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8 優秀というやつほどポンコツだったりする。

 見習い魔法少女に会ってみた。

『あっ、先輩。パートナーを選ぶコツとかってあります?』

 リランカさんに抱きかかえられながら、俺はすっかり慣れた念話でヱンペル先輩に聞いてみるた。

『きひひひ、契約は精霊側から解除することも可能だから、色々試してみるのがいいと思うぞ。でもまあ、基準として、こいつを鑑定してみ。』

『ハイ。』

 言われるままに、ヒコロクさんにしたように、こそっとリランカさんを鑑定してみる。

 ネーム シュリ・スカーレット・リランカ

 種族  マジックガール

 状態  ナーバス ハイテンション

HP   C

MP   S

攻撃   A

防御   S

速さ   A

賢さ   B

適正  火、雷 水

スキル 火炎無効化 属性半減 状態異常無効化 炎熱特化  

精霊適正  契約精霊 「エンペル」

 うわー、HP以外のステータスがヤバイ。あれだよねー、下限はわかないけどSって最高ランクでしょ。スキルも無効化に半減って普通にやべえ。

『きひひひ、これがこの国のトップクラスの戦力だ。基準として覚えておきな。こんなポンコツツンデレでも、炎属性では最強クラスだからな。』

 まあ、パートナーとやらを見定める参考にはなるだろう。

『あとは、精霊適正だな、契約している子は、精霊の名前が、そうじゃない場合は相性がわかる。まあ、あ、あんまり関係ないけどな。』

『あざーす。』

 能力とか将来性、何より相性か、まるで婚活アプリとかバイトの面接だなー。書類からの情報と、数分の面接で判断しなければならない。こういうのって第一印象で決まるって、自称目利きな校長が言ってたよ。まあ、そう言うこと言うやつが推す人間ほど、仕事しないって偏見は隠さないけど。

「つきましたわ。ここの向こうが訓練場です。」

 応接室から大きな廊下とエントランス、中庭のような場所を抜ける。そこにあったのは大きな門と高い壁に囲まれた、野球場のような建物だった。

「ここは?」

「ここは、攻撃魔法の訓練場です。魔法少女といえば、攻撃魔法ですから。」

 なるほどわからなくもない。漫画やアニメの魔法少女も、敵を倒すのは拳でなく必殺技だ。それにお巡りさんと、一般人を分ける基準として拳銃という武器が存在するわけだし。

「基本的な体術や教養、それらも大切ですが、迅速に敵を無力化する力。魔法少女にはこれが求められるのです。」

「精霊と契約しなくてもある程度は、魔法が使えるってこと?」

「・・・はい、それは。ただ威力はあまり。」

「きひひひ、出力が違ってくるんだよ。契約してないと、刃物よりマシってぐらいだ。人間相手ならそれでもいいんだけどな。」

 そういえば、ヒコロクさんも精霊適正があったよな。で、話を聞く限りだと元々、魔法は男女関係なく使えるけど、精霊と契約しないと、実戦レベルの水準にならないってことか。

 何と戦うんだよ、魔法少女。いや、災害時の重機とかレスキューマシーン的なポジションなのかもしれない。あるいは戦略兵器?

「ともあれ、入ってみると。」

「ああ、リランカ様。こんにちわーっす。」

 俺の意図をくみ取って立ち止まっていた、リランカさん。その姿は荷物を抱えて立つ人のようにもみえた。だから彼女の行動は下心なく、純粋なものだった・・・と思う。

「あら、ディー、走り込みの帰りかしら?」

「はいっす。魔法少女の基本や足って先輩の教えっす。」

「ははは、そうね。」

 親し気に近づいてきた少女は、スポコン系って感じだった。おかっぱ風に切り揃えられた前髪と雑に縛ったサイドテール。身長はリランカさんと変わらないはずなのに全体的にシルエットが小さく見えるのは謙虚さ、それとも発育の違いか。

『きひひひ、リランカはそこら辺の女子よりも年も胸もあれだからな。』

『先輩、それセクハラですよ。』

 そんな評価。いやこれはリランカさんという、なんかすごい女子と比較しているからだろう。それに今求められるのは性格と腕力。

「ところで、リランカ様。ずいぶんと大きな荷物、いやこれたまごっすか?」

「え、ええ。これは。」

「なんにせよ、私が持つっすよ。リランカ様にそんな大きなもの持たせらません。」

「え、いや、でもこれは。」

 うん、このワンコっぽさ。先輩あるいは上司的なポジションの人が何か重そうなものを運んでいた。だから、手伝おうかという純粋な好意からの行動。

『しばらく卵のフリをしているので、彼女に任せちゃってください。』

『きひひひ、そいつは面白そうだな、よし任せろ。』

 面白そうだと思っての提案にヱンペル先輩はすぐのかった。

「きひひひ、若いのに感心じゃないか、お嬢ちゃん。リランカ、任せてやれよ。」

「え、だが。しかし。」

「運ぶぐらいなら問題ないぞ、きひひひ。」

 先輩、言いながら俺のことを尻尾でビシビシたたかないで、丈夫さアピールとか要らないから。

「いや、しかし、ヱンペル。これは。」

「きひひひ、・・・余計な事いうなよ。」

 するりとリランカさんの首に巻き付いて、そっと伝えるヱンペル先輩。そこまでやってリランカさんも何かを察したらしく。ディーとう少女に俺を手渡した。

「うん、なんか見た目以上に重いっすね。こう腕にずっしりくるっす。」

「そうか、私はあまり感じなかったが。あれなら。」

 予想以上に重い?俺のボディを持った彼女は、最初は驚いた様子だったけど。すぐに笑顔で俺を持ち上げて見せた。

「いえ、見た目以上にずっしりとした感覚だったので、驚いただけっす。これくらいは片手でもいけるっす。」

 おお、両手でしっかりとホールドしつつ、上下に動かすのは腕力。この子見た目以上に力があるな。

「トレーニング用の重りにちょうどいいですね、これ。程よく負荷があるっす。」

「丁寧に扱ってね、リランカ。」

「わかってるっす。冗談っす。」

リュー「第一魔法少女、発見。」

リランカ「えっ私は?」

 先だし情報

ヘサカ・コルディナ・デイビス 魔法少女見習い。語尾が「っす。」の体育会系少女。


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