




