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電車

作者: 執行 太樹
掲載日:2025/12/06

私は、2歳の息子の圭太けいたと、近くの踏切へ散歩に来ていた。

そこで、1人のおばあちゃんと出会った。




 私には、2歳になる息子の圭太けいたがいる。

 圭太は、電車が好きだ。いつも散歩で、近くの踏切へ行く。

「ほらっ、圭ちゃん。ガタンゴトンが来たよ」

「わぁ~、ガタンゴトンきた~」

 圭太は電車が来ると、いつも両手を全力で振って、電車が行き過ぎるのを見ていた。


 ある日のこと、私は、いつものように近くの踏切へ、圭太と一緒に電車を見に来ていた。

「電車、まだかな~」

「まだかな~」

 私と圭太は、電車が来るのを待っていた。

 すると、

「あら、こんにちは」

 私たちの後ろから、おばあちゃんの声がした。

「どうも、こんにちは」

「こちわ~」

 私と圭太は、おばあちゃんに挨拶をした。

「ああ、ごめんなさいね。急に話しかけて」

「いえ、良いんです」

「かわいい子だったから、つい声を掛けちゃったの」

 おばあちゃんはそう言うと、笑顔で圭太の方を見つめた。

「坊や、電車が好きなの?」

 圭太は、少し不思議そうに、おばあちゃんを見つめていた。

「この子、電車が好きなんです。いつも、これくらいの時間に電車を見に連れてくるんです」

 私は、おばあちゃんに話した。

「そうなのね。私も、若いときに息子とよくこの踏切に来てたのよ。息子も、電車が好きでね」

「そうだったんですね」

「息子と言っても、もう40過ぎのおじさんだけどね」

 そう言うと、おばあちゃんは優しそうに笑った。そして、また圭太の方を見た。

「電車、楽しいね」

「でんちゃ、たのしいね」

 圭太は、おばあちゃんにそう応えた。

「いい子ね。元気に育ってね」

 おばあちゃんは、圭太にそう言ってくれた。


 このおばあちゃんはきっと、私なのだろう。若い頃、今の私のように、電車好きの息子さんとよくここへ来ていたのだろう。


「今を、大切にね」

 そう言うと、おばあちゃんは笑顔で去って行った。

「ありがとうございます」

 私は、そう応えた。圭太は、おばあちゃんに手を振っていた。


「あっ、ほら、圭ちゃん。ガタンゴトン来たよ」

「わぁ~、きたね~」

 電車が、私たちの前を通り過ぎていった。圭太は、手を振っていた。


 今を、大切にね……。去り際に言ったおばあちゃんの言葉が、私の心の中に響いていた。







お読みくださり、ありがとうございます。


ご感想等ありましたら、よろしくお願いします。

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